2012年6月  紙パ技協誌
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第66巻  第6号  和文概要


窓貼り日射調整フィルム ―ガラス開口部における省エネ対策―

リンテック株式会社 産業工材事業部門建装材営業部 鈴木 康一

  近年の地球温暖化により,温室効果ガス削減は重要な課題となっている。
  2008年改正省エネ法の施行により,工場・事業所単位から企業単位となり,コンビニエンスストア等のフランチャイズチェーンも特定連鎖化事業者として規制対象となるなど,年平均1%以上の削減が求められている。
  省エネルギー化として,空調設備の更新,照明のLED化,太陽光発電設備等の導入などを実施しているものの,既存建物のガラス開口部における省エネルギー化は進んでいないのが現状である。
  窓ガラスに貼り付けることで,太陽日射熱を遮断し,省エネルギー,CO2削減が可能となる日射調整フィルムの施工は,効果も高い上,ほかの工事に比べ初期費用が低減でき,工期も短くすることが可能である。太陽日射熱を35〜85%も遮断するので,冷房効率を向上させることが可能である。
  本報では,窓貼り日射調整フィルムの性能と特徴について詳しく説明する。
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最新航空転用型ガスタービン

株式会社IHI エネルギーセクター プロジェクトセンター 原動機PJ統括部PJグループ
柴沼  徹

  航空転用ガスタービンは軽量・コンパクト,高効率,2軸式等の特徴がある。この特徴から,コージェネレーションシステム,コンバインドサイクル用原動機として適しているだけでなく,地域分散電源や大規模自然エネルギーの補完電源として最適である。
  航空転用型ガスタービンの代表的機種であるLM2500およびLM6000シリーズについて,その開発の歴史および最新機種について紹介した。
  また,両エンジンの特徴的技術であるDLE燃焼器,水噴射による出力増強システムSPRINTシステムについても紹介した。
   IHIは航空転用型ガスタービンプラントを提供するだけでなく,航空機用エンジンの製造・整備で培った技術で航空転用型ガスタービンについても高品質の整備を提供する。また,ガスタービンプラントの運用データの監視・診断等も含めた総合的運用支援を行っている。
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王子製紙春日井工場における省エネルギーへの取り組み

王子製紙株式会社 春日井工場  振角  圭一


  春日井工場では,継続的な省エネルギーが推進できる体制を構築する為,体制の見直しと省エネ実施方法の改善に取り組んで来た。
  従来の春日井工場の省エネ活動は,各課独自に実施していたが,効果の大きな案件や投資回収性の良い案件についてはその多くが実施されており,年を追う事に案件の抽出が困難となっていた。
  そこで,2009年9月に新たに省エネ専門の臨時プロジェクトチーム(メンバー8名の内,6名が専従者)を発足させ,省エネ案件の発掘と実施に取り組んだ。2010年度にはチームの活動の一環として,外部より省エネを専門とするコンサルティング会社と契約し,新たな手法や観点で省エネ実施方法の改善に取り組んだ。
  このような活動により,省エネ推進業務が効率化されて順調に進められるようになった為,次のステップとしてプロジェクトチームは解散し,2011年4月に各操業職場が主体となる省エネ新組織を発足させた。現在は,プロジェクトチームで培われたノウハウを,新組織を通じて工場全体に水平展開する事で,更なる省エネルギーの実現を目指している。
  本稿ではこれらの取り組みについて紹介する。
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オートテンション・ストレッチャ
―オートテンション・ストレッチャによる省蒸気・生産効率向上効果―

株式会社KGKエンジニアリング 営業一部  長谷川和生

  少ない投資で高い省蒸気・生産効率向上効果を上げようとする場合,最も身近な方法の一つにドライヤ・カンバス・テンションの自動制御が挙げられる。カンバステンションを常時「高め」にコントロールできれば,ドライヤロールと湿紙の接触表面積が増加して熱伝導効率が高まるので,蒸気消費量を抑制できる(若しくは生産効率を高めることができる)からだ。
  しかし,日本国内の多くの抄紙機ではエアシリンダが用いられているため,操業中の正確なカンバステンションをリアルタイムで把握できないばかりでなく,精密なテンション制御ができず,通紙,紙切れ,休転等による突発的なテンション変動(ピークテンション)によってガイドロールが歪んでしまう,若しくはベアリングが損傷する危険があるため,ロールや軸が持つ設計上の許容荷重よりも低いテンションで運用されているケースが多い。カンバステンションが低ければ抄紙への熱伝導効率が低下し,想像以上に多くの蒸気を流出してしまう(若しくはスリップによる断紙や抄紙表裏の温度差による反り返りを誘発する)。こうした蒸気ロスは,エアシリンダを活用している抄紙機であればどこにでも起こりうる現象である。
  そこで,本稿では,操業中のカンバステンションをロードセルで常時計測し,計測結果をリアルタイムにフィードバックしてストレッチロールの位置を自動補正するエアハルト・ライマー社製「オートテンション・ストレッチャ」並びに新製品の「エアシリンダ・オートコントロールシステム」(両製品ともエアハルト・ライマー社により日本国内における特許を取得済み)の有効性を紹介させていただく。
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福島矢吹工場  太陽光発電装置(1,535kW)導入

レンゴー株式会社 PD生産部 生産技術課  望月  諭

  レンゴー鰍ヘ,地球環境の保全に配慮した経営を実践することが,企業の持続的発展に不可欠であるとの認識に立ち,全社あげて環境保全活動に継続的に取り組んでいる。
  2007年に初めて新京都事業所に太陽光発電装置400kWを導入し,2010年には福島矢吹工場(新設工場)建設に当たり,環境配慮型段ボール工場として日中は工場負荷・設備に対する電力供給を全量太陽光発電装置により賄うことを目標にメガソーラを導入した。
  そこで,近年の厳しい抄紙環境においても優れた紙力向上効果を発現するための手法として,
  多結晶太陽電池の設置は工場棟屋根6,228枚,工場北側敷地2,304枚とし総発電量は1,535kWである。2010年度実績発電量は年間予想発電量を上回る結果となり,省エネルギー・環境改善に貢献できた。
  但し,現時点での太陽光発電装置の設備コストは環境貢献度の観点からみれば,燃料転換等の設備コストより高いものとなっている。太陽光発電装置の活用については,系統との融合と自立をいかに組み合わせていくかが課題となる。
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LED照明による節電  ―課題と対策―

東芝ライテック株式会社  照明事業本部  小宮  章利

  照明は自然界の光から人工光の利用へと変わり,暗闇を照らすのが当たり前になった今日である。これらの人工光源は白熱電球,蛍光ランプが中心を占める中で,昨今LEDが光源として台頭し始め,十分な明るさを得られるようになった。
  LED素子は半導体であり,TVなどの回路に使われるトランジスタやICなどと同じ仲間であるが,光を発する点が違う。半導体だから寿命が長く,少ない電力で明るく光るメリットを有する。このLED素子は,1個では光量が少ないので多数個集めて光らせると,照明に使えるほどの光量が得られる。LED電球は,価格は高いが従来の白熱電球と手軽に交換して使えるので,節電指向の高まりと共に需要が増えた。次第に光の広がり方が従来の白熱電球と違うので,同じ表示の明るさでも部屋の全体の明るさや器具装着時の雰囲気が変ってしまう課題も判明し,種々の改良がなされることになった。
  一方,放電で点灯する蛍光ランプは,いわば抵抗体であるLEDとはそもそも互換性が無いし,蛍光灯器具の内部にある点灯回路の多様性により,LEDを装着して点灯するのは難である。しかし使用出来るとして販売される直管形LEDランプには不具合情報もでてきた。取り付けて目が痛くなった例や,TVが写らなかったり,ラジオが聞こえなかったりする雑音障害などである。また,発煙や早期不点などランプ・器具として不完全なものも出始めた状況にある。ここでは,LED電球や直管形LEDランプの課題とその解決策の一端を述べる。
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高効率スラリーポンプによる省エネ事例と新機構一軸ねじポンプの紹介

古河産機システムズ株式会社  葛山達夫,小池一吉

  古河産機システムズ鰍ヘ,製紙工場において使用される高効率スラリーポンプおよび一軸ねじポンプの新型機を開発した。
  これまで,スラリーポンプは安定的な送液の実現に主眼が置かれてきた。しかし,製紙工場において全ポンプが消費するエネルギー比率は3割を超えるともいわれ,世界的な省エネや温暖化ガス排出量の削減が求められる中,スラリーポンプについても高効率化が求められている。新開発の高効率スラリーポンプは,新規設計された羽根車により,従来型に対してポンプ効率が10%以上改善されている。実際に,そのポンプを国内2社の製紙会社の工場ラインに持ち込んで実液試験した結果,消費電力の大幅な削減が確認された。
  一方,新型一軸ねじポンプは,偏心ロータを直接作動させる新機構を有しており,従来型で使用されていたユニバーサルジョイントがなく大幅な省スペース化を実現している。また,この新型一軸ねじポンプは,従来型の弱点であった高圧移送時の流量低下が大きく抑えられており,工場ラインの効率化と簡略化が図れる。
  本稿では,高効率スラリーポンプによる具体的な省エネ事例と,新機構一軸ねじポンプの構造や優れた特長について報告する。
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製紙スラッジを用いた植栽用軽量資材の開発

琉球大学 農学部  小宮  康明
NPO法人日中資源開発協会  渡嘉敷義浩
中越パルプ工業株式会社  田中  裕之
昭和製紙株式会社  城間  秀雄

  日本製紙連合会のフォローアップ調査によれば,2009年度は我が国では絶乾ベースで316万トンもの製紙スラッジが排出されている。このスラッジは,産業廃棄物として処理されているが,最近は焼却処分されることが多く,焼却灰の大部分はセメント原料として利用されている。しかしながら,セメント生産量は減少傾向にあり,焼却灰やスラッジ自体の新たな用途開発が求められている。
  一方,我が国は地球温暖化防止を図るための京都議定書において温室効果ガスの総排出量を2012年までに1990年度排出量の94%以下まで削減する義務を負い,その達成に向けて各分野で努力しているところである。
  スラッジを焼却する際には,紙として再利用できなかった微細パルプの燃焼によるCO2のみならず填料として使用した炭酸カルシウムの熱分解によるCO2も排出される。パルプはバイオマスであり,これから排出されるCO2はカーボンニュートラルのためカウントされないにしても,スラッジを焼却しなければ,炭酸カルシウムからのCO2は確実に無くなり,パルプからのCO2は大気中に再放出されることはない。
  私たちはCO2排出量の削減に寄与するため,スラッジを園芸,屋上緑化,植物工場などの培地として利用する研究を進めており,本報では,スラッジを用いて試作した軽量な培土と植栽ブロックについて紹介する。
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硫酸アルミニウム添加によるてん料及び着色顔料のシートへの定着挙動の解析

独立行政法人国立印刷局  岡山工場生産管理部  三角  健志
独立行政法人国立印刷局研究所 基盤技術研究部  奥田  貴志
東京大学 大学院農学生命科学研究科  磯貝  明

  製紙薬品の定着助剤である硫酸アルミニウムの添加によって,てん料及び着色顔料の定着に及ぼす影響が大きいと考え,硫酸アルミニウム添加率の違いによって,てん料及び着色顔料の定着に及ぼす影響を調査した。
  パルプ懸濁液に微細繊維が存在していると,硫酸アルミニウムは支配的に微細繊維に吸着されると考えられることから,本調査では,微細繊維を除去したパルプと除去していないパルプを共に準備し,てん料としては酸化チタン,着色顔料としては赤色顔料を使用し,手すきシートを作製して定着率を測定した。
  微細繊維のあるパルプにおいて,硫酸アルミニウム添加率2%までは,添加率の増加に伴い,酸化チタン,赤色顔料の定着率はともに増加した。微細繊維の無いパルプにおいては,硫酸アルミニウムが過剰に存在すると,酸化チタン及び赤色顔料の定着率は低下することが明らかになった。各ゼータ電位の結果から,定着率増加の原因は,静電的相互作用が影響しているものと考えられる。
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