2004年9月 紙パ技協誌

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紙 パ 技 協 誌 2004年9月 

第58巻 第9号(通巻第642号) 和文概要


新開発ゲルビューセンサによる塗工乾燥システムの最適化
ハネウェル株式会社 営業開発部 中濃礼二郎  

 塗工の均一化は,その塗工プロセスがさまざまな変動要因(銘柄による塗工量や塗工液の変化,塗工原紙のバラツキ,コータマシン自身の特性など)により影響を受けるため,複雑でむずかしい課題である。最終塗工の均一性を左右するひとつの要素は,塗料の凝固プロセス(塗工乾燥工程)の制御にあり,このためにIRやエアードライヤ出力を連続的に操作し,水分蒸発速度を一定にすることにより塗工品質を格段に向上させることが可能である。これはドライヤセクションの上流から下流の固定点に設置されたゲルビューセンサ測定値により,塗工乾燥プロファイルを監視しコータマシンの流れ方向に沿ってその乾燥位置(乾燥速度)を制御する。ゲルビューは光ファイバを使用したシステムであり,塗工表面の変化(光沢度)を捉えて塗料の乾燥度合いと相関させ,正確な解析と制御を実現する。この新しい方法により印刷ムラなどを発生させる塗工紙の品質問題を最小限に抑え,生産の最適化実現を可能とする。本稿は新開発ゲルビューセンサを用いた新しい塗工乾燥プロファイルの監視と制御を紹介する。
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新規サイズプレス用澱粉
王子コーンスターチ株式会社 技術本部開発研究所 石田 光雄  

 近年,印刷用紙は環境への配慮から古紙の多配合化が進み,紙力の向上が難しくなっている。また,オフセット印刷の普及による印刷の高速化や多色印刷の増加により,印刷時の表面負荷が非常に大きくなってきている。そのため,印刷用紙の表面強度を向上させる表面紙力剤の要望が年々高まっている。
 弊社は表面強度を向上させる表面紙力剤として,サイズプレス用の澱粉「GRC―20T」を開発した。GRC―20Tはカチオン基の多い両性澱粉であり,澱粉特有の老化性が非常に小さく,長時間の粘度安定性に優れている。また,両性澱粉であるため,カチオン澱粉の欠点であるpHや塩による粘度への影響も非常に小さい。
 この両性澱粉GRC―20Tをサイズプレスした塗工紙について種々検討を行った。GRC―20Tは紙の繊維への定着性が非常に良く,紙の表層に留まり易いため,表面強度が向上する。一般的な酸化澱粉に比べて非常に印刷強度が向上し,特にウェット強度の向上が良好なためオフセット印刷に適する。また,塗工紙の水に対する澱粉の溶出が非常に少なく,オフセット印刷時のブランケット汚れ減少や,紙を再離解した時の排水負荷軽減に期待できる。その他,造膜性が良く,透気度が大きくなる等,これまでのサイズプレス用の澱粉にはない多くの特色が確認された。
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ロータリプレスフィルタの処理性能―連続運転実験結果―
巴工業株式会社 営業技術部営業技術課 松本 光司  

 ロータリプレスフィルタはカナダのフォーニヤ社から導入され,現在巴工業鰍ナ製造,販売されている新しい脱水機構をもつ回転加圧脱水機である。高い脱水性能を有し,機構が簡単,密閉構造で臭気の発生がない,コンパクトでエネルギーコストを低減でき維持管理性に優れているため,これからの時代に合致した脱水機と考えられる。現在,日本国内だけで23台(下水含む)の納入実績を有し,製紙工場排水汚泥向けにも2ヶ所(3台)の納入実績がある。また,実験機による各種処理物の脱水実験も継続して実施しており良好な結果が得られている。本稿では,A製紙会社における約3ヶ月間の連続運転の実験結果を行った結果について,他機種との比較をまじえて紹介する。
 1) ロータリプレスフィルタ,ベルトプレス型脱水機(3m幅),スクリュープレス型脱水機(φ1000型)の3ヶ月間のケーキ含水率を調査した。脱水機は24時間運転で,サンプリングは1日6回行った。汚泥性状や機械の運転条件によってケーキ含水率にややばらつきが見られる。ケーキ含水率はベルトプレス型脱水機で60〜68%,スクリュープレス型脱水機で52〜68%,ロータリプレスフィルタで49〜64%となった。ほとんどの場合で,ロータリプレスフィルタのケーキ含水率はベルトプレス型脱水機,スクリュープレス型脱水機に比べて低い値となっており,ロータリプレスフィルタを採用することで,ケーキ含水率の低下が見込める結果となった
 2) ロータリプレスフィルタ,ベルトプレス型脱水機(3m幅)及びスクリュープレス型脱水機(φ1000型)で当該汚泥を脱水する場合の固形物処理量とケーキ含水率の関係を調査した。尚運転時間は1日24時間運転とした。ロータリプレスフィルタの固形物処理量は,1―1200―1500CVの実験結果から,6―1200/9000CVの固形物処理量を算出して示した。他の脱水機に比べて,固形物処理量を高くしてもケーキ含水率は低い値を示している。平均処理量は6―1200/9000CVで平均40BDT/日となり,据付スペースの割に能力が高い事が判明した(ベルトプレス及びスクリュープレスは30DBT/日)。
 これらのテスト結果について具体的データを交えて紹介する。
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インライン硫酸希釈装置―経費節減など多様化する硫酸の安全な希釈方法―
株式会社 イワキ 関 公明  

 古くより白水の追加PH調整及び排液処理水のPH調整等に使用されていた硫酸は,ECF化並びにTCF化の副生成物除去用途及び経費削減化の酸性抄紙のサイズ材助剤及び中性抄紙の紙力増強剤助剤として硫酸バンドの一部を代替化させる目的にも使用される。
 pH調整の役目も含んだ硫酸バンドは,扱いやすくポピュラーな薬品のため大雑把にパルプに添加使用していたが,98%硫酸と比べると約2〜3倍のコストがかかるため,経費削減の最もターゲットにし易い薬品でもある。硫酸バンドの一部を硫酸に代替化することにより大幅に経費削減が可能になる。
 硫酸の希釈は一般的にバッチ方式を採用しているケースがほとんどであるが,硫酸の用途が広がるにつれ,その希釈方法も人体的・環境的な安全面を考慮したものにシフトしていく必要がある。そこで弊社で多数実績のあるインライン硫酸希釈方式を紹介する。
 インラインの特徴は,必要な濃度を必要な量,必要な時に早く取り出せるため大幅に生産効率が上がる。また,タンクが必要無く,少ないスペースで生産でき,人体への被液も避けられる。又,イワキの硫酸希釈装置は,ポンプメーカの利点を生かした独自の特長を持っており,弊社製ポンプ専用コントローラを使用することにより渦巻ポンプを利用したインライン混合を実現。希釈時間が短縮されるとともに生産効率も大幅にアップする。
 硫酸は希釈する濃度により発熱温度が変わるため,弊社ではその濃度に応じた希釈方法を提案し,希釈硫酸の沸騰を防止させるとともに,希釈熱による配管の伸縮もフレキシブルチューブで吸収させている。混合部には,サイホン防止機能とチャッキ弁からリークした場合の2次対策を備えている。比重差による対流防止機能も備えるとともに,配管ユニットの外装は透明樹脂カバーで被服し,万一の液吹き出し対策も施している。さらに,流量の偏差警報(濃度の変動),温度の上限警報(配管保護),圧力の上下限警報(配管保護),モータバルブの動作異常(配管保護),各ポンプのインバータトリップ時及びサーマルリレー作動時,誤操作時(マニュアル運転),シーケンサ本体異状時などには本装置は停止をするようプログラムされる。
 弊社では多数の硫酸希釈の実績を踏まえ,ポンプはもとより,制御盤,混合ユニット部は一括制御を行っているため,全ての制御・機器に関し1年間の保証をしている。
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DFLSTM蒸解法導入による操業改善と効果―カナダAlberta―Pacific Forest Industries社―
アルバータパシフィックフォレストインク ランディー レイマー  
アンドリッツ株式会社 萩原 幹児       

 本報告は,LUKP2,000ADT/D以上生産したDFLSTM(ダウンフローローソリッド)蒸解法についての操業経験及び,その経済的メリットについてである。2000年11月初めにAlberta―Pacific社では,既設の蒸解釜において,減産ロスの大きな3つの原因を減らす為,いくつかの短期及び長期にわたってDFLSTMの操業トライアルを行った。
 過去Alberta―Pacific社では既設の蒸解釜において,不安定なチップコラムの移動という問題点をかかえていた。このチップコラム移動の不安定が,連続蒸解釜のチップレベル制御の困難性,ブローラインカッパ価のばらつき,ブローライン温度の変動という問題を引き起こしていた。このブローライン温度の変動が,ブローラインの洗浄器である大気型ディフューザーのバイパス化をもたらし,結果として洗浄効率の大きな低下をもたらしていた。
 これへの対策として導入したDFLSTM蒸解法の操業改善と効果について報告する。
(本文24ページ)


最新の監視カメラによる異常検知技術
ペーパーテック社 カリ ヒルデン  

 断紙は抄紙機やコーターにとって生産効率を損なう厄介な問題である。一段とスピードがアップして操作が複雑化した今日の抄紙機において断紙を減らす事は益々重要となっている。
 最新のCCDカメラとデジタルイメージプロセシングテクノロジーを応用するデジタル方式断紙録画技術によって断紙の原因を発見しそれを解決する事が可能となってきた。この様なシステムでは抄紙機のウェットエンドからドライエンドに至るまで,或いはコーターにおいてリアルタイムで異常が発生しそうな所謂「クリティカルエリア」を常時監視するものである。断紙が発生するとその異常現象を即,メモリーにダウンロードして断紙の発生直前からの画像を分析可能とする。この様な分析により工場は再び同じ原因による断紙が起らない様に必要な対策を講じる事が可能となる。
 最近のデジタルイメージプロセシングテクノロジーの発展に伴いこれらのシステムの画像解像力は一段と向上し,可動パーツを最少とする事によって一段と信頼性を高め,断紙のみならずホールの発生やエッジ欠陥に対し自動的に画像分析を行ない録画と同時に異常をアラーム等で警報を発することができる。
 この様なシステムは今や抄紙機のウェットエンドからドライエンドに至るまで,或いは低抄速のボードマシンからLWC,上質紙,新聞紙,ティシュ等の世界最速マシンに至るまで,あらゆる抄紙機でその有効性が立証されてきた。
 本稿は監視カメラによる断紙録画技術の最新動向としてペーパーテック社のWebVision Plusシステムを紹介しその概要と特徴を述べる。
(本文30ページ)


オンライン欠点検出システムWIS(Web Imaging Solution)―MTSコンセプトとWISへの取組み―
横河電機株式会社 システム事業部P&Wソリューション部MTSチーム 児玉 厚  

 本原稿ではWIS(Web Imaging Solution,オンライン欠点検出システム)の概要と特長を述べている。弊社はMTS(Machine Technology Solution)というコンセプトをベースに紙を抄造する抄紙機操業・塗工機操業に必要な全ての制御システム,運転支援システムを提供していくが,WISもMTS構成要素の1つという位置付けである。WISのシステム構成はシンプルで他社の様にコンピュータを収納するキャビネットがない。コンピュータは個々のカメラと一体化されており,カメラビームに収納されている。基本システム構成ではオペレータステーション1台で運転が可能である。またメンテナンスビリティが優れており,CCDモジュール単体の交換が可能(カメラと分離),カメラユニット交換時現場での光量調節が不要(絞り固定,光量調節はシステムが全自動で実施),光源は5年間交換不要の長所がある。操作画面はオペレータの実感覚にあった使いやすい欠点マップを採用しており,欠点画像だけでなく地合表示も可能である。欠点検出では穴,明欠点,暗欠点,密集欠点,紙端欠点,ストリークの他,水滴や油垂れの検出,SDIによる薄汚れ・しわの検出も可能である。トピックとして欠点自動分類+閾値生成機能(Auto Classifier,以下オート・クラシファイアーと呼ぶ)がある。オート・クラシファイアーは欠点の自動分類だけでなく,多大な時間を要する欠点チューニングを自動で行い欠点閾値を自動決定する。
(本文36ページ)


製紙用ロールへの複合表面処理皮膜の適用―非汚染性と耐久性を両立したロール―
株式会社野村鍍金 技術部 仲井 啓治  

 1980年代後半から製紙マシンの高速化や原料中の古紙含有量の増加などにより,製紙用ロールの汚れも増加してきた。このロール表面の汚れは,マシンメンテナンス時間の増大や紙質への悪影響を招き,汚染程度の大きいロールへの非汚染性に優れた表面処理が望まれてきた。
 そのため,非汚染性の高い表面処理としてフッ素樹脂コーティングの製紙用各ロールへの適用が始まり,それなりの効果が認められた。しかし,コーティング膜自体の耐久性の低さから傷がついたり,偏摩耗したり等の要因でトラブルも多く,そのままでは適用範囲がかなり制限される状態であった。
 我々はこの問題を解決すべく非汚染性と耐久性を両立したロールの開発に着手し,1990年に後述するクロムめっきとフッ素樹脂との複合表面処理(タイガーロール及びジャガーロール)を開発し公表した。その後現在に至るまでフッ素樹脂そのものの改良を続けると同時に,クロムめっきやセラミック等の硬質皮膜との複合化についてもより用途に適した表面複合ロールを生み出してきた。これらの改善により開発当初のものよりその性能において格段の向上が認められるようになったのでここに紹介する。
(本文46ページ)


新聞用紙脱墨工程(DIP)におけるインキ剥離のシミュレーション
パシフィック・シミュレーション株式会社 ビル ストランド,ジョエル シェルドルフ  

 紙パルプ専用のソフトシミュレーションと最適化プログラムを取り扱っている米国パッシフィク・シミュレーション株式会社にて実施された,「新聞用紙脱墨工程(DIP)におけるインキ剥離のシミュレーション」に基づき,米国ワシントン州のポンデラリ新聞用紙工場にて行った脱墨工程の改善事例の報告を説明する。
 ここでは古紙からのインキ剥離のシミュレーションと白色度の予測をするために開発された三つの新しいプロセスモジュールをとりあげるが,これらのモジュールは新しく建設された脱墨工程においてシステム全体の白色度を予測するためのシミュレーションとして使用された。更に,脱墨工程のシミュレーションモデルの開発と検証および白色度の向上とコスト削減に基づいくディスクシックナーと洗浄機の評価ついても記述する。
 以上,この三つのプロセスモジュールを使用して構築されたシミュレーションは,コスト削減や白色度の比較をするために設計の検討,評価として実用に供することができる。
(本文51ページ)


段ボール古紙の粘着性物(スティッキーズ)コントロールにコスト効率の良いタルク解決策
日本ミストロン株式会社 早川 伸吾        
ルーゼナック アジア ゲーリー ウィリアムス  

 廃棄物処理の制限や処理コストの高騰という環境側面のなかで,製紙メーカーでの再生繊維利用率は急速に増加している。しかしながら,そうしたリサイクル化が進めば進むほど再生繊維に含まれている粘着物による抄紙設備等への堆積,汚れ,いわゆる粘着物トラブルの発生が引き起こされる。それは製紙マシンの停止という事態を招くことになる。特にOCCパルプを主として使用する板紙メーカーにおいては,それら粘着物を除去,クリーンアップする為に薬品処理等の莫大な費用をかけているのが実情である。
 本稿では,板紙への使用も含め粘着物コントロールの為に新たに開発されたタルクの有効性を示す多様なケーススタディを提示している。従来の薬品処理との比較も本稿に含まれている。結果として,新たに開発されたタルクがOCCパルプ由来の粘着物に対して最も有効的に働くことを明らかに証明している。
(本文58ページ)


コーティングにおけるロッドメタリングの現状
ホースト・スプレンガーGmbH ディルク シェパース  

 HS社のサイザー用及びバー・コーティング用ロッド及びベッドを幅広く供給し,世界の高い占有率を有している。特に長いライフ,トラブル発生を最小限にして且つ仕上面の優れたメタリングが可能になる様配慮している。メッソ社,オートブレード,シムサイザー,フォイト社ロールフレックス,フォイト社スピードサイザー,ヤーゲンベルグ社フィルムプレス,バリバー等に適用されている。直径は10〜38mm迄のロッドをアプリケーション別に供給しており,スターチアプリケーション,ピグメントアプリケーション,板紙プリコート及びトップコートを幅広く使用されている。
 ロッドも表面プレーン,クロムメッキよりプロファイル付と,又表面材質はセラミックも可能である。
 プレーンロッドはハイドロダイナミック力を利用したものであり,プロファイルロッドはボリュームメタリングを可能とし,又プロファイルの深さを変える事により,コーティング量を変動させる。ハイドロダイナミック力を応用の場合は,コーティングスピード,カラーレオロジー,ロッド径等によりコーティング量の変動を可能とする。プロファイルロッドの場合はプロファイルの深さによりカラー容量が決定され,これが紙に転写される。ロッド径,溝の深さにより塗工量は決定される。いずれにせよ,ストリークがブレードと比較して全く少ないと言う特色がある。勿論,カラー固形分,粘度,吸収性,バッキングロール硬度,スピードロッド径,押しつけ圧等のパラメーターが大切な要素である事は言うまでもない。
 ロッドベッドはPE材質,PU材質を供給している。近年はPEが増加しているが,大部分はPUが使われている。PUは弾力性が良い。耐摩耗性等を考えると,PE方向になると思われる。更にコストダウンを考えて,エックストルージョン方式が考えられる。
 表面サイズはクロムメッキ,プレーンロッドが多く使用されている。スターチ溶液の場合はプレーンは適していない。ボリュームメタリング以外に,ピグメンティング,コーティングについてはロッド径20〜38mmで,ハイドロダイナミックを利用する事もある。カートンのプリコーティングは通常ロッドコーティングを使用し,スムースロッドが通常使用されている。ライフが長い。品質が一定。ストリークが少ない等が利点である。新開発として,ロッドの接触部分(Rod Bed)のみを取替えることが可能であり,従来の様にベッド全体を取り替える必要はなくラニングコストを最小にする。
(本文62ページ)


新規クラフトパルプ洗浄工程用消泡剤
サンノプコ株式会社 研究部 島林 克臣  

 苛性ソーダと硫化ソーダを用いて,木材チップを高温高圧下で蒸解し,パルプを取り出す方法をクラフトパルプ法(KP法)という。このとき,化学的に変性したリグニンがアルカリ液中に溶出する。このアルカリ液は黒液と呼ばれ,溶出したリグニンが界面活性をもつために非常に泡立ちやすい性質になっている。クラフトパルプ製造工程ではこの黒液がパルプの希釈水や洗浄水,分散液として循環使用されるため,泡が大量に発生する。泡はパルプの洗浄速度を下げ生産性が低下するほか,洗浄効率を低下させパルプの白色度が低下するなどパルプの品質に悪影響を及ぼす。そこで,泡をコントロールすることは,パルプの生産性と品質を安定化させために重要なポイントとなる。泡をコントロールする方法には機械的方法と化学的方法があるが,クラフトパルプ製造工程では消泡剤を用いる化学的方法が広く採用されている。
 従来から用いられている鉱物油系消泡剤とシリコーン系消泡剤の特徴と,実際の適用例などを紹介する

(本文71ページ)


一様圧縮荷重を受ける段ボール箱型容器(正方形筒)の諸弾性最大応力(異方性胴部の場合)
愛媛大学地域共同研究センター 松島 理  
愛媛大学名誉教授 松島 成夫  

 一様圧縮py0を受ける段ボール箱型容器(異方性胴:幅L,高さh)の弾性応力解析を前報の弾性応力表示によって行い,幅,高さ方向の垂直応力σx,σyおよびせん断応力τxyの最大値σxmax,σymax,τxymaxの特性を議論した。そして,最大主応力σ1および最大せん断応力τ1を求め,その最大値σ1max,τ1maxを議論した。
 σxmaxはポアソン比νxy(y方向の変形のx方向への寄与),L,hおよびx ,y方向の縦弾性係数Ex,Eyの変化に対し一定(νxypy0)である。σymaxはL,hの増加に伴って上下辺域からその辺中央へ,そしてその中央から胴面中央へ移動する。τxymaxはL,hの増加に伴って4隅付近の狭い域の中で移動する。σ1maxはL,hの増加に伴って隅付近から上下辺中央よりh/8の位置に移動し,次にその位置から胴面中央付近に移動する。τ1maxはL,hの増加に伴って4隅から胴面中央に移動し,その面中央から4隅に移動する。σymax,σ1max,τ1maxは,L,hの増加に伴って僅か増加,減少し,Ex,νxyの増加に伴って僅か増加し,Eyの増加に伴って僅か減少する。τxymaxは,L,hの増加に伴って減少,増加し,Ex,νxyの増加に伴って増加し,Eyの増加に伴って減少する。
(本文77ページ)