2004年5月 紙パ技協誌

 

紙 パ 技 協 誌 2004年5月 

第58巻 第5号(通巻第638号) 和文概要


2003年度フォローアップ結果とエネルギー関連情報
日本製紙連合会 間 邦彦  

 日本製紙連合会は1997年より「環境に関する自主行動計画」を定め活動している。その中の地球温暖化対策の1つとして,CO2の排出抑制があり,省エネ目標として「2010年度における紙・板紙の化石エネルギー原単位を1990年度比10%削減する」を掲げている。
 1998年度から1990年度を基点とした前年度の省エネ実績についてフォローアップし,結果を公表している。今回2002年度実績について報告する。
 1990年度に対して2002年度の化石エネルギー原単位は93.4%まで順調に削減されているが,CO2排出原単位は97.7%にとどまっている。これはエネルギーセキュリティから政府による脱石油指導があったことと,コスト上有利な石炭が多用されたことによる。
 また,1990年度に対して2002年度の生産量は9.8%増加したがCO2排出量は7.3%増にとどまっている。その差の2.5%の削減のうち,2.2%は製紙業界の努力によるもので,0.3%は電力会社の努力(発電・送電効率向上,原発比率アップ)によるものである。
 2002年度の省エネ投資額(回答22社)は148億円で,省エネ量(原油換算)は290千kl/年であった。今後の投資計画(回答20社)は445億円,省エネ量は254千kl/年が見込まれている。
 また,日本におけるエネルギー消費量,CO2排出量およびそれに占める紙パルプ産業の位置づけについても触れた。
(本文3ページ)


調成廻りの省エネルギー対策―無負荷動力の低い小型リファイナーへの更新による省エネルギー対策―
日本製紙株式会社 富士工場製造部抄造一課 野村 幸司  

 省資源・環境保護への社会的な要求が高まる中,再生紙の生産量は年々増加してきている。富士工場では平成12年に古紙パルプ製造プラントを増設し,再生紙の需要に対応してきた。色上質紙,再生印刷用紙,コート原紙を製造している7・8号マシンでは古紙パルプの使用比率が高い製品の生産を増加する一方で,バージンパルプを使用する上質紙の生産は減少傾向にある。そのため,NBKPの使用量は従来と比較し減少する状況にある。既設のNBKP調成設備ではこれらNBKP使用量が少ない場合に設備容量・能力が過大となってきており,効率的な電力使用と言えない状況にある。調成設備の中でも特に電力消費の大きいリファイナーに関して省電力化の検討を進めた。
 今回は設備能力の大きな7・8号調成のNBKP用リファイナー(26インチ,450kW)を省電力化の対象とした。2台のマシンでのNBKP使用量のシュミレーションを行ない,最も省エネルギーメリットが高いリファイナーの稼動条件を検討した。その条件に応じた無負荷動力の低い小型のリファイナー(20インチ,190kW)及び適正流量のポンプを選定・導入を行ない,NBKP使用量,Δフリーネスの条件に応じて既設リファイナーと切換え運転をすることによって省電力の追求を行なった。
 本工事での電力削減量は小型のリファイナー導入により年間570MWh,ポンプ更新で106MWhの効果が期待される。
(本文16ページ)


抄紙工程に於ける省蒸気―直送パルプ昇温及び抄紙白水再使用による蒸気量の削減―
三菱製紙株式会社 八戸工場設備技術部設備技術グループ 千葉  晋  

 三菱製紙株式会社は,環境憲章による2005年までに1999年CO2排出量の20%削減に取り組んでいる。八戸工場は,平成13年からISO14001環境改善計画として「エネルギー原単位の向上」に取り組み,蒸気及び電力原単位の毎年1%向上を目標とした。この達成のために,工場排水での熱排出減少が蒸気削減に繋がるとの観点から,平成13年に各工程の調査等を実施して節水基本計画案を作成した。
 これをもとに平成14年に実施した,3〜6号マシン直送パルプ昇温設備での黒液真空蒸発缶表面復水器温水の利用効率化及び6号抄紙白水再使用設備での砂ろ過機のコンパクト化について紹介する。
(本文20ページ)


スクリーンの省エネルギー
北越製紙株式会社 関東工場市川工務部施設課 二瓶 智光  

 北越製紙(株)関東工場市川工務部は,白板紙等の再生紙を主製品として生産している工場で,都心に近い立地条件を生かし,首都圏近郊から集荷される古紙を主原料として稼動している。近年は,古紙品質が悪化傾向になってきているが,求められる紙の品質は逆に厳しくなっており,この品質レベルに大きく関係してくる設備が原料調成パート及びマシン前のスクリーン設備である。
 異物除去のレベルアップを主目的として,スクリーン設備周辺機器を含めた広範囲の設備更新を実施した原料調成パートの事例と,スクリーン内部のバスケットとローターのみを更新したマシン前スクリーンの事例2件について紹介する。
 どちらも主目的は達成され,且つ予定通りの省電力効果を得ることが出来,両件共にメリットの高い工事であった。
(本文27ページ)


51号抄紙機・ガス式赤外線乾燥システムの効率向上対策―省エネと実操業への対応―
日本大昭和板紙吉永株式会社 抄造部抄造1課 荒川 泰則  
工務部動力課 工藤 喜弘  

 日本大昭和板紙吉永株式会社は,平成15年4月に,日本製紙・大昭和製紙合併に際して発足した会社であり,「循環型資源リサイクル工場」として操業を行なっている。
 当社は,旧大昭和製紙発祥の地にあり,昭和初期から紙作り一筋に発展してきた。昭和60年代から平成にかけては,7台の板紙マシンを停止して2台の大型マシンに集約化し,また,洋紙,エネルギー部門に至るまで大規模な設備投資を行い,近代化のあゆみを一層充実させてきた。
 本テーマである51号抄紙機は,既設の3台のマシンで抄造していた特殊板紙を移抄するとともに,新たに高級板紙の分野にも進出すべく,平成4年7月に稼動した。操業開始から11年が経過した現在でも,印刷適性,作業性などの品質面において,各ユーザーの皆様から高い評価を頂いている。本報告では,省エネの一環として行なった,51号抄紙機コーターガス式赤外線乾燥システムの,省エネ対応機器導入および実操業への取組みについて述べる。
(本文30ページ)


4号ボイラー最低負低減による大気放出削減
王子板紙株式会社 祖父江工場工務部動力課 太田 純也  

 当工場の4号ボイラー(循環流動層式)は1995年に3号ボイラー(重油焚き)から燃料転換のため稼動した。 4号ボイラーの最大蒸発量は120t/hで4台のマシンが稼動していた時は,95t/h〜120t/hで運転していた。2002年より大型マシン1台の稼動日数が減少し,2003年1月より休止したため負荷は75t/h〜96t/hとなった。
 低負荷運転では,火炉底部の燃焼空気吹き込み口のノズルが閉塞してくる。このため,最低負荷を75t/hにして運転していた。大型マシン休止後,その他のマシン休転整備時には工場使用電力が減少し,ボイラー負荷が75t/hでは,発電電力が多すぎて電力会社へ逆送となるため,タービンバイパスで大気放出する運転状態が発生してきた。
 大気放出を減少させるためには,ボイラーの負荷をさらに下げる必要があり,そのため燃焼用空気吹き込み口であるグリッドノズルの改造が必要となった。
 グリッドノズルの形状をピッグテイルノズルからアローヘッドノズルに変更することによりノズル穴にベッド材の侵入を防ぐようにし,低負荷運転でもノズルが閉塞しないように対策した。
 現在の最低負荷は62t/hまで下がっており,計算による閉塞率は23%と問題ない状況であり大気放出はせずに運転できている。ボイラーの低負荷対策による大気放出削減量は約600t/月となっている。
(本文35ページ)


各種ボイラー廻りの省エネルギー対策
日本製紙株式会社 岩国工場 玉井 照彦  

 岩国工場火力発電所は,バークボイラー1缶,重油ボイラー2缶,回収ボイラー3缶(予備2缶含)の計6缶のボイラーと9機(予備3機含)のタービンで構成され,エネルギー需要の全てを賄うことができる。工場では,過去より操業方法の改善による省エネ対策や廃熱の回収,高効率化等の様々な省エネ工事を実施しており,大型工事としての高効率設備新設も行ってきた。省エネ推進がより重要となってきた昨今ではあるものの,効果的な省エネ案件が見出し難い状況ともなってきている。
 本稿では,「マグナドライブ設置による省エネ工事」〈H15年10月実施済〉,「重油ボイラーの排ガス熱回収(S―CON取付)」〈計画〉について報告する。
 マグナドライブは,永久磁石(負荷側)と銅/鉄ディスク(モーター側)で構成された電磁カップリングで,磁力によりトルクを伝達する設備である。両ディスクの距離を任意に調整し,回転数制御させることもできる。
 S―CONは,接ガス(ボイラー排ガス)部を全てテフロンライニングした熱交換器で,酸露点以下まで熱回収が可能となることに加え,紫煙対策としての効果も期待できる。
 回転数制御及び廃熱回収による省エネは,どちらも昔から実施されている内容ではあるが,新技術という意味で紹介する。
(本文39ページ)


発電所の省エネルギー
中越パルプ工業株式会社 能町工場施設部汽力課 久保 忠幸  

 日本経済は依然として不透明な状態が続いており,各企業は生き残りをかけたコスト削減に努力しているところである。紙・パルプ業界においてもコスト削減と地球環境問題から省エネルギーは最重要課題として取り組んでいる。私達の工場でも各工程において省エネルギーを進めているが,No.1コーターマシン(平成10年4月),DIP設備(平成11年10月)の稼動により工場の発生蒸気量,使用電力量が共に増加してきた。少しでも工場の負荷を下げる為に取り組みを行い,4号ボイラーの脱硫循環水(約70℃)を利用することと純水装置行の原水の温度が低いことに着目した。その結果,4号ボイラーの1次FDF,2次FDFにプレヒーターを設置し,通水することにより蒸気式A/Hの蒸気使用量の削減と純水装置行原水の取出し変更により温度の高い冷却水のみを原水の取出しとし,純水の温度アップを達成すること出来た。又,脱硫装置の熱回収により237.3kl/月,純水の温度アップにより65.0kl/月,この2つの取り組みにより302.3kl/月の重油削減を可能とした。
(本文44ページ)


ウエットエンドプロセスにおける最新のオートメーション
フォイトペーパーオートメーション株式会社 内河 英臣  

 アプローチフロー装置は,ヘッドボックスの直上流のデリケートな領域であり,常に全てのプロセス変動を最小に抑えることが出来れば高品質の紙の生産性を著しく効率良く行うことが出来る。
 圧力,流量および濃度の変動は,現在の処理技術で十分であり,また測定機器の急速進歩により,アプローチフロー装置における紙料懸濁液の化学的挙動を制御できるようになってきた。特にリテンションコントロールをオンライン測定パラメータと組み合わせれば,生産工程を向上し,かつ高品質な製品が得られる。生産される紙の組成によって総歩留まり,填料歩留まり,充填あるいはガス含有量を制御しなければならいない。
 これからは全ての抄紙機の制御として,これらの技術を組み込み,損失を最小にし高品質の生産管理を行う制御概念の実施が望まれる。
(本文49ページ)


環境ソリューションへの取り組み―窒素式脱酸素装置など―
東洋紡エンジニアリング株式会社 環境ソリューション事業部 浦 悟  

 1) 窒素式脱酸素装置
 昨今日本の製紙業において人体に有害な化学物質を使用しない操業が推奨されている。ボイラー薬品にもヒドラジンなどの有害物質が含まれているが,弊社は窒素ガスを使用してボイラー薬品の大部分を削減する脱酸素装置を開発したのでその技術概要を紹介する。
 2) 特殊フィルターを利用した凝集ろ過装置
 排水中の重金属等の規制は年々厳しくなる一方であるが,既存の排水処理設備を改造するのは費用と手間が多くかかる。そこで水酸化マグネシウムを固形化したペレットとフィルターを組み合わせた特殊フィルターを利用して,コンパクトな設備で追加改造できる技術を紹介する。
 3) 廃棄物焼却炉ダイオキシン,CO対策装置
 廃棄物焼却炉は完全燃焼することでダイオキシンも一酸化炭素濃度も下がる。既設焼却炉に高圧エアー噴霧ノズルを設置することで完全燃焼を促進するシステムの技術を紹介する。
(本文57ページ)


SSI破砕機のベールブレーカーとしての応用用途開発―パルパー投入前処理を行うことによる安定操業,機能性の向上―
日本車輌製造株式会社 産業機械部 前田 正樹  

 SSI Shredding Systems社(以下SSI社)は,1980年の設立以来,アメリカでの圧倒的な産業廃棄物の処理量と多様性の中から多くの経験を積みノウハウを築き上げてきた。
 その技術力は高く評価され,アメリカ国内はもとより世界各国に合計1,500台以上の納入実績を持ち,日本へも150台を超える機械が輸入され現在稼動している。
 本報では,SSIが得意としている低速回転,高トルクを特徴とする2軸破砕機を応用し,製紙業界向けにベールブレーカーとして用途開発をしたので,SSI社の基礎技術とともにご紹介する。
 ベールブレーカー自体は,アメリカ国内での大型,高処理能力パルパーでの連続離解処理の安定操業,濃度の安定化,薬品のコストダウンを主目的として,パルパー投入前のプレ処理用に開発されたものだが,高濃度連続処理が主流となりつつある日本でも活躍の場があるはずである。
(本文61ページ)


自動パレットフォーク輸送システム―全自動パレット―ロボット装置―
株式会社丸石製作所 技術部 稲葉 進  

 丸石製作所は1991年よりドイツのREKER社と技術提携をしていて平判スキッド自動包装機(Pallet Shrink―Packing Machine),スキッド紙粉除去装置(Pallet Dust Remover)等の製品を製造・販売している。今回はその中でパレット―ロボット装置を紹介する。
 パレット―ロボットとは全自動のフォーク式スキッド搬送システムである。
 その特徴としては完全無人運転が可能なことは勿論のこと,取出し搬送中もスキッドの上部を押えているので荷崩れの発生がなく安定した品質を保てる。また回転トラバース機構により90°或いは180°のターンも可能なので複数配列のスキッドをどの位置からも取出す事が出来る。そのようなことからレイアウトによってはシーター3台までのスキッド搬出を1台の装置で対応可能になっている。
 このように搬送ラインにおける省力化及び高品質化に有効な手段である。
(本文67ページ)


板紙の圧縮強さ及び破裂強さに影響する試験条件の検討
王子製紙株式会社 総合研究所分析センター 伊藤政孝,泉 英樹,吉田芳夫  

 JIS P3902段ボール用ライナには,JIS P8126板紙の圧縮強さ試験方法(リングクラシュ法)による圧縮強さ及びJIS P8131紙及び板紙のミューレン高圧形試験機による破裂強さ試験方法による破裂強さが製品規格として規定されている。圧縮強さ及び破裂強さは,試験機間の機差が比較的大きい問題が従来から指摘されており,現在でも解消されていないのが実状である。本報では,圧縮強さ及び破裂強さに影響すると考えられる試験条件を取上げ,弊社及びグループ会社で使用している試験機,試料などを対象に機差を小さくする試験条件を検討した。
 圧縮強さに影響する試験条件は,上下加圧板の平行度,試験機本体に対する試験片支持具の位置,試験片支持具に対する試験片合わせ目の位置,打抜きカッター及び圧縮試験機本体であった。試験片支持具の溝幅(中子の直径)及び試験片の差込方向(加圧板に接する試験片の上下の位置)は圧縮強さに影響しなかった。
 破裂強さに影響する試験条件は,ゴム隔膜を締付け面から高さ10mmまで膨らましたときの圧力及び破裂試験機本体であった。試験片締付圧の影響は小さく,液体(グリセリン)の粘度は破裂強さに影響しなかった。
 以上の結果から,圧縮強さ及び破裂強さに影響する試験条件を統一することにより機差を小さくすることが可能であると考える。
(本文82ページ)