2002年12月 紙パ技協誌

 

紙 パ 技 協 誌 2002年12月 

第56巻 第12号(通巻第621号) 和文概要


オプティロードカレンダについて―マルティニップカレンダ―
住友重機械テクノフォート株式会社 製紙機械エンジニアリングG 岩永 圭  

 カレンダの新規な革新的技術はいろいろなグレードの紙を仕上げる方法を変えつつある。これらはより速い速度で操業可能で,しかもより良好な表面特性と構造特性を有する紙を生産できるので,従来よりオンライン操業の可能性が高くなる。メッツォは最近,高速ソフトニップカレンダやOptiDwellロングニップカレンダの外に,OptiLoadマルチニップカレンダを稼働させている。
 カレンダリング工程が指向しているグレード別の展望は,新聞用紙から,非塗工上質紙,SCグレード,各種塗工紙にまで渡っている。
 OptiConcept抄紙機はオンラインカレンダリングを大いに利用するであろう。しかし,ダブルコートやトリプルコート印刷用紙のような高級グレードの仕上げでは,オフラインカレンダリングが主要なコンセプトとしてあり続くものと予想される。今後,ある種の非塗工中質紙や上質紙の仕上げにどれほど早期にどの程度まで新しいロングニップカレンダリングやオンラインオプティロードカレンダを適用できるかが注目されてきている。
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システマティックアプローチ・ヤヌスMK2
株式会社アイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー 安藤 英次  

 スーパーカレンダは高品質カレンダリングの第一手段として数十年にわたって君臨しているが,カレンダリングプロセスに関しては大きな発展がない。一方ソフトカレンダは樹脂ロールの進歩と共に発展を続け,いくつかの品種に於いてスーパーカレンダを代替しているが,すべての品種に於いて完全に払拭するに至らない。
 1996年にオンライン・スーパーカレンダとしての成功を収めたフォイト社のヤヌスカレンダは,多くの実験データをもとに材料から手法にいたる新技術を積極的に導入して開発したものである。ヤヌスカレンダに於いてスーパーカレンダ品質を高速化できる理由は樹脂ロールと高精度ハードロールにある。
 自己発熱を抑制し,局部的オーバーロードに対応した樹脂ロール,長期にわたって性能を維持するロール表面処理技術等,理論だけでなく実操業で耐えうる高品質ロールの開発と実操業で想定されるあらゆる問題への対応やユーザーの要求を的確に反映したシステマティックな開発の成果である。本報においてその具体的内容について紹介する。
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仕上巻取ロール用シングルドラムワインダーの進歩
フォイトペーパーグループ ヤーゲンベルグ株式会社 高橋三千夫  

 近年印刷業界より益々出荷ロール品質の要求が厳しくなって来ており,製紙工場としても巻取ロールの品質の改良に努める必要がある。また,抄紙機の高速化に伴いワインダー速度も増加することが必要となってきた。この巻取ロールの品質改良のために,フォイトペーパー・ヤーゲンベルグ社はセンターワインディング方式によりメインドラムとのニップ圧を最少にし,紙に対しストレスを与えずワインディングを可能とした。センターワインディング前のシングルドラムワインダーはメインドラムにニップ圧を加え,ワインディングトルクをセンタードラムより取りワインディングをしていたため,大きなトルクが必要な場合はやはり高いニップ圧でワインディングをしていた。高ニップ圧で巻くことはやはり紙にストレスを掛けることになる。但し,2ドラムワインダーと違い,巻取ロール自重増加によるニップ圧増加はない。従って2ドラムワインダーの時代より巻取ロール品質はかなり改良されたが,更なる品質の向上を市場から求められセンターワインディング方式を採用した。シングルドラムワインダーの欠点であったマニアル枠替えを完全に自動化し,オペレーター1人で運転可能とした。コアーも自動供給,自動セット,巻取ロールの自動テーピング,巻取ロール卸しも全て完全に自動とした。ジャンボロールの枠替え時にのみヘルパーが必要となる。
 以上高品質巻取ロール,自動化により省力化等ワインダープロセスの近代化を計り,仕上工程での省力化を計ったものである。
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ウィンロールワインダーについて―ワインディングコンセプトとウィンロールワインダー―
住友重機械テクノフォート株式会社 製紙機械エンジニアリングG 瀧井 仁志  

 グラビア印刷用,LWC,新聞用紙のサイズの増大,印刷機の高速化,及び紙品質や製紙工程の高速化がなされ,ワインダーに対して,高速化した抄紙機に見合った能力をもつ,そして,一人のオペレータで全体のワインダープロセスを取り扱える,即ち,マニュアル作業を極力少なく,という要求が増加してきた。
 この市場ニーズに応えるシングルドラムワインダーとして,Metso社は,「ウィンロールワインダー」を開発した。
 従来のシングルドラムワインダーでは,オペレータによるところが多かった「アンワインドスタンドでの紙継」「通紙」「コア供給」「巻取りロール端末処理」を完全自動化し,一人運転を実現し,オールセットチェンジ時間を短縮した。巻取りロールの大径・広巾化の要求にもとづき,従来のライダーロールの機能に,更に新しい機能を追加することにより,最大幅4m,最大重量10tonという巻取りロールを生産することが可能となった。2000年Upm―KymmeneのJamsankoski PM5ラインに取付けたウィンロールワインダーは,3,000m/minの速度で高品質の巻取りを行った実績がある。
 1997年の初号機以降,新聞用紙,LWC, SC紙向けに,すでに12台が稼動している。JRワインダーとウィンベルトワインダーのそれぞれの長所を融合して出来たこの新型ワインダーが,巻取り品質の改善と能力の向上の点で,製紙工場に多くの利点をもたらすことを期待している。
(本文18ページ)


リール―ワインダ間親巻自動搬送設備について―リール―ワインダ間の省人化への取り組み―
三菱重工業株式会社 猪原 誠  

 抄紙機にて抄き出され,リールに巻取られた親巻きはクレーンより吊り出し,搬送され,ワインダに供給される。またワインダで巻取られた後のスプールは損紙を除去され,クレーンにてリールに戻されるのが一般的である。これに対して従来より,これらのクレーン作業を廃するリール―ワインダ間の自動化,省力化が求められている。
 この課題を達成するためにH10年に日本製紙株ェ代工場N―2M/C,大昭和製紙竃{社工場吉永殿NO.14M/Cに親巻き自動搬送装置を納入した。これによりリール―ワインダ間の親巻きとスプールの搬送無人化を実現し,搬送時間短縮を図れると共に通常のクレーン作業をなくし安全性を向上した。
 抄紙機の高速化に伴いワインダ2台配置となっていくことによる親巻き自動搬送装置について弊社の考えるシステムを紹介すると共にリールワインダ間の親巻き自動搬送の完成自動化を目指していく。
(本文24ページ)


スリッティング:欧州において成功している技術―スリッティングの最新技術,特に「ダスト除去」について―
ディーネス・ヴェルケ株式会社                   
ルドルフ・S・ディーネス,ノーバート・ランツェラート  

 欧州のスリッティング業界では,製品の品質と生産の向上を図るために「カッティング技術」の改善が本質的な問題であるということを自覚してきている。
 「材料の切断」イコール「材料の破壊」であるから,ディーネス社では「アンチ・ダスト・プログラム」を作成し,スリッティング機構の正しい設計理論を確立した。
上刃については,軸方向の圧力をスプリングではなく,2個のエアシリンダーで与え,側圧0ニュートンからの調整を可能にした。また,シェアカットにおいては,下刃に対して 上刃を0.5度程度傾斜させることにより,紙端の状態が良好でダストの少ないスリッティングを可能にした。
 また,カッターホルダーにも新機構を取り入れ,2軸のベアリングブッシュ付きガイド方式とし,クリアランスを±0.005mm以下とした。
 材料についても検討を加え,セラミック材(DIENES POWDER METAL)により,10〜20倍の寿命を得ることができた。また,刃の表面にADS(anti dust surface)処理を行ない,ダストの発生を最少にした。
 下刃については,サーボモーターと工業用パソコンを組み合わせた個別位置決めシステムを開発し,このパソコンを使い,作業の管理も同時に行なえるようにした。
 これらのディーネスシステムは全世界中で500セット以上も採用され,順調に稼動している。
(本文29ページ)


全自動巻取包装機の現状
川之江造機株式会社 営業部 小笠原 武  

 巻取ロール(製品)の最終仕上げ工程である包装作業において,大量且つ多種の包装仕様が要求されるようになってきた。工場全体の生産管理をコンピュータにより管理するようになり,巻取包装機に於いても包装に必要なデータがオンラインで通信されることで,多種類包装の自動化が可能な条件が整ってきた。そこで,巻取包装機の処理量の増大及び包装仕様の多種対応を可能とする事で,複数抄紙機からの巻取ロールの包装作業を可能とした。
 本機の構成は,バーコードリーダ,インクジェットプリンタ,包装機,ラベラ等からなっている。このように巻取包装機はロール包装を行うだけでなく,各ロールの情報伝達をも含んだ最終仕上げ設備として位置づけられる。
 各パートの操業データの設定,変更はタッチパネルにて簡単に入力可能で,操業者教育は比較的短期間に終了する。
 本機は製造工程での最終段階設備として多数の実績と高い信頼性を実現している。
(本文38ページ)


オプティマ〈新開発 多重式ロール包装システム〉
株式会社丸石製作所 技術部 白金 康彦  

 抄紙機の増速化,印刷機用巻取りロール紙の広幅及び大径化の要求に伴い,各メーカーより高重量巻取り,及び省力化に伴う完全自動化設備を付加した高品位なワインダーが開発され,高品質な巻取りロールの安定した生産が行われている。このような背景により,複数のワインダーで処理された多種類のロール紙を1台の巻取り包装ラインに統合し,多様化する包装形態への対応と安定した高速処理を行う事が,近年の仕上げ工程における合理化の基準となっている。
 結果として,システム管理者1名による150ロール/時以上の処理能力を持つ設備が,世界的に要求されるようになり,総合的なFA化の導入によるオンライン制御,ロボットシステムの採用,インデックスコンベアの改良などによって現実的なものとなっている。
 今後,更なる合理化の推進が予測される中,前述した世界的な動向を踏まえ,各工場における様々なニーズに適応した設備として,技術提携先であるSAIMATEC社と共に開発を進め,新たな技術として紹介していきたいと考える。
 本文では,世界各国で高い評価を受けているロボラップシステムの設備構成と,更なる合理化の提案として,新開発のオプティマ<多重式ロール包装システム>について紹介する。
(本文44ページ)


紙パルプ工場における物流管理システム
横河電機株式会社 IS事業部コンサルティング部 竜崎 順一  

 ここ2〜3年の間に紙パルプ工場を取り巻く情報処理関連のシステムは大きく様変わりしてきている。先進的で戦略的な情報利用技術へのニーズに対して,数々のシステムが提案されるようになってきているからである。
 紙パルプ工場内での物流管理システムもこれらの流れを受けて省力化や部分的最適化から同一生産系列や工場全体のように,より広い範囲の情報管理システムへと変化してきている。システムの構築に際しては,多くの部門,多くの設備メーカーとの調整や,最新のコンピュタ―技術が必要となり,十分な経験を持ったエンジニアによる総合的なエンジニアリングの重要性も益々高くなってきている。本報ではこれらの背景の中で最近導入されているシステムの機能概要をご紹介する。
(本文54ページ)


N―1コーターにおけるヤヌスカレンダーの操業経験
王子製紙株式会社 米子工場抄造部 近澤 彰  

 米子工場のN―1マシン・N―1コーターは,日産700トンの上質塗工紙生産能力を持つ大型高速設備で1997年9月に営業生産を開始した。
 N―1コーターは,最大塗工幅7,290mm,設計塗工速度1,600m/分の単段塗工式オフマシンブレードコーターであり,コータ本体設備は三菱重工業製となっている。また,N―1コーターには,フォイト・ペーパー社製の「ヤヌスカレンダー」を世界で初めてオンラインに設置し,オフラインスーパーカレンダーと同等のグロス・平滑度の塗工紙生産を可能としている。ヤヌスカレンダーは,2―スタック,5―ロールの構成となっており,常用塗工速度1,500m/分,線圧150〜250kN/mにて使用している。リールパートでは,グロス仕上げした塗工紙を高速で巻取るために新型の「TNTリール」を採用した。
 本報では,ヤヌスカレンダーの設備概要と操業経験について紹介する。
(本文61ページ)


第17回ISO/TC6国際会議報告
紙パルプ試験規格委員会        
東京農工大学農学部 岡山 隆之  
日本製紙株式会社 加納 直  
紙パルプ技術協会 大石 哲久  

 ISO/TC6国際会議が2002年6月10日〜14日,パリで開催され,日本代表として紙パルプ試験規格委員会(兼ISO/TC6国内委員会)から筆者ら3名が出席した。岡山紙パルプ試験規格委員会副委員長をリーダーとして出席し,3名で分担して全会議に出席したので,会議の概要について紹介する。
 なお,次回のISO/TC6国際会議は,2003年11月3日〜8日東京で開催される予定である。
(本文67ページ)


HBSパルプ化(4)―パルプのECF漂白とHBS溶媒の熱安定性―
北海道大学大学院 農学部 オリギル,梶本 純子,佐野 嘉拓  

 RHBSを用いてHBSパルプ化したトドマツ,シラカンバおよび葦の各パルプをECFシークエンスで漂白した。トドマツおよびシラカンバの漂白パルプの強度特性は共に,相応する晒クラフトパルプに匹敵し,引裂き強さは漂白により著しく改善された。70%と80%の1,4―ブタンジオール(BDOL)水溶液は220℃,2時間加熱しても定量的に回収され,BDOLをパルプ化溶媒として繰り返し使用できることが示された。また,パルプのHBS洗浄液を用いてHBSパルプ化しても,パルプ化の結果に何ら支障がないことから,パルプ廃液のみに水を加えてリグニンを回収し,RHBSを再生する省エネルギープロセスによりHBSパルプ化が可能である。
(本文78ページ)


一様圧縮を受ける段ボール箱型容器(正方形筒)の弾性変形解析
愛媛大学地域共同研究センター 松島 理  
愛媛大学名誉教授 松島 成夫  

 上下辺が支持された段ボール箱型容器(正方形筒:幅L/高さh=1/2〜2)の側辺に一様圧縮荷重が働く際の弾性変形表示を導出し,応力,ひずみの特性を議論した。
 幅,高さの中心線に対し,幅,高さ方向の垂直応力σx,σy,垂直ひずみεx,εyは対称に,τxyは反対称に生じる。εxは主に正値,εyは負値であり,最大εxは上下辺に,最大|εy|は上下辺からL/7の距離の側辺にある。最大εxは最大|εy|の1/10程度である。最大|σx|はL, hの増加によらず一定であり,最大|σy|は,Lの増加に伴い僅かな増加を,hの増加に伴い僅かな減少を示す。最大|τxy|は,Lの増加に伴い顕著な減少を,hの増加に伴い顕著な増加を示す。Lの増加に伴うεxの最大値はまず僅かな増加を,次に顕著な減少を示し,Lの増加に伴う最大εxは顕著な増加,減少を示す。L, hの増加による最大|εy|の変化は僅かである。
(本文85ページ)