第68巻  第4号  和文概要
 
第68巻  第4号  和文概要


DKPの操業経験

日本製紙株式会社 釧路工場 工務部原質課
(現所属)オーストラリアンペーパー社 メアリーヴェール工場 製造部  堀崎  敬史

  近年,中国を中心としたアジア地区の著しい経済発展を背景に,服飾・不織布向けを中心としたレーヨンの需要が伸びている。
  レーヨンの原料は,コットンリンターと溶解パルプの2つがあるが,溶解パルプは収穫量が天候に左右されやすいコットンリンターとは異なり,工業的に製造されるため安定した供給が可能であることから,市場では今後も安定した需要が見込まれるとされている。
  溶解パルプの製造は,従来,サルファイトパルプ化法(SP法)による製造が主流であったが,近年クラフトパルプ化法(KP法)による製造技術が発展してきたことにより,欧米の製紙各社が,紙需要の減少に伴うクラフトパルプ生産設備の余力を需要が見込まれる溶解パルプの生産に切り替える動きが盛んとなっている。
  KP法による溶解パルプの生産は,これまで主にバッチ釜を主体としたものであったが,近年,連続蒸解法による製造方法が開発された。
  高まるレーヨン需要を背景に,日本製紙葛路工場は2012年,針葉樹では世界初となる連続蒸解釜を用いた溶解クラフトパルプ(DKP)の生産を開始することを決定した。
  DKP化にあたっては,
  1)  既存のチップ供給系の更新
  2)  前加水分解釜の設置
  3)  木釜頂部トップセパレーターの更新
  4)  リボイラーの設置
を行うとともに,KPとDKPのスイッチング操業が可能な設計となっている。
  工事は2012年9月末に完工,翌10月よりDKPの生産を開始し,2013年3月より商業生産を開始している。
  本稿ではDKP化切替工事および立上後の操業状況について報告する。
(本文3ページ)


カンバス洗浄装置の操業経験

王子マテリア株式会社 釧路工場  角屋  勘一郎

  王子マテリア葛路工場L-1マシンはライナー原紙を日産1,370t/日で生産している国内最大級のライナーマシンである。
  L-1マシンの抄造するライナーは3層で構成されており,裏層がフォードリニア,中・表層がベルボンドフォーマーの抄き合わせ構造である。
  仕上歩留を向上させる為,ドライパートに堆積するガム・ピッチ由来の種々の欠点対策を講じて来ているが,特に2群下段カンバス表面に堆積するガム・ピッチに苦慮していた。
  2012年6月よりブレード式カンバスクリーナーと高圧洗浄式カンバスクリーナーを併用する事で良好な結果を得られた。本報ではその検討と操業経験および効果について報告する。
  以下に,テスト機段階での効果の数値を挙げる。なお,本設化に対する報告は,本文にある。
  ・テスト機設置後の効果
  高圧洗浄式カンバスクリーナーのみを起点(100%)とした,裏ガム欠点個数の減少量を述べる。
  高圧洗浄式を停止し,ブレード式のみとした場合で62.3%削減,更に高圧洗浄式を併用すると79.2%の削減が認められた。何れも評価期間は2週間のデータ比較である。また,裏ガム欠点起因の欠点損紙量も約90%削減され,大きなコストメリットの確認に至った。
  以上より高圧洗浄式カンバスクリーナーとブレード式カンバスクリーナー併用により十分な効果が確認出来た為,ブレード式カンバスクリーナーの本設化の検討に進んだ。
(本文7ページ)


食品容器用原紙の品質管理

王子エフテックス株式会社 技術本部  松崎    直,上沼  雄一

  当社の製品は特殊印刷用紙,機能紙,特殊板紙,フィルム製品に大別されるが,食品業界のほか,建装業界を含めた印刷業界,自動車産業や電気・電子産業向け等に各種機能性素材を提供している。
  本稿にて紹介する食品業界向けには,非フッ素系耐油剤を使用した「耐油紙」,グラシン紙などにシリコンを塗布した「食品セパレート紙」等を生産している。
  これらは各顧客ニーズに応じた容器包装用素材としての機能を発揮させる必要がある。それと同時に顧客に安心して使用して頂くためには,製品の安全性確保が不可欠であり,使用原材料を厳密に管理していくことが重要である。
  当社では食品用途製品の製品安全性管理において,各種法規制や業界自主管理に対する適合性の遵守はもちろんのこと,王子グループの「製品安全憲章」が示す方針に基づきより厳しい基準を設定している。また,異物混入防止対策,異物流出防止対策,衛生管理体制,防虫管理体制については操業現場,工場品質保証部門が一丸となって日々よりよい製品つくりを行うとともに本社品質管理監査部門による管理体制の定期監査を通じて,安全性の管理レベル向上に日夜取り組んでいる。
(本文12ページ)


パルプ配合によるコンクリートの耐凍害性の改善

中越パルプ工業株式会社 高岡本社 開発本部開発部  紙屋  由貴,田中  裕之,高橋  創一
北陸電力株式会社  山田  真一
ジオスター株式会社  下中村  圭太
株式会社アバンアソシエイツ  越村  吉隆

  火力発電所では,燃料である石炭の燃焼により大量の石炭灰が発生する。昨今の景気低迷に伴いセメント会社の石炭灰引取り量が減少したことに加え,東日本大震災以降の火力発電所稼働率上昇により石炭灰発生量は増加している。そのため,石炭灰の有効利用技術の開発は喫緊の課題となっている。
  石炭灰のうちフライアッシュ(以下FA)をコンクリートに配合し,有効利用することは従来から行われている。しかし,FAを高配合化すると強度や耐久性が低下する問題がある。このため,FAを配合した一般的なコンクリートのFA配合率は15重量%(FA置換率15%)程度であり,最大でも30%とされている。
  建築材料に植物繊維を配合する技術として,古くから土壁に藁を配合する技術がある。藁は土壁において壁の補強,亀裂防止,曲げ強度を向上させる効果がある。そこでコンクリートにパルプを配合することにより同様の効果が期待できると考えた。
  本検討では,パルプ配合によりFA高配合コンクリート(FA置換率60%)における強度,および耐久性の低下の改善を試みた。強度の材齢による変化の観察,および耐久性の指標として凍害(コンクリート中の水分が凍結・融解を繰り返すことにより表面に剥離やひび割れが引き起こる現象)に対する耐性試験を行った。
  その結果,パルプを配合することで,強度は実用化に耐えうるレベルに到達し,耐凍害性は飛躍的に改善した。これは,パルプ繊維の配合が,FAとセメントの密度差に起因する分離を抑制したことが一つの要因であると推察した。また耐凍害性は,パルプ繊維の中空構造による凍結融解時の損傷の低減の結果,改善されたと予想された。
(本文16ページ)


キルン焼成能力増強工事とその操業方法の確立

日本製紙株式会社 岩国工場 原質課  濁川  孝治

  日本製紙では,2011年8月に国内洋紙市場の縮小をはじめとした厳しい経営環境に対応すべく,復興計画を策定した。この復興計画では,設備停機を含めた固定費圧縮による競争力強化も進められ,岩国工場においては,隣接する大竹工場のKP工程停機に対応し,パルプ供給を行うこととなった。
  このため,岩国工場ではパルプ生産量が増加する事となったが,2系列のKP工程をフル稼動するための白液が不足する事が予想された。白液生成量は,キルンの能力不足が律速となっており,能力増強により石灰焼成量を増加させる事が必要となった。
  この課題に,設備的な改善(キルン内レンガ更新,供給スラッジ含水率の低減等),操業条件の検討(石灰クーラー制御変更,キルン回転数制御方法等),薬剤(脱水助剤,ダムリング防止剤)の併用などで対応した結果,焼成石灰量は従来の毎時6トンから9トンへと増強することができ,KP工程のフル稼働が可能となった。また,従来に比べて熱エネルギーのロスが減った事もあり,CaOトン当たり約8%の重油原単位の良化となった。
(本文21ページ)


新規歩留用ポリマーの設計

ハイモ株式会社 湘南研究センター  林田  豪一,村田  奈穂,吉岡  芳美,峰岸  由希子

  近年,古紙配合率の拡大や用水のクローズド化によって抄紙原料中には微細繊維,灰分,アニオン夾雑物といったものがますます増加傾向にある。この状況下において,既存の歩留向上剤は効果不十分である場合が多い。複雑多様化していく抄紙原料に対応する新規な歩留向上剤を設計するためには,これまでの分子量やイオン性の議論にポリマーの構造や絡み合いの観点を加えていく必要がある。本報告ではこれらの制御により紙料性状に対応した最適なエマルジョン歩留向上剤が得られたことを報告する。
  従来構造のポリマーは凝集力向上のために分子量を上げていくと絡み合いによって電荷の反応性が低下するという問題があった。微細繊維分を多く含む系においては電荷の反応性は重要な因子と考えられる。よってポリマー構造と絡み合いを制御し,凝集力と電荷反応性を高いレベルで両立することを検討した。
  開発品はGPC―MALS測定によって構造の差異が確認され,溶液の粘性挙動からは絡み合いが低減していることが示唆された。またポリマー電荷の反応速度を測定し,反応性の向上を確認した。
  微細繊維分の異なる紙料を用い,歩留試験を実施した。従来品は微細繊維分の増加に伴って効果が不良となったが,開発品は高い効果を保った。また実機抄造においてもその効果は確認されている。
  これらの結果は開発品が設計通りに微細繊維への高い反応性を持ち,近年の紙料性状に対応して効果を発揮することを示している。
(本文25ページ)


食品包装紙用水性バリアー剤「エクセバール®

株式会社クラレ 倉敷事業所 ポバール研究開発部  熊木  洋介,川越  雅子,高田  重喜

  ポリビニルアルコール(PVOH)は塗工紙において非常に良く知られた材料である。その優れた増膜性は,表面塗工による目止め効果を発現し,透気抵抗度の上昇,油状成分に対するバリアー性を高める事が可能となる。この特性を活かしてPVOHは剥離紙原紙におけるシリコン目止め剤として利用されている。また食品包装用耐油紙のバリアー剤(耐油剤)としての検討も行われてきたが,実用的に用いる為にはさらなる耐油性,耐水性の向上が必要であることが指摘されてきた。
  部分けん化PVOHをサイズプレス塗工した場合,完全けん化PVOHと比較し高い透気抵抗度・バリアー性を与えるが,耐水性が大きく低下する問題がある。特殊疎水基を含有する変性ポリビニルアルコール,「エクセバール®」は部分けん化PVOHとほぼ同等の透気抵抗度を与え,また吸水性を大きく低下させる事が出来る。
  透気抵抗度200秒の原紙を用いた場合,1g/m2程度の塗工量で3M KIT値で9という高い耐油性を与え,また分子量を調整することで折り曲げ部の耐油性悪化も最小限に抑制できることを明らかとした。透気抵抗度が低い(15秒)の原紙を用いた場合,「エクセバール®」の単独塗工では,十分な耐油性を得る事は困難であったが,板状カオリンクレーとの混合により,3M KIT値を5まで高める事が可能であった。
  「エクセバール®」はFood Contact Substanceとして米国FDAへの登録が完了しており,新しい食品包装紙用水性バリアー剤としての活用が期待される。
(本文30ページ)


コンビソータによる古紙処理テール系の合理化

株式会社IHIフォイトペーパーテクノロジー  田中  正守

  原質工程において,近年のパルパおよびスクリーンの技術革新により粗選スクリーンと精選スクリーンが統合されるスロットダイレクトシステムが可能となっている。この場合のスクリーンリジェクトには粗選と精選の様々な大きさの異物が含まれており,これを処理するためにさらに複数の機器が必要になっては本末転倒である。
  そのため,テール系もシンプルな構成にするために,複数の機能を併せ持つコンビソータTMが推奨される。コンビソータTMはスクリーンの他に離解および脱水の機能を併せ持った機器であり,1987年から2013年現在まで434台の実績がある。
  1次側ではブレードによる適切な離解を行い,異物の微細化を防ぎつつスクリーニングを行う。ここで選別された重量異物は間欠ブローによって排出され,軽量異物は二次側へと送られる。二次側では希釈水によって異物は洗浄され,ロータによって脱水された後に粕として排出される。粕中の繊維分は5%程度であり,粕濃度は25%程度まで脱水可能である。
  このコンビソータTMを導入することで,複数の機器で構成されていたテール系システムを簡素化できるだけでなく,異物が微細化されずに排出されることにより,系内の異物循環や抄紙機側のワイヤ等の汚れを防止することが可能となる。
(本文34ページ)


製紙工場で問題となるユスリカ類の生態と防除

イカリ消毒株式会社 技術研究所  木村  悟朗
イカリ消毒株式会社 営業開発部  小西  正彦

  近年,急速に普及したIntegrated Pest Management(IPM;総合的有害生物管理)は,従来の化学的防除に代わって,環境的・物理的防除がより重要になっている。
  したがって,防除対象種の生態的情報の蓄積は重要な課題である。ユスリカ類は屋内でしばしば捕獲される昆虫類のひとつである。ユスリカ類は屋外からの侵入のみではなく,屋内でも発生することが明らかとなってきた。我々は,製紙工場内で捕獲されるユスリカ類を防除するために基礎的な情報として,屋内発生性ユスリカ類の発生消長と飛翔行動を調査した。さらに,それらの物理的防除を試みた。
  屋内発生性ユスリカ類であるLimnophyes natalensisは,いくつかの明瞭なピークを示しながら通年で発生した。一方,本種の日周活動と飛翔高度は季節によって変化した。屋内の気温は本種の季節消長のみではなく,飛翔行動にも影響を及ぼしている可能性が示唆された。
  本種を物理的防除するために,小規模な発生エリアにおいてライトトラップを約2ケ月間連続稼働し成虫を大量捕獲したところ,その後の発生は認められていない。大量捕殺を目的としたライトトラップでは,捕獲効率の向上が期待できる。
(本文38ページ)


利益創出と工程安定稼働体制構築
―問題には解き方がある―

日本ビジネス革新コンサルティング株式会社  柳    和男

  最近,日本を代表するプロセス産業(化学,非鉄金属等)から,多くの依頼があるコンサルティングテーマに,「利益創出と工程安定稼働体制構築」がある。
  このテーマの中でも特に多いのが「品質・歩留り」の向上と,重大事故・災害につながりかねない「工程,設備のトラブル」削減に関するテーマである。
  これらのテーマは,対策を実施しているにも拘らず,再発を無くすことが困難な「慢性不良」と呼ばれる問題に対するものである。
  「慢性不良」対策を効果的に行うには,以下の点が不可欠である。
  1)  「現象」や「製造原理」,「設備構造・機構」の理解を深める。
  2)  「機能的なモノの見方・考え方」を取り入れ,不良現象が起きている実態を,解像度を上げて理解する。
  3)  「図解」を取り入れ,検討メンバー全員が,対象をイメージで捉える事が出来る様にする。
  4)  「固有技術」を検討できるメンバーは「エース級」を選抜し,コンサルタントが保有する「管理技術」との相乗効果を高める仕組みを構築する。
  「慢性不良」を解決するためには,「慢性不良」に適合した「問題の解き方」を知らねばならない。それは,不具合現象を惹起すると考えられる「要因」を網羅的に洗い出し,もの作りの原理・原則に照らし合わせ,論理的に筋道立った不良発生のメカニズムを明らかにすることである。
(本文40ページ)


2013年度フォローアップ調査結果(2012年度実績)と温暖化対策関連情報

日本製紙連合会  池田  和雄

  日本製紙連合会は日本経団連加盟の他の業界と共に,地球温暖化防止のCO2排出量削減ため,環境自主行動計画を作成し1997年より毎年取り組み状況を公表してきている。
  この環境自主行動計画は2012年度をもって活動期間を終了するが,2012年度の実績とこれまでの結果の概要を以下まとめた。
  ・2008年から2012年度までの5年間平均の化石エネルギー原単位を1990年度比で20%削減する目標に対しては,実績は24.8%削減となった。また化石エネルギー起源CO2排出原単位については16%削減する目標に対し,実績は20.3%(電力排出係数を調整した場合,21.7%削減)を達成した。これは参加各社が省エネルギー対策に毎年継続的に取り組み,またバイオマス燃料や廃棄物由来燃料を利用する設備投資を積極的に推進し重油を削減した成果である。
  ・森林資源の確保とCO2吸収のため国内外の植林事業を推進し,植林面積は2012年度までに70万haに拡大する目標であったが,実績は67.6万haとなった。
  当報告書の後半では,現在の日本の紙パルプ産業のエネルギー事情や,2013年度以降2020年度までの温暖化防止対策計画となる低炭素社会実行計画の概要,さらには東日本大震災後の電力値上げの影響,再生可能エネルギーの固定価格買取制度の状況など,温暖化対策に関する最近の情報を紹介した。
(本文47ページ)


寄  稿
抄紙機における技術開発の歴史:ロベールから始まる100年間
第1部:フォードリニヤー抄紙機及び円網抄紙機の誕生

飯田清昭

  フランス人のルイ・ロベールが抄紙機を発案した1798年から100年間の技術進歩を追ってみる。
  ロベールの抄紙機は,全長10フィート,紙幅24インチのワイヤーパートのみで,手回しであった。それが,フォードリニヤー兄弟の資金と,イギリスの機械工作の技術力で,10年後に水車動力で動くフォードリニヤー抄紙機の原型ができあがった。
  同じ時期に,板紙生産の主力となる円網抄紙機もイギリスで生まれている。この技術は短期間にアメリカに広がり,製紙機械産業の成長を引き出す。技術力を身に付けたアメリカ企業はフォードリニヤータイプの抄紙機の生産を始め,世界的な企業へ発展していく。
  短期間に抄紙機が開発された要因として,産業革命によりいろいろの技術が関連しながら急速に発展したこと(なかでも鉄鋼製の機械と機械加工技術),旺盛な紙の需要,活発な技術交流とそれを促す特許制度等が上げられるが,新しい技術を生み出そうとする起業家の存在がある。たとえば,イギリスでは,フォードリニヤー(Fourdrinier),ドンキン(Donkin),ディキンソン(Dickinson),アメリカではジルピン(Gilpin),エイメス(Ames)等である。
  その後,ドライヤー,カレンダー,カッター等が開発され,1900年頃には,幅150インチ,抄速600フィート/分のフォードリニヤー抄紙機が完成している。この過程は第2部では紹介する。
(本文65ページ)


研究報文
高性能汚泥の導入の検討
株式会社 日本紙パルプ研究所  渡邊  誠幸,藤田  啓子,中川  美幸,岡田  比斗志

  排水処理効率の向上を目的として,我々は活性汚泥の研究を行っている。バッチ分解試験で,各工場の汚泥性能には差があること,高性能汚泥を利用して他工場汚泥の排水分解性能を向上できることが分かった。
  今回は,より実機条件に近い連続分解試験で高性能汚泥配合の効果について検討した。その結果,バッチ分解試験と同様に高性能汚泥を他工場の汚泥に対して20%配合すれば性能が向上し,他工場で起きていた泡立ちやスカム発生といった操業トラブルを抑制することも確認できた。
  また,高性能汚泥を他工場汚泥に配合した汚泥中の菌叢はどちらの汚泥に類似しているかを確認した。遺伝子解析(PCR-DGGE解析)から,他工場の排水を処理している配合汚泥中で,高性能汚泥由来の細菌は生存していることを確認できた。しかし,遺伝子解析は定量性が乏しいために配合汚泥の菌叢がどちらの汚泥に近いかを判断するのは困難である。そこで,汚泥の資化性が菌叢に影響されることを利用して,資化性解析(BIOLOG法)により菌叢の類似性を間接的かつ網羅的に定量することを試みた。その結果,配合汚泥の菌叢は高性能汚泥に類似していることが推測された。
(本文76ページ)