2011年8月 紙パ技協誌
[プリント用ページ]
第65巻 第8号  和文概要


メッツォ洗浄機導入による効果

メッツォペーパージャパン株式会社 営業本部 山下  宏,栗田 公平

  KP未晒工程での洗浄の目的として,(1)晒工程への洗浄ロスの最小化(排水負荷低減),(2)熱の回収,(3)アルカリの回収が挙げられる。それらの目的を最大限に達成するために多くの洗浄機が開発されてきた。また,各工場でも洗浄を改善するための取り組みが行われてきた。既設の洗浄機の更新,あるいは新たな洗浄機の増設においては,洗浄効率を改善し,晒工程へのCODのキャリーオーバーを減らし,晒薬品の原単位や晒排水の負荷低減を図ることが目的である。それに加えて,エネルギー効率を高めることで熱を回収することができれば,蒸解を含めたファイバーライン全体での省蒸気が可能にもなる。洗浄の最適化は操業コストを抑えるばかりではなく,晒排水負荷の低減,エネルギーの有効利用など環境への負荷も減らすことにつながる。
  本報ではメッツォ洗浄機を導入した場合の効果ならびにメッツォ独自のシステム(DiConnTM)導入による効果について,実際の工場のデータをもとに考察した結果を紹介する。
(本文1ページ)


スクリュ式小型蒸気発電機
―最大160kWの高効率発電を可能にするスクリュ式小型蒸気発電機―

神鋼商事株式会社 機械・情報本部 エネルギーシステム部 森山 浩三

  神戸製鋼グループは,特徴ある製品(オンリーワン製品)を数多く創出していくなかで,環境配慮型の製品についても続々と商品化,さらに新たな開発も積極的に進めている。
  その一連商品として,小型発電機の分野では世界最高効率を誇るスクリュ式小型蒸気発電機を2007年度より販売を開始しており,このスチームスターの大きな特長である
  @  従来型の発電機と比較して大幅に能力UPが図られている。
  A  優れた減圧弁特性を備えている。
  B  業界初!オールインワン構造。
について紹介し,スチームスターを利用した国内クレジット制度・CO2削減効果についても紹介する。
(本文5ページ)


新規ASAサイズ剤の開発
―ロジンに替わるASAサイジング処方の確立―

星光PMC株式会社 製紙用薬品本部 千葉研究所 藤原康史,松島輝幸,小国正祥

  日本では内添サイズ剤としてロジンサイズ剤が最も広く使用されている。この傾向は中性サイズ剤に限定した場合でも同様であり,中性ロジンサイズ剤の占める割合は,一般的な中性サイズ剤として知られるAKDやASAサイズ剤と比較してかなり高い。これは日本で独自に進化した中性ロジンサイズ剤の普及によるものである。
  しかし,昨年末以降,ロジンサイズ剤の主原料であるロジンの価格が急激に高騰しており,脱ロジンサイズ剤の動きが高まりつつある。
  そこで,我々はロジンサイズ剤に代わるサイズ剤として,ASAサイズ剤に着目し,ASAの乳化剤,乳化方法,抄紙系での使用方法について種々の検討を行った。
  その結果,我々はASAエマルションに優れた分散安定性を付与する新規な乳化用合成ポリマー,および従来のカチオン化澱粉を用いた乳化方法では達成することが困難であったシャープな粒度分布をもつASAエマルションを得るための高せん断型乳化装置の開発に成功した。また,抄紙系での使用方法を検討する中で,サイズ定着剤の極めて優れた効果を見出した。
  この新たな技術は,これまでASAサイズ剤が抱えている最大の問題であったマシン汚れに起因する操業性の低下を根本から解決するものである。
(本文8ページ)


ハイスピードウルトラフォーマU
―脱水能力の強化による生産性と地合の向上―

株式会社小林製作所 研究開発部 矢ア 靖幸

  小林製作所は時代により変化するマシンユーザーのニーズに呼応し,あるいはニーズを先取りしてさまざまなフォーマを研究開発して業界の要望に応えてきた。
  1960年代前半から開発を始めた弊社のウルトラフォーマシリーズは,省スペースで動力原単位が低く省エネルギー指向であるため,その納入実績総数は120基のマシンに約700ユニットを供給し,そのうち280ユニットは海外17カ国向けの輸出であったので現在でも世界各国で「ウルトラのKOBAYASHI」として著名である。
  本稿では,ウルトラフォーマシリーズの中でも生産性の高い「ハイスピードウルトラフォーマ」に改造を施し,脱水能力の強化によって生産性の更なる増加と地合向上を実現させる手法について報告する。
(本文14ページ)


製紙における顔料の機能
―環境保護に貢献する顔料の開発―

イメリス社 デイビッド I.ギッティンズ,レズリー マクレーン,
ポール メザイナス,ロジャー ワイガント
株式会社イメリス ミネラルズ・ジャパン 鈴木 誠,横山 司,村田文彦

  紙パルプ業界とその関連業界は,中国の需要拡大に伴うパルプ価格や古紙価格の上昇,そして原油価格の上昇に伴うエネルギーコストや運搬費用の上昇に直面している。このような企業の利益を圧迫する状況下においても,いわゆる「持続可能な開発」に沿った事業を継続する事が,過去10年の間に全ての利害関係者にとって大きな関心事項になっている事を我々は認識している。「環境に優しい」を重視する風潮の中で,紙パルプ業界では,収益構造を維持しつつも,より一層「持続可能な開発」に沿った形での事業展開に取り組む事となった。
  本報では,紙パルプ業界での,カーボンフットプリントや環境に悪影響を及ぼす原材料の削減,また環境に優しい原材料の使用,およびエネルギーコストの削減等による収益構造の維持の一助となる為に,現在イメリスが取り組んでいる,耐水・耐油性容器でのリサイクルを目的としたバリサーフTM,及びパルプ繊維の代替を目的としたファイバーリーンSP,スターチカプセルカオリン(SEK)について紹介する。
(本文19ページ)


FEI(特定事象の抽出と見える化)技術の抄紙機への適用とその応用

横河電機株式会社 2統括第一アカウント営業部 藤田 和貴
横河商事株式会社 技術本部 西村  淳

  抄紙工程に取付けられているセンサは,BM計のセンサ共々生産(量と品質)の遂行を主な目的としている。したがって,それらのセンサ情報を抄紙機そのものの不調を知るために利用することは難しい。一方生産ラインにトラブルが発生(紙切れ,あるいは品質面など)した場合,その原因を特定する最も有効な手段が「ビデオ」撮影による解析である。異常発生時の対応はここ10年ほどの間に普及した複数台のカメラを組合わせた「紙切れ監視カメラシステム」に負うところが大きい。
  ビデオの画像はセンサからの情報に比べて桁違いの情報を含んでいる。反面,動きの速い事象を確認するにはスロー再生が必要となり,その作業には多くの時間が必要となる。FEIの技術はビデオ上の注視すべき所にライン(FEIスライス)を設定し,その値をFEIマップ化することで,特定事象の抽出と時間変動を一目で確認できる。
  FEI(Feature Extraction and Identification:特定事象の抽出と見える化;米国IVS社により開発2009年に特許申請中,以下FEIと略す)はシート・リリースポイント,ばたつき,エッジ変動のモニタリングのような広範囲のアプリケーションにおいて適用され特定欠陥の「見える化」を実現する。またFEIは紙切れ発生時の経過詳細表示,地合,穴欠点表示などのアーカイヴとしても利用できる。
  FEIは「紙切れ監視システム:WSPRO」の一部として,あるいはポータブルなビデオ・トラブルシューティング・システム(QuickEye)上で機能する。
(本文23ページ)


欠陥検査システムとウェブ・モニタリング・システムとの連携

コグネックス株式会社 SISD 営業部 正田 秀一

  コグネックスは欠陥検査システム「SmartView(スマート・ビュー)」の新機能として,上流側で検査した検査結果を下流側の検査に正確に重ね合わせる機能「ライン・シンクロナイゼーション(Line Synchronization)」を開発した。これは,製品フローの中で,1つのプロセスから別のプロセスへ欠陥情報を正確にトラッキング(追跡)するシステムである。例えば,マシンとコーターに検査システムが導入されている場合,コーターでの検査に,マシンの検査データをリアルタイムに重ね合わせていくことができ,あたかもマシンの検査フレームがあるかのようなバーチャルな検査フレームを持つことができる。ワインダー自動停止システムである「AWA(アドバンスト・ワインダー・アドバイザー)」と併用することで,欠陥情報を有効に活用し,製品フローの中で効率よく欠陥の処理を行うことが可能となる。
(本文28ページ)


オゾン漂白の功績

セントペテルスブルグ国立森林工学アカデミー エミール・ゲルマー
ITTウェデコ社 アレクシス・メタイス,ジーンクリストフ・ホスタシー

  環境規制の圧力と無塩素漂白(TCF漂白)の波が押しよせて,最初のオゾン漂白設備が稼働したのはもう20年前になる。多くの新技術と同様に,オゾン漂白は技術面での最適効率を直ぐに達成することができず,初期段階で幾つかの問題に直面した。パルプとオゾンガスとのミキシング技術を向上させ,パルプ成分とオゾンとの反応化学についての理解を深め,プロセス全体をチューニングすることによって,オゾン漂白を組み入れたライトECF漂白は,従来のECF漂白パルプと同等か,若しくはより良い品質のパルプを製造出来るようになった。現在でもオゾン漂白を選択するのは環境規制が動機になっているが,化学薬品コストを下げて経済的メリットを得るのが主たる理由である。オゾン漂白を導入すれば,環境負荷とコストの両方の削減目標を同時に達成できる。本報告は実機情報に基づいて1992年以降のオゾン漂白の進歩を記述し,オゾンが何故,最新漂白プロセスの「かなめ」と見なされるようになったのかを述べる。
(本文40ページ)


各種木材のクラフト蒸解における可溶性アントラキノン蒸解助剤の漂白負荷に及ぼす影響

筑波大学大学院生命環境科学研究科 橋史帆,本間光子,梶山幹夫,大井 洋
川崎化成工業株式会社 田中潤治

  クラフト蒸解工程への可溶性アントラキノン化合物(SAQ)の添加が無塩素(ECF)漂白負荷を軽減する効果について,未漂白パルプの分析を行うことにより検討した。1,4-ジヒドロ-9,10-ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩水溶液(SAQ)は,脱リグニンを促進する蒸解助剤として多くのクラフトパルプ(KP)工場で用いられている。広葉樹および針葉樹パルプの全てにおいて,SAQを添加することにより,パルプ収率の増加だけでなく,白色度の向上が認められた。さらに,同一蒸解条件においてはSAQ添加による未漂白パルプ中のヘキセンウロン酸(HexA)含有量への影響はみられなかった。ゆえに,SAQ添加によってECF漂白負荷が増大するかもしれないという心配はない。SAQ添加蒸解の最大の利点はパルプのカッパー価の低減であり,これによりパルプ白色度が向上し,漂白負荷を低減することができる。
(本文52ページ)