2011年7月 紙パ技協誌
 
第65巻 第7号  和文概要


富岡工場における省エネへの取り組み

王子エンジニアリング株式会社 富岡事業部 八田健一郎

  王子製紙グループでは,化石エネルギー由来CO2の削減を目的に,「省エネ」「燃料転換」などの取り組みを行っており,王子製紙,王子板紙,王子特殊紙,王子ネピアの王子製紙グループ製紙系4社の工場では,2009年度に1,050件の省エネルギー対策と生産効率化を実施し,生産量減の影響はあるが,エネルギー使用量は2008年度比6%減少を達成した。現在も王子製紙グループ製紙系4社では,省エネ事例の水平展開を工場間で実施しており,継続的に省エネ活動を推進している。
  本稿では,この省エネ推進の活動概要と王子製紙兜x岡工場の省エネへの取り組み,省エネ事例について紹介する。
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新潟工場の省エネルギーへの取り組み
―大型抄紙機の省エネ―

北越紀州製紙株式会社 新潟工場 工務部 技術室 坂上  実

  地球温暖化防止のため世界規模でその対策が行われつつある中,温室効果ガスであるCO2排出量削減が重要視されている。そのため,化石エネルギー使用量の削減及び省エネルギーへの取り組みが急務となっている。
  新潟工場も1980年代に省エネ活動をスタートさせ大きな成果をもたらしてきたが2008年6月に9号抄紙機運転に備え,パルプ関連設備の新設・増強,同年9月9号抄紙機が営業運転を開始したことにより,エネルギー使用量の増加要因となっている。本報では新潟工場での省エネルギーへの取り組みと,2009年から検討を開始し実施に移して大きな成果を上げている,大型抄紙機を中心とした省エネルギー活動の内容及び事例を紹介する。
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回収ボイラにおける木質燃料混焼による省重油

中越パルプ工業株式会社 川内工場 施設動力部 動力課 森  拓也

  近年,環境問題への関心が高まると共に地球温暖化が進む中,温室効果ガスであるCO2排出量削減が重要視されている。
  川内工場では6号回収ボイラ(以下6RB)一缶体制で,工場の蒸気負荷を賄っている。6RBの主燃料は黒液であるが,工場の蒸気負荷に対し,黒液からの発生蒸気だけでは不足する為,不足分は重油で補っており,また主蒸気圧力を重油で制御していることもあり,重油混焼比率は熱量ベースで約20%程度となっている。
  そこで連釜のチップスクリーンで発生するチップダスト,ならびに工場外から集荷した木質ダストを混焼し6RBの重油削減を目的に,木質燃料設備を導入したので紹介する。
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5B(PSボイラ)蒸気の中圧使用化による発電所最適化

日本製紙株式会社 岩沼工場 工務部 原動課 山崎 幸次

  当工場のPSボイラ(5B)は,場内で発生するペーパスラッジやDIP粕を全量焼却処理している重要設備である。5B発生蒸気は,復水タービン発電機(4T/G)へ供給され発電に寄与しているが,抽気復水タービン発電機(3T/G,6T/G)による復水発電と比較すると発電効率は低い。そこで5B発生蒸気を中圧蒸気として使用し,抽気復水タービン発電機の中圧抽気量減,復水量増とすることで自家発電量増加が期待できる。
  本報では,5B発生蒸気を直接製造プロセスの中圧蒸気系へ送気できる設備対応を実施し,発電所最適化を図った事例について紹介する。
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タービン負荷最適化システムによる省エネ

日本製紙株式会社 八代工場 相良 直樹

  地球温暖化の抑制が叫ばれる中,当工場においても発電所や抄紙プラントの省エネルギー化へ向けてさまざまな取り組みが求められている。製紙工場の動力設備の多くは複数のボイラ及びタービンを併用し,プロセスから要求される電力及び蒸気を安定的に供給している。各タービンの負荷バランスの調整は,運転員が経験的に効率的なバランスを設定し運転しているが,操業条件や季節要因等による変動に常時対応しながら最適状態を保つには限界がある。
  そこで,発電効率のさらなる向上を目的に,最適負荷配分システムの導入を検討し,シミュレーションや実機テストを実施したところ,蒸気量の大幅な削減が見込まれる結果となった。
  本稿では,システムの導入効果や現状の問題点,今後の課題について紹介する。
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蒸気タービン併用駆動コンプレッサー導入による省エネ

レンゴー株式会社 利根川事業所 製紙部 製紙課 小田  剛

  レンゴーでは2001年に環境目標として「エコチャレンジ009」を定め,創業100周年を迎えた2009年度まで省エネ,廃棄物の削減や資源の有効利用を押し進めてきた。活動の最終年度にあたる2009年度はCO2排出量において,1990年度比で26.8%の削減となり,「エコチャレンジ009」の目標値22%を大幅に上回ることが出来た。現在では「軽薄炭少」をモットーにCO2排出量を2020年度までに1990年度比で32%削減することを目標の一つとした「エコチャレンジ020」活動に取り組んでいる。
  今回,利根川事業所では老朽化した1号抄紙機用コンプレッサーの更新にあたって,蒸気タービン併用駆動のコンプレッサーを導入し,併せてコンプレッサーの制御を変更することで省エネルギーが可能になったので,本報にてその事例を紹介する。
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高効率蒸気システムによる省エネルギー及び省CO2
―貫流ボイラ多缶設置高効率制御方法及びプロセス蒸気差圧利用空気圧縮機―

三浦工業株式会社 村上雅彦,大久保智浩,田中靖国

  近年,貫流ボイラは高出力化の技術開発が進み,近年,貫流ボイラは高出力化の技術開発が進み,当社ではこのほど業界初となる1台あたりの出力が小型貫流ボイラ枠で相当蒸発量で3,000kg/h,小規模ボイラ枠で同7,000kg/hの機種を発売したが,従来から貫流ボイラの多缶設置システムは,大規模な炉筒煙管/水管ボイラと比較して取扱資格が不要で,保有水量の少ない高効率な貫流ボイラの特性を活かし,製紙業界様をはじめ,産業用熱源として広く普及している。また工場内蒸気利用プロセスにおける「蒸気の使われ方」に着目し,蒸気減圧時の膨張エネルギーを駆動源とし,更に空気圧縮時に発生する圧縮廃熱を高温水転化して回収しボイラ給水予熱等に供することが可能な「圧縮熱回収型蒸気駆動空気圧縮機」を2009年に発売し,究極の省エネエアコンプレッサとして複数の製紙工場様でご活用いただいている。一般的に飽和蒸気は熱源として利用される場合がほとんどであるが,工場内で飽和蒸気から動力を取り出し,仕事をした後の蒸気を熱として活用する,「エネルギーのカスケード利用」は極めて有効な省エネ手段と言える。
  本稿では,省エネルギー・省CO2を実現する高効率蒸気システムとして,1)貫流ボイラの多缶設置システムをベースにそのシステム効率を極めて高く維持する貫流ボイラの台数制御運転方法(特願2010-246882号)を紹介するとともに,2)蒸気エネルギーの高度利用方法として,プロセス蒸気差圧を利用した蒸気駆動式空気圧縮機(圧縮熱回収型)の省エネルギー効果及び導入事例を紹介する。
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曝気装置更新及び省エネ型ブロワー導入による省エネ

王子板紙株式会社 大阪工場 林  直樹

  長引く景気の低迷は,製紙産業にも特に収益面について深刻な影響を与えている。エネルギー多消費型産業である製紙産業は,エネルギーコスト改善が収益に大きな影響を与える事,及び地球温暖化を防止する面においても省エネが急務となっている。それは当社も例外ではなく,エネルギー使用量を低下させる事は最重要課題の1つである。
  一方,環境保全が重要視される現在,排水処理設備についても処理の安定化と省エネルギーを両立させる設備改善が要求されている。今回は,排水処理設備における曝気の安定操業と曝気の省エネを目的として,高効率曝気管(OHRエアレーター),及び省エネ型曝気ブロワー(ケイターボブロワー)を導入するにあたり,操業上の問題を発生させることなく省エネへと繋げる事が出来た。この省エネ事例を機器の優位性を交えながら紹介する。
(本文36ページ)


省エネルギーの取り組み事例

財団法人省エネルギーセンター 産業・技術総括部 辻元 久一

  日本の省エネルギー事例発表会は,1973年の第1次石油危機を機に産業界を中心に必死に取り組んできた省エネルギー対策の成果発表の場として1975年より社団法人日本熱エネルギー技術協会が「省エネルギー優秀事例大会」を行った。(後援:当時は通商産業省)また1978年に第2次石油危機に見舞われた日本産業界・経済は危機を乗り切る為に省エネルギー対策に取り組まなければならなかった。各企業の取り組んだ事例発表会は財団法人省エネルギーセンターに引き継がれ,延べ35回の事例発表会を開催。その発表会の最近の取り組み事例傾向を紹介する。
(本文40ページ)


三次元計測システム「MONMOS」の計測原理とその応用

株式会社トプコン ポジショニングビジネスユニット 技術統括部 TS開発技術部
永井 勝之
機器開発技術部  本田  肇

  当社では,測量用トータルステーション(測距・測角計)をベースにしたSokkiaブランドNETシリーズをセンサとする三次元計測システムMONMOS(マンモス)の開発・製造・販売を行っている。当システムは本来の使用目的である大型構造物の計測やトンネルの天端沈下・内空変位計測などの計測以外にも,プラントにおいて大型部材計測や製造機械の設置・調整位置決め計測など幅広く使用され,高い評価を得ている。今回,MONMOSの測定原理や性能などを紹介し,ドイツにおける製紙プラントでの使用例を紹介する。
(本文45ページ)


製紙スラッジ焼却灰(PS ash)から可視光応答型光触媒の創製

愛媛県産業技術研究所 福垣内 暁
リンテック株式会社 永島 孝作
愛媛大学農学部 松枝 直人,逸見 彰男

  本研究では,PS ashに含まれる酸化チタンを,可視光に応答する光触媒に転換することを試みた。第一段階として,PS ashに対して,アルカリ処理を行い,チタン酸ナトリウムへ転換させた。次いで,このチタン酸ナトリウムを酸洗浄することで,Na成分を除去し,塩化アンモニウムに加え,それぞれ,300℃,400℃,500℃,600℃及び700℃で焼成処理を行ない薄黄色に着色された試料を得た。紫外・可視拡散反射スペクトル分析の結果,いずれの試料も,波長400―500nmに新たな吸収が認められ,可視光を吸収している結果が得られた。これらの試料についてアセトアルデヒド除去試験を行った結果,いずれの試料も,ハロゲンランプの可視光照射により,アセトアルデヒドの分解が確認されたことから,PS ashから可視光応答型光触媒の創製に成功した。各試料の分解活性の評価を行うため,見かけの量子収率を算出したところ,400℃で焼成された試料が,最も高活性であった。可視光応答化メカニズムを解明するために,酸化チタンFA―55Wに対して,アルカリ・酸処理後の塩化アンモニウムを加えた400℃焼成処理を行い,X線光電子分光分析を行った結果,結合エネルギー400eVにXPSピークが確認された。この結果より,酸化チタン構造中にNOXのような化学形態の窒素が取り込まれたため,可視光化が発現されたと結論付けた。
(本文50ページ)