2008年1月 紙パ技協誌
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紙パ技協誌 2008年1月


第62巻 第1号 報文概要


センサー付セラミックブレードの開発とスペクトラフォイルセンサーシステムの効果

王子製紙株式会社 統括技術本部 技術部 白尾 剛之
株式会社堀河製作所 営業部 山内 健次
ハネウェルジャパン株式会社 アジアパシフィック・マーケッティング 中村  哲

  近年,抄紙機には高品質,高生産性は基より,更なる効率アップのためのプロセス改善が求められている。その一つとして,ウェットエンドのドレネージ状況を定量的に把握することが操業安定のための重要な課題と考えられていた。この課題に対して,ハネウェル株式会社ではワイヤーパートでのオンラインドレネージ測定が可能であるスペクトラフォイルを開発したが,従来のスペクトラフォイルセンサーは高分子樹脂製であったため,耐摩耗性,寿命に問題があった。また,材質をセラミック製にするも,センサー部の樹脂との熱膨張の違いにより,センサー部分が剥離する問題があった。この問題に対し,株式会社堀河製作所,王子製紙株式会社を含めた3社にて改良に取り組み,セラミックとほぼ同等の熱膨張係数を有する素材を用いたスペクトラフォイルセンサー付ブレードを開発し,実機の連続操業におけるウェットエンドのオンラインドレネージ測定を可能とした。その結果,原料変更等に伴う脱水挙動の変化を常時監視でき,プレスパート入口水分の安定化やプレスパートでの断紙削減に繋がる操業条件の確立が容易となった。
 本稿では,ハネウェル株式会社,株式会社堀河製作所と共に開発したスペクトラフォイルセンサー付ブレードとドレネージ監視システムの概要,及び実際の操業を通じて得られた効果について紹介する。
(本文35ページ)


インクマーカー「カッターでのシートエッジマーキング装置」

北越紙精選株式会社 業務部 松浦 和夫

  カッターに於ける枚数管理方法には,チケット挿入方式とインクマーキング方式の2つがある。両方式共に,改善すべき課題はあるが,日本では,チケットを挿入する方式が普及している。断裁されたシート間にチケットを挿入する方式に対し,インクマーキング方式は,チケットが製品に混入するトラブルが無く経済性も高い,反面インク汚れと共に制御が複雑な上にマーキング位置が断裁速度の増減に伴い移動する欠点があった。
 弊社は,長年に渡りインクマーカーシステムを主流として採用し,操業を通じてその改良に努めて来た。2000年以降,タイマー・カウンター方式からシーケンサー制御にシフトし,その後,本報で紹介するスタンドアローン型のインクマーキングシステムの開発に成功し実用化した。
 他の制御装置とのインターフェースを最小限に止め,独自の演算技術により,カッターの増減速時にも,設定したマーキング位置に正確にマーキングするシステムの開発に成功し,社内に留まらず,多くの製紙メーカーに採用戴き高い評価を受けるまでになった。
 本報では,その開発の経緯と技術の概要を報告する。
(本文40ページ)


石巻工場 7M/C改造後の操業経験

日本製紙株式会社 石巻工場 抄造一部 中川 優司

 石巻工場7M/Cは,S35年に新聞専抄マシンとして稼動しS56年コート原紙マシンへと改造を行なった。そして,H18年9月に品質向上と増産目的で「ヘッドボックス更新」,「ワイヤーパート改造(Duo―FD化)」,「3Pシュープレス追加」,「水分計設置」,「GRC設置」等の改造工事を実施し,より競争力あるマシンへと生まれ変わった。今回は,改造設備の概要・操業経験並びに改造効果について報告する。
(本文44ページ)


新設KPプラント操業経過について

丸住製紙株式会社 大江工場 原質部原質三課 木村 文明

  当社においては,既設KPプラント及び回収ボイラーの老朽化,旧態化が近年の懸案事項とされてきた。念願の夢がかない準備期間2年を経て,ようやく本年5月末に至り,海岸工場埋立増設地にファイバーライン,苛性化,エバポレーター,回収ボイラーを含む新KPプラントの建設が完了した。
 本稿においては,紙面上の関係もあり,ファイバーラインについてのみ試運転及び操業状況について報告する。
(本文49ページ)


新聞古紙の脱墨性について

王子製紙株式会社 製紙技術研究所 永谷 宏幸

 DIPの主要原料である新聞古紙の脱墨性向上は重要な課題である。今回,新聞古紙の脱墨性,特にインキ剥離性に影響を与える要因について調査した。新聞古紙27種を集めてラボの脱墨試験に供した結果,新聞の種類によって脱墨性が大きく異なり,特に中性抄紙新聞の中に極端に脱墨性が悪いものがあることがわかった。次に,脱墨性に影響する要因をより詳細に調査するために,内添薬品や外添薬品等の処方の異なる新聞用紙を用いて,同じ新聞用インキで印刷を行い脱墨試験に供した。その結果,脱墨性に影響するのは抄紙pHではなく,使用する抄紙薬品等であると考えられた。さらに,インキの紙への浸透が大きいほど脱墨性が悪くなることがわかった。
(本文53ページ)


高速リファイナーの操業経験

日本製紙株式会社 岩沼工場 入川 圭介
             技術本部 杉野 光広

  日本製紙株式会社岩沼工場は,当社が展開する高品質新聞用紙へ配合する機械パルプとしてRGPを製造している。RGP工程の消費電力は,DIP,KP工程と比較して多く,場内総使用電力量の約1割に相当する。エネルギーは場内のボイラー・タービンで賄われるが,常用4缶中1缶が重油ボイラーであり,最近の重油価格高騰の影響を受けてRGP製造のエネルギーコストは上昇している。そこで,RGP工程の省エネを目的として,Andritz社製高速リファイナーを1次磨砕工程へ導入することを検討した。このリファイナーは,幾つかの海外TMP工程(RTSTM)において大幅な省エネ事例が報告されている。しかし,国内における導入実績が無いこと,RGP工程に対する知見が少ないこともあり,Andritz社パイロットプラントで事前評価を実施した。その結果,同一濾水度までのリファイニングエネルギーが約2割低く,強度も引裂き強度が若干低下する程度で他はほぼ変わらない結果であったため導入を決定した。
 今回導入した高速リファイナーはシングルディスクリファイナーであり,回転数は2,150rpmである。平成18年4月に実操業を開始し,高速リファイナーを導入した1次磨砕工程(1R系)の電力原単位は,約1,200kWh/ptから約680kWh/ptまで低減した。また,RGPの品質に大きな変化は見られず,概ね順調な操業を実施している。
(本文57ページ)


高濃度オゾン漂白の操業経験

大王製紙株式会社 三島工場 森田 周嗣,アイ バン トラン

 大王製紙三島工場はLBKP2系列(多塔晒,置換晒),NBKP1系列(多塔晒)の合計3系列のクラフトパルプ漂白設備を有しており,LBKP・NBKPとも多塔晒系列は2004年4月より二酸化塩素ECFに完全移行した。また,置換晒LBKPのECF化に際し,自家発電率が高く安価なオゾンガスが得られること,漂白排水のCOD負荷低減が期待できること,紙製品の色戻りが少ないことからオゾン漂白法を導入すべく調査を進めた。その結果,中濃度法に比べオゾンガスの添加制限量が大きく,オゾンガス漏洩の危険度が低い高濃度オゾン漂白法を選定することにした。
 高濃度オゾンECF導入により,塩素漂白とほぼ同等の品質が得られており,排水のCOD,色度,クロロホルム,およびAOXも期待通りの削減が図れている。また,完成パルプ中のヘキセンウロン酸もほぼ除去できており,紙製品の色戻り問題は発生していない。
 本報では,高濃度オゾン漂白設備の概要と操業状況,品質及び排水負荷への影響を報告する。
(本文61ページ)


新エネルギーボイラーの運用について

中越パルプ工業株式会社 高岡工場(二塚) 工務部汽力課 小幡 慎吾

 高岡工場二塚では,新聞用紙・出版用紙を抄造している。このエネルギーは,2基の自家発電プラントと北陸電力株式会社から若干の買電で賄っている。
 2基のボイラーはオイルコークスとC重油の混焼ボイラーであったが,この内の1号ボイラーが老朽化したので,化石燃料価格の高騰対策,地球温暖化防止運動の高まりを踏まえ,新エネルギーボイラーへと更新した。
 新エネルギーボイラーは,コストダウン,CO2削減を念頭にしてタイヤチップ,バイオマスを主燃料とした。
 2006年6月に火入れ,11月に運転開始し,今日まで順調に戦力化しており,今回は操業経験から得られた事例等を挙げて報告する。
(本文65ページ)


LNGサテライト設備設置によるボイラー燃料転換

レンゴー株式会社 利根川事業所 施設部動力課 有福  聡

  近年の地球環境保全に対する社会的要求が高まる中,レンゴーでは「エコチャレンジ009」を制定し,省資源・省エネルギーの取り組みを行っている。「エコチャレンジ009」中の目標のひとつに,「2009年度までに全社のCO2排出量を1990年度比12%削減する」を掲げ,達成に向け取り組んでいる。
 今回は利根川事業所で,LNGサテライト設備導入による発電用ボイラーの燃料転換(C重油⇒LNG)を行った事例,ならびにその結果について紹介する。
(本文70ページ)


新設カッターの操業経験

八戸紙業株式会社 製造一部 赤坂  巧

  八戸紙業は,三菱製紙八戸工場の仕上部門以降を請け負っている。八戸工場での増産計画に伴い,高い生産性と高品質を追求した新カッターを導入した。独ウィル社が開発した最新技術を導入したカッターは,最大仕上幅2,820mmで,台替え時減速無し,リジェクト無しの連続運転が可能である。その他,新技術としては,クロスカッター後の搬送部で,静電ローダーによる帯電方式を採用した。その為,押さえベルトのスリム化となり,スッキリとした外観を呈している。帯電量は紙のサイズや種類,カッター速度に併せて調整する必要があるが,各操業条件について個別で管理できる仕様となっている為,過去の作業実績を踏まえて,ベストに近い作業条件が設定可能である。
 本報では,これら操業経験と新カッターの特徴について紹介する。
(本文75ページ)