2004年11月 紙パ技協誌

[プリント用ページ]

紙パ 技 協 誌 2004年11月    

第58巻第11号

オンライン化による抄紙機の生産性の向上 PartU ―オンマシンコータのオンマシンカレンダ仕上げ―

メッツォSHI株式会社 赤澤 貴志

 近年抄紙機及びコータの速度上昇に伴い,生産性の効率を上げる意味でフルスコープでのオンライン化が目指されている。今日ヘッドボックスから最終的なカレンダ仕上げまで全てオンライン化したコンセプトは既にLWCのHSWO品種(ヒートセットウェブオフセット)の分野では稼働している。しかしながら,従来のコンセプトではLWCグラビア品又はMWCダブル塗工品の品質を実現するのは困難であり,比較的軽坪量の単一品種を生産せざるをえない制限があった。しかし,新しいオンラインコンセプトではLWCのHSWO品種の他,グラビア品種の生産が可能となる。また,塗工装置を2台設置することによってMWCのダブル塗工品の生産も可能となる。このことで同一のマシンでありながら他品種の生産に対応できるようになる。併せてコンパクトなアプローチ系,カラー供給系の採用によってロスの少ない効率的な生産が可能になる。
 本報では,LWCグラビア品又はMWCダブル塗工品の品質をオンラインで実現する上でどのようにコンセプトを設計するのか,特にコーティング方法とカレンダリングを中心に紹介する。
(本文1ページ)

ドライパート汚れに起因する欠点防止対策(その2) ―印刷用紙における効果と実績について―

株式会社メンテック 販売技術部 唐國 一志

 近年,印刷用紙において,古紙配合率の上昇・中性紙化・バンドレス化が進められていくなかでシリンダーやカンバス汚れが厳しくなり,ワインダーでの継手作業・継手損紙の増加により生産性が著しく低下する問題を抱えるマシンが急増している。
 古紙の配合が増えると,スクリーニングによる除去やピッチコントロール剤の添加では十分な対応ができなくなるため,抄紙機にもち込まれるDIPからくるカーボン・酢酸ビニル系の異物が増えてくる。また,雑誌古紙や中性サイズの使用によりpHが上昇し,原料中にはパルプ繊維に定着しない物質,いわゆるアニオントラッシュが増加する傾向にある。これらの物質は,ドライパートに入ってくる湿紙の上では小さなものであり,それ自体は欠点の対象とはならないが,ドライパート内の熱で粘着性を帯び,シリンダーやカンバスの表面へと付着する。さらに付着した粘着異物が湿紙表面のピッチや繊維などをピックアップし,ある大きさまで成長すると紙に再付着(落下)し,カレンダーなどで潰されて欠点となる。
 当社では,ドライパートの欠点防止は「湿紙からドライパート用具上への粘着異物の転移と成長をいかにしてくい止めるか」という観点のもと,欠点の原因を根本から打ち切るべく,シリンダー・カンバスの汚れ防止システムを活用した総合的な欠点防止プログラムを提案している。印刷用紙においては,上質紙から新聞用紙・下級印刷紙まで40台を越えるマシンで効果を上げている。
 本稿では,印刷用紙マシンにおけるドライパート汚れと欠点の発生メカニズムの関係,欠点の効果的防止対策について,実機での適用例をもとに報告する。
(本文7ページ)

抄紙機における省資源,省エネルギー対策
―高圧シャワーに白水再利用を可能にする“Petax”と高性能キャンバス洗浄用“Robo Cleaner”―

相川鉄工株式会社 技術部技術課 青嶋 和男

 省資源,省エネルギーを目標として製紙業界においては各種の取り組みがなされてきた。本稿では製紙業界が抱えている問題,特に抄紙機での問題解決に役立つ新しい機器を二件紹介する。一つがマシン白水の再利用を可能にするペタックス(Petax)であり,もう一つがキャンバス洗浄装置ロボクリーナー(Robo Cleaner)である。
 ぺタックスは白水を高圧シャワーに必要な水質まで濾過可能なフィルターである。近年はマシンの大容量化,抄紙速度の高速化などにより抄紙用具洗浄用高圧シャワーにより多量の清水が使用されてきた。しかしマシン用シャワー水として循環白水を使用する事は,清水原単位の削減だけでなく,清水温度をアップさせる為に消費されるエネルギーの節約にもつながるものであり,その再利用は重要な課題である。
 また古紙については更なる利用促進が検討され,原料調整設備の改良は年々進み,これらの要望に応えてきている。一方,抄紙工程においては今まで目立つことの無かったトラブル,特に古紙利用増加を原因とするトラブルが増してきたと言われている。このようなトラブルの一因である,ワイヤー(フォーマーパート),フェルト(プレスパート),キャンバス(ドライヤーパート)に付着するピッチなどの異物,紙粉等による汚れを取り除く洗浄装置がROBO, FF―Cleaner(Forming Fabric Cleaner),PF―Cleaner(Press Felt Cleaner),Dryer Canvas Cleanerである。
(本文16ページ)

COMPACT COOKINGTM法及びKUBUDOMARI法の蒸解パルプの収率評価法

クヴァナ パルピング AB R&D カトリン グスタフソン
クヴァナ パルピング株式会社 プロジェクト部 具 延

 クヴァナパルピングは,クラフト蒸解の基礎理論及び実験結果に基づいて工場パルプの蒸解収率評価法を提案した。クラフト蒸解において同一カッパー価のパルプ中に含まれるセルロースの収率は,蒸解液中の水酸化物イオン濃度,水硫化物イオン濃度,及び蒸解温度によって影響を受ける。工場で実操業された時の蒸解温度,水酸化物イオン濃度,水硫化物イオン濃度と同じ条件を使用して実験室で蒸解シミュレートをした場合,同じカッパー価におけるセルロースの収率は工場パルプと実験室パルプの間でほぼ一定である。そのため,工場パルプの蒸解収率を評価する際に適用される実験室での蒸解テストの条件は,工場の実操業時の蒸解条件と同じにする必要がある。
 また,クヴァナパルピングが提案した蒸解収率評価法を用いて実際の工場パルプの蒸解収率を評価したところ,COMPACT COOKINGTM法とKOBUDOMARI法蒸解パルプの収率は,従来法のそれより向上されることが示された。
 なお,この蒸解収率評価法はCOMPACT COOKINGTM法及びKOBUDOMARI法蒸解パルプだけではなく,すべでのアルカリ性蒸解パルプに適応することができるものである。
(本文26ページ)


資源回収関連機器の開発と現状について

株式会社 タジリ 田尻 幸雄

 現在我が国においては,大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済から脱却し,生産から廃棄に至るまで資源の効率的利用や,リサイクルを進めることにより,環境への負荷が少ない循環型社会を形成することが大きな課題となっている。
 一方,二酸化炭素排出量の削減による地球温暖化防止に世論の環境意識の高まりに加えて,法規制の整備が進められ,従来の一様な廃棄物の排出,収集,処理方式からリサイクル,エネルギー化,適正処分方式へのニーズが高まってきている。
 この流れを受け,弊社では嵩高い廃棄物を減容固化し,埋立用地の効率的な利用と周辺環境汚染の防止に有効な機器として熱圧縮成形機の開発を経て,単に嵩を減らすだけでなく,可燃性廃棄物のエネルギー利用への転換へと幅広い種類の燃料化に対応出来る最新の熱圧縮成形機(弊社商品名ウエストポーター)を完成させ実用化している。
 本報告は,弊社が増え続ける多様な廃棄物処理にあたり,再利用,再資源化に着目し,主力製品の熱圧縮成形機を中心とした環境関連機器の開発と実用化への取り組みと,数多くの実績と貴重な経験を紹介する。
(本文32ページ)


キャンバスクリーンロールの開発―キャンバス洗浄装置について―

株式会社 青木機械 亀山 寿夫

 近年,国際的な環境保護運動が展開されている中,製紙原料における古紙の使用量の増加には目覚しいものがある。古紙の使用量の増加に伴い抄紙工程では,粘着物による欠点トラブルが発生し,生産性を著しく低下させている。この為,原料調整工程でのスクリーニングの強化,ウェットパートにおけるピッチコントロール剤の添加・散布,ドライパートにおけるキャンバス洗浄機の設置,ドライヤーやキャンバス表面に汚れ防止剤の散布,さらにはキャンバスロールのインサイド化等,様々な対策が採られてきている。
 本稿では,かねてより業界においてニーズの強いキャンバス洗浄について取り上げ,弊社が開発した用具洗浄装置“シャワーロール”をキャンバス洗浄装置用として改良・開発した“キャンバススクリーンロール”について紹介する。
(本文37ページ)


蒸気タービン,モーター併駆動圧縮機について

神鋼商事株式会社 西日本機械部(代理店 大明工機) 福島 康雄

 蒸気の圧力差を減圧弁の代わりに蒸気タービンを用いて動力に変換する省エネ対策はエネルギー効率が高く近年増加しつつある。
 新設プラントで当初から計画する場合は別として,既設プラントに適用する場合,回収した動力を何に使うかが常に問題となる。
 本稿では工場一般に使われて,しかもエネルギー消費率の高いコンプレッサの補助動力としての使い方について述べる。
(本文43ページ)


中性/アルカリ抄造 世界的な動向    ―ASAサイズ剤について―

ナルコ カンパニー ドミニック レンダ  
ナルコ ジャパン株式会社 加瀬 幸夫(訳

 中性/アルカリ抄造は北米,ヨーロッパで,引き続き開発され多くの紙,板紙の分野で,実施されている。現在北米では70%以上,ヨーロッパでは80%以上,中南米では65%以上が中性/アルカリ抄造化されている。排水負担の軽減や故紙の利用,填料の変更,品質の向上など,様々な理由で,中性/アルカリ抄造化に踏みきっている。これらの世界的な経験は,アジア パシフィック市場へも,基礎的な中性/アルカリ抄造技術として,提供できるであろう。また機能性,プロセス化学薬品の顕著な進歩や適用技術は,この中性/アルカリ抄造化傾向をサポートしてきた。サイズ剤,濾水歩留剤,デポジットコントロール剤等の発展である。しかしこれらの総合的な薬品適用技術が,この中性/アルカリ抄造化には必要である。さらに経済性,生産性,品質特性,環境問題も含めたトータルコーディネーション的な考え方が,中性/アルカリ抄造化には重要である。
 本稿ではサイズ剤の市場動向を示し,特に今日のASAサイズ剤の改良点と,実際にASAサイズ処方を適用した中性/アルカリ抄造化を実施例であげ,改善されたポイントを示した。
(本文47ページ)


新しい低濃度リファイナーによる無負荷動力の削減と繊維強度の改善
―アンドリッツ Papillonリファイナー―

アンドリッツAG社 ヘルムート ガーブル,アンドレアス ゴルドン  
アンドリッツ株式会社 技術営業部 竹下 陽介

 原料調成工程においてのリファイニングの重要性は紙の品質のほとんどを決定するものであり,このため各種のリファイナーが開発され現在にいたっている。紙はビーターにて作られるといわれるほど,17世紀に開発されたホーランダービーターは必要なエネルギーの少なさ及び高いパルプ品質が得ることができることが知られている。
 アンドリッツが新しく開発したPapillonリファイナーはこのビーターの原理に戻りかつ現在の大型設備に対応するように開発されたものである。その結果,ビーターの特性である低い叩解動力で非常に優れた品質を得ることが出来る。特にシリンダー型であるため回転数と回転物の口径に比例する無負荷動力は他の型式のリファイナーに比べ30%から40%も低い動力しか必要としない。また,均一な刃の交差角を持つことにより一様な叩解が行われその結果繊維の強度の改善が制御されて実施することができ目的の繊維間強度を容易に得ることが可能になっている。
 本報では,本リファイナーの機械構造の説明及び実際の叩解結果について紹介する。
(本文52ページ)


新しい防虫プログラムの開発

アース環境サービス株式会社 開発部 坂井 盛

 製品への苦情,混入異物の上位を占める昆虫の防除として,工場では従来から様々な方策が講じられてきた。しかしながら,効果的な昆虫防除のプログラムを開発した事例,特に対外的にも説明できるプログラムをもつ例は,今だ少数であるのが現実である。その原因は様々で,工場建屋の構造そのものに起因することは少なくないが,その他にも管理の進め方に問題があるものや,昆虫についての知識が不足していたことが原因で的が外れていたもの,設備のメンテナンスに原因があるもの,調査結果の分析を誤ったケース,更には,これらの原因に現場従事者の意識の問題や組織内のコミュニケーションの問題などが絡み合っているケースも見受けられる。
 どのような対策・手法にも効用と限界があるのと同様に,種々の防虫対策手法・方策にもそれぞれの特性に起因する効用と限界があり,それぞれの限界を理解した上で効用を組み合わせた総合的な対策が投資対効果の高い防虫プログラムを開発につながる。
 昆虫の生態を理解し,工場ごとに工場への侵入と繁殖,製品への混入の因果関係を解明し,対外的にも自身にもその能力を証明できる保証型の総合的な防虫プログラムを開発することによって,自らも投資対効果が納得できる防虫管理が実現可能となる。
(本文58ページ)


インクジェットシリカバインダー用ポリビニルアルコール ―架橋性PVAゴーセファイマーZの応用―

日本合成化学工業株式会社 中央研究所 機能材料研究室 万代 修作,平井 良明

 インクジェットメディアにおける空隙型インク受理層は,粒径1〜20μの無定形シリカとPVA等のバインダー樹脂,およびその他の添加剤から構成されている。シリカとバインダー樹脂の比率は通常100対20〜50(重量比)であり,充分なインク吸収量・吸収速度が得られる空隙が形成されるが,一方,バインダー樹脂には非常に強いバインダー力が求められる。
 我々はこのインク受理層シリカバインダー用途に対し,PVAの架橋構造形成によるバインダー力向上を設計思想として検討を行った結果,アセトアセチル基変性PVA「ゴーセファイマーZ」と特定の架橋剤との組み合わせによって,シリカに対する強いバインダー力が得られることを見いだした。
 本報では,「ゴーセファイマーZ」と架橋剤としてジルコニウム塩およびヒドラジド化合物を用いて得られたシリカバインダー用PVAとその特徴について紹介する。特に,本処方の優れたバインダー力によってバインダー量の低減が可能となり,空隙率増加によるインク吸収量・吸収速度のさらなる向上が期待できる。
(本文61ページ)


二酸化塩素の供給に関するエカケミカルスの新しいビジネスコンセプト 「二酸化塩素コンセプト」について

エカケミカルス株式会社 アンダース ダール  
日産エカケミカルス株式会社 坂本 宗男

 漂白に使用される二酸化塩素の外部委託供給について,エカケミカルスが開発した新しいビジネスコンセプトである「二酸化塩素コンセプト」についてその概念,実施方法,実施例を紹介した。このコンセプトは
 ・原料である塩素酸ソーダの替わりに最終製品の二酸化塩素水にして顧客に販売する。
 ・顧客の二酸化塩素発生装置の運転を請け負い,エカケミカルスが生産能力と運転コストに責任を持って二酸化塩素を製造し供給する。
 ・必要であれば顧客から一部の業務を有償で提供してもらう。
 ・運転はモデムを使ってエカケミカルスが管理する。
という基本概念により顧客から委託を受けてエカケミカルスが二酸化塩素を製造し供給するというもので,顧客の利益として@二酸化塩素水をより低コストで安定して得られる,A従来二酸化塩素発生装置の運転に投入されていた顧客の運転要員,保守要員を本来のパルプ生産に集中して活用できる,B管理コストを低減できる,Cエカケミカルスから広範な技術サービス,安全教育を受けることができる,等が期待できる。
 「二酸化塩素コンセプト」の目的は顧客とエカケミカルスが共に利益を得る“Win―Win”の関係を築くことであり,契約の内容は顧客の条件や要求に沿ったものとなっている。契約実績は二酸化塩素換算で300tpdを越えており,今後も増えるものと期待している。
(本文69ページ)


2004年PulPaper会議(フィンランド)参加報告

王子製紙株式会社 技術部 田中 泰斗        
王子製紙株式会社 製紙技術研究所 岩崎  誠,内田 洋介

 2004年6月にフィンランドのヘルシンキで開催されたPulPaper会議(6月1日〜3日)に参加する機会があり,各セッション(エネルギーCO2管理,塗工技術,効率)の口頭発表の中から各1件ずつ概要を報告する。尚,研究発表では,口頭48件・ポスター26件の合計74件の報告が行われた。
(本文74ページ)


環境法規制の動向とグリーン調達共通化の取組み ―キヤノンの事例―

キャノン株式会社 グローバル環境推進本部 環境統括・技術センター 古田 清人

 日本の電機・電子関連の企業では,自社の製品の環境配慮を促進させるために2001年より,グリーン調達調査の共通化について議論を開始してきた。このような共通化が必要となった背景としては,日本の国内外を含めて,製品中における特定の化学物質の使用制限を行う法律が制定されたためである。代表的なものとしては,EUのRoHS指令がある。我々電機電子機器メーカーとしては,いかにこれらの法律に適合した製品を開発し,生産するかが大きな課題となっている。そのためには,部品・材料に含まれる化学物質の管理を効率的に実施することが必要であり,グリーン調達調査の重要性が改めてクローズアップされたわけである。この共通化の動きは,米国,欧州の電気電子業界とも協調し,グローバルスタンダード化への動きとなりつつある。部品・材料に含まれる化学物質の情報を各社が共有することは,最終製品非常に製品開発の視点で効率化を促すとともに,サプライヤーにとってもデータベースの構築を効率的に実施するメリットがある。
 この共通化の動きは,すべてオープンに進めたいと考えている。その理由は,この情報の流れの仕組みは,ワールドワイドに,さらには,すべてのサプライチェーンをさかのぼって実現する必要があるからである。すでに世界の生産拠点になっているアジアにおいても,ぜひ,この流れの中で新しい仕組みづくりに協力をしてほしいと考えている。
(本文77ページ)


廃棄物不法投棄への対応(悪質業者の実態と見分け方)
―不法投棄&リサイクルアウトローの構造と対策―

千葉県環境生活部 産業廃棄物課 石渡 正佳

 廃棄物不法投棄の実態を,産廃処理の二重構造,不法投棄シンジケート,積替保管の不法投棄センター化,中間処理施設のオーバーフロー,最終処分場の資金繰り,産廃コネクション進化形等の視点から説明するとともに,リサイクルについても,容器包装リサイクルの問題点,その他プラの6重価格,家電アウトロー,自動車リサイクル法の現実等の視点から説明,これらへの対応を,行政の不法投棄ゼロ・プログラム(3×3メソッド)として説明する。
 更に,企業の産業廃棄物処理潜在リスク評価額,ハイリスクな産廃業者,インプット・アウトプウト分析法,簡易リスク評価法等について説明する。
(本文87ページ)


紙の引張変形・破壊時に生じる微小破壊に及ぼす切り欠きの影響

京都大学 大学院農学研究科 山内 龍男  

 切り欠きの有無および切り欠き形状が紙の引張変形・破壊挙動に及ぼす影響を,アコースティックエミッション法で検出できる微小破壊を中心に検討した。切り欠きがあると引張変形のかなり初期の段階から微小破壊が生じ,その中でも比較的強い繊維間結合の破壊及び繊維破断による微小破壊の割合が増大する。この傾向は叩解程度および切り欠きの形状の如何を問わず,針葉樹および広葉樹パルプからの手抄き紙の両方においてほぼ同様に認められる。一方切り欠きの導入に伴い単位幅あたりの最大荷重すなわち引張り強さは低下し同時に最大荷重に至る時間は減少するが,一方最大荷重後に破断に至るまでに要する時間は増大する。これらの変化の程度は切り欠き形状の影響を受け,応力集中効果が早く現れる片側切り欠きでの変化が最も大きい。
(本文105ページ)