2004年10月 紙パ技協誌

 

紙パ技協誌 2004年10月

第58巻 第10号

協会活動への提言:協会の基盤強化を目指して

紙パルプ技術協会  

  平成6年にプロジェクトチームが「21世紀への提言:次代を担う技術者の育成とより高い技術をめざして」と題する答申書を理事会に提出し承認され,以来その実行をはかってきた。平成10年には,総合企画専門委員会が中心となり,提言の見直しを行い「21世紀への提言:さらなる発展を目指して」が新たに答申され,以後,この提言を具体化すべく活動を推進してきた。その後5年を経過したので,再び総合企画専門委員会が中心となり,この間の活動を総括すると共に,紙パルプ技術協会の基盤を強化するため,新たな活動方針に関する答申書を平成16年6月度の理事会に提出し承認された。その内容について報告する。
(本文1ページ)


活性汚泥処理における諸問題とトラブルシューティング

マーシャル エンバイロメンタル トレイニングコンサルティング グループ リック マーシャル  
ノボザイムズ バイオロジカルズ ジャパン株式会社  下戸 秀聡      

  紙パルプ産業における排水処理施設の操業は処理規制の強化や,工場の操業の変更などで 非常に難しくなってきている。工場の操業の変更は,従来の処理施設で順調に処理していた排水の質や負荷を変えることになる。その結果,いくつかの排水処理施設では排水処理基準に合わせることが困難になってきている。
  活性汚泥処理での成功または失敗は,沈殿槽から排出される良質の処理水を可能にする,良い沈降性を持つ微生物の生育に懸かっている。しかし活性汚泥処理の現場では,沈降不良や泡の発生など多くの問題が発生しているのが現状である。
  本文では活性汚泥処理における諸問題を揚げ,その徴候,原因および改善方法や制御方法について論じる。
(本文12ページ)


活性汚泥処理におけるトラブルシューティングのための微生物製剤“MCシリーズ”

星光PMC株式会社 市原研究所  松岡 英臣,山本 琢二  

  国内主要産業の中で紙パルプ産業の工業用水使用量は桁違いに大きく,これらの大部分は生物処理のような二次処理を実施して排出される。従って,紙パルプ産業における排水処理は重要なテーマである。排水処理の手段としては生物処理がもっとも普及した方法であるが,排水負荷の増大や変動などの要因で排水処理にトラブルを抱えている工場は少なくない。また,環境への配慮から排水基準は今後更に厳しくなると予想されることから,生物処理能力の向上および安定操業に対する要求は近年益々高まっている。
  このような背景から,我々は排水処理用微生物製剤「MCシリーズ」によるBioaugmentationの応用技術の開発に取り組んでいる。Bioaugmentationは,有機物の分解能力および増殖力が優れる特別なバクテリアを生物処理槽に添加する事によって,排水処理能力を高める技術である。Bioaugmentationによって,排水負荷の変動に対する活性汚泥の対応力あるいは流入水中の難分解性物質に対する分解能力を高め,排水処理能力を向上させることが可能である。
  本報では,微生物製剤MCシリーズの特長,製紙工場での代表的な使用実績および新たな糸状性バルキング対策方法である「MC+Chlorination処理」について紹介する。これまでの使用実績から,MCシリーズは排水処理での諸問題について対応が可能であり,環境負荷低減に貢献できると考える。             (本文26ページ)


BODバイオセンサによるオンライン連続測定

王子計測機器株式会社 大阪事業所  林 隆造  

  固定化微生物膜を利用し,廃水中の生物化学的酸素要求量を計測するBODSバイオセンサBF―2000型を開発した。
  本装置は適用範囲を拡大するため,トリコスポロン属酵母以外に,活性汚泥中の微生物も利用できる。また配管の閉塞を防ぐための抗菌性配管を採用し,廃水採取希釈機構,データ電送機構と連動させることができる。各種廃水の測定結果についても述べる。
(本文33ページ)


紫煙対策設備 誘電式ガス清浄装置(MDDS)の紹介

三菱重工業株式会社 神戸造船所 機械・環境プラント部 産業排ガスグループ 加賀見守男  

 産業用火力発電設備において,ランニングコスト低減を目的として低質油燃料の採用を検討するユーザが多くなって来ており,この場合排ガス処理として脱硫装置のみを追加設置すると微細なSO3ミスト(硫酸ミスト)が生成してしまい,脱硫装置のみでは除去困難な状態となる。このSO3ミストは,非常に微細であるため煙突から大気中に放出されると,排出後もなかなか拡散されずに延々とたなびく紫煙となり景観上の問題となるケースが増えてきている。
  これを除去する為,横型の湿式電気集じん装置(湿式EP)の設置を検討するケースもあるが,敷地面積が狭隘である等の理由から設置が困難なケースが多々ある。湿式EPの容量決定においてSO3ミストは,平均粒径が0.05〜0.1μmと細かく,10ppm程度の濃度でも著しい空間電荷を形成し電流低下が起こるとともに低い投入電力で火花が誘発され,高効率に捕集するには大きな装置容量が必要となってしまう。
  SO3ミスト対策としては湿式EPの他にもアンモニア注入法などが実用化されているが,乾式EPの設置スペースの確保,アンモニアのランニングコストや反応生成物である硫安の産廃処理などの検討課題もあり,主に新設の大型設備への適用に留まっている。
  弊社では,このような状況の中で,高空間電荷を形成するような,SO3ミストをはじめとする高濃度微細粒子を高効率に捕集する新しい湿式電気集じん装置の開発に取り組んでおり,その集塵原理の名称の一部を採用し,誘電式ガス清浄装置(Mitsubishi Di―electric Droplet Scrubber)と命名した装置の概要について紹介する。
(本文38ページ)


製紙排水向け担体流動床式生物処理装置「粒流―バイオシステム」

ハイモ株式会社 環境プラント部 石川 正幸  

  日本全国の製紙業界では1970年から1972年頃にかけて放流水質規制に対応すべく排水処理装置の建設がおこなわれ,多くの工場ではすでに30年前後経過している。
  昨今,環境問題の意識向上を伴って排水処理基準が強化される傾向にある。一方,製紙業界では地球の砂漠化問題,環境保全を前提にした古紙のリサイクル等に対応した結果,排水の水質は悪化の方向に向かっており,廃水処理設備の増強,増設を考えざるを得ない工場も多い。排水処理にも膜処理など新しい技術が導入されつつあるが,多量の排水が流出する製紙排水ではイニシャルコスト,ランニングコストを考慮すれば未だに生物による処理が経済的である。活性汚泥法など生物による排水処理は多少管理の難しさがあるだけに,新たに設備される装置には高効率で,取り扱いの容易なものが望まれる。
  弊社ではこのような要求に答えるべく担体流動床方式の生物処理システム「粒流バイオシステム」を開発した。担体は曝気槽容積の減少を最小にし,生物膜の付着面積が最も効率が良くなる円筒形のプラスチック担体を採用し,比重は生物膜が担体に付着生長したときに1になるように調節した。この担体は僅かな水流にもよく流動し,排水中の汚れ(BOD)と良く接触させる事が出来る。また,担体同士が衝突しても衝撃がソフトであり,付着した生物膜を過度に剥離する事もない。
  製紙廃水向けに「粒流バイオシステム」を販売して8年が経過し,実績も出揃ったので開発経過,実績について紹介する。
(本文43ページ)


流動床型生物膜処理法による排水処理
 ―スポンジ状担体を用いた流動床型生物膜処理法による製紙工場排水の処理―

株式会社荏原製作所 水環境・開発センター 応用技術室  佐久間博司  

  スポンジ状担体を用いた流動床型生物膜処理法は高いBOD負荷で処理が可能であり,活性汚泥法で問題となる微生物のウォッシュアウトがなく,また,固定床の生物膜法で問題となる閉塞が生じないなど維持管理も容易である。本法を製紙工場排水処理に適用することを目的として,パイロットプラントよる現地実験を行った。また,既設排水処理設備の一部を本法に改造し,実設備の性能調査を行った。
  パイロットプラント実験の結果,COD容積負荷4kg/(m3・d)以下の条件でS―COD除去率65%以上,BOD容積負荷3.5kg/(m3・d)以下の条件でS―BOD除去率90%以上という高い除去成績が得られた。また,流動床型生物膜処理水を対象に凝集沈殿処理試験を行った結果,硫酸バンド添加量200mg/L,凝集pH=6.0,アニオンポリマー添加量1mg/Lの条件でCOD成分は約80%除去され,処理水CODは約20mg/Lまで低減できた。流動床型生物膜処理と凝集沈殿処理を組み合わせることにより,SS性のCODも含めた処理が可能であることが明らかとなった。
  実設備における性能は,S―COD容積負荷2kg/(m3・d)以下でS―COD除去率70%以上,3kg/(m3・d)付近で約60%であった。また,S―BOD除去率はS―COD容積負荷2.5kg/(m3・d)付近まで90%以上であり,高い除去率を示した。設計の条件はS―COD容積負荷2.5kg/(m3・d)以下でS―COD除去率60%であり,設計の性能を十分満足する結果が得られた。
  以上のように,スポンジ状担体を用いた流動床型生物膜処理法は製紙工場排水処理において高負荷処理が可能であり,また,既設の躯体設備を利用して能力増強が可能である。
(本文49ページ)


紙パルプ排水への新しい排水処理技術の適用

住友重機械工業株式会社 プラント・環境事業本部 環境システム事業センター水技術部  中野 淳  

  紙パルプ排水の処理技術は,大量の排水を処理する必要性から,省スペース,省コスト処理が求められている。その要求を満たす排水処理システムとして,3種類のシステムについて事例を紹介する。
1) 高効率型嫌気性排水処理「バイオベッド(R)」システム
 グラニュール状のメタン菌を利用して,排水中の有機物を分解する技術であり,従来の活性汚泥法と比べて,超高負荷運転が可能,電力消費量が少ない,汚泥発生量が少ない,バイオガスからエネルギー回収が可能,といった特徴を有している。
2) 省スペース型排水処理「スミスラッジ(R)」システム
  活性汚泥法に高速凝集沈殿装置「スミシックナー(R)」を組み合わせたシステムで,大幅な省スペース化を計ったシステムである。活性汚泥濃度を高く保つことができるため,処理の安定化も計れる。
3) 膜分離活性汚泥システム 
  曝気槽内に膜ユニットを直接浸漬し,槽外から吸引ポンプで膜透過水を取り出す処理法であり,清澄で安定した処理水質が得られる,メンテナンスが容易,沈殿槽が無く大幅な省スペース化が計れる,といった特徴を有している。
(本文54ページ)


酸素曝気法(UNOX)の紙パルプ排水への適用

昭和エンジニアリング株式会社 環境事業本部営業部  植田 誠  

  排水処理の分類として生物,化学,物理処理等があり,処理対象排水の条件および要求される処理水質の程度に応じてこれらの処理方式の組み合わせで処理設備が構成される。設備費および運転費の経済性を考慮した場合,処理の大部分は生物処理が占めている。生物処理には酸素を必要とする好気性処理と無酸素状態で処理が行われる嫌気性処理がある。最近では嫌気処理技術の発展(UASB等)により食品・飲料工場などの排水処理への適用が増加しているが,用水型産業の紙パルプ工場実績では好気性処理が圧倒的である。
  好気性処理のユノックス・システムは,酸素源として空気の代わりに高濃度酸素ガスを用いて曝気する酸素活性汚泥法であり,下水処理,産業排水処理分野に昭和47年国内1号機運転開始以来,海外10基をふくめ,現在まで約150基の実績をもつ。産業排水処理では,紙パルプ排水に43基実績(含む海外5基)をゆうし,紙パ排水の種類に関係なくユノックス・システムが採用されており確立された排水処理技術といえる。
  ここでは,ユノックス・システムの概要は簡単な紹介にとどめ,過去の紙パ排水における実績評価および技術進歩等につき,若干の説明をおこなう。
(本文61ページ)


溶剤排ガス処理技術

東洋紡績株式会社 東京支店AC事業部  中出 藤彦  

  近年,世界規模で環境問題がクローズアップされている中,産業界においてもISO14000シリーズの認証を取得するなど,自主的に管理・改善を行うシステムを取り入れ,地球環境保護の努力が進められている。この中で大気保全についてはPRTR法の施行,埼玉県において罰則規定が国内で初めて盛り込まれた「生活環境保全条例」の施行,更には国会で光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因物質として,揮発性有機化合物(VOC=Volatile Organic Compound)の排出規制を大気汚染防止法に盛り込む動きがあるなど,事業者には,なお一層の努力が求められる状況となっている。
  事業者にとってはこれまで排出規制がなかった物質や低濃度排気が監視対象になり,その対策費用の負担は非常に大きいものとなると思われる。しかし,地球環境を維持することは人類にとって最優先されるテーマである。
  これまでのVOC処理は,設備コストやランニングコストの面から高濃度排ガスを中心に回収・燃焼などの処理がなされてきた。しかし,排出規制や作業環境の点から低濃度・大風量の排ガスを対象とした処理も必要不可欠となっており,この様に多種多様な排ガスに対し,事業者は排ガスの発生状況を知り,十分効果のある処理方法を選択していかなければならない。
  ここでは排ガス発生状況と処理目的に応じたVOC処理技術の選定の概略と,排ガス処理装置の原理・特徴などを紹介する。弊社の代表的な処理装置は,下記の通り。
  「Kフィルター溶剤吸着処理装置」は回収した溶剤の再利用を可能にする活性炭素繊維を使用した固定床式吸着回収装置,「ハニローター吸着濃縮処理装置〓」は疎水性ゼオライトや活性炭をハニカム状に成形した低圧損高性能吸着材を用い,大風量・低濃度の排ガスを小風量・高濃度に濃縮し,後処理設備の小型化及び省ランニングコスト化を図ることができる。また,「Kマットロール脱臭装置〓」の処理原理は,吸着材に活性炭素繊維のベルトを使用し,このベルトを回転させ排ガスを吸着濃縮したのち,その濃縮ガスを触媒酸化で処理する小型排ガス処理装置である。この様な装置で各種排ガスの状況に合わせ効率的な処理を提案させて頂いている。                
(本文67ページ)


蓄熱燃焼式VOC除去装置

中外炉工業株式会社 環境事業部 大気浄化部  村元 俊博  

  蓄熱燃焼式VOC除去装置(通称RTO:Regenerative Thermal Oxidizer)は,印刷,塗装,化学工業等,各種製造過程から排出される揮発性有機化合物(VOC)を無害化するのに最も効果のある装置である。
  RTOの特長は,VOCの高効率除去を可能とするために,燃焼温度を800℃から1,000℃の高温域に設定する一方で,燃料消費量を最小限に留めている点にある。
  RTOでは,燃料消費量を抑えるために蓄熱原理を採用しており,蓄熱体としてはハニカム形状のセラミック製蓄熱体を用いている。
  RTOには蓄熱体を充填した蓄熱室があり,ここに処理ガスと高温の処理後ガスを交互に通過させる事により,蓄熱体とガスの間で熱交換が行われる。
  RTOにおける熱再生効率は,最高98%の非常に高い数値を得る事が可能である。
  又,逆に,RTOでは熱再生効率を大きくとることが可能であるので,他方式に比し燃焼温度を高く設定する事が可能であり,その結果99%以上のVOC除去も可能となっている。
  このような高性能及び省エネ性を兼ね備えたRTOは,1980年代より欧米に広く普及し始めた装置であり,ここ数年では日本においても注目されている装置の一つとなっている。                       
(本文75ページ)


電気事業における石炭灰の処理・利用技術につい

財団法人電力中央研究所 エネルギー技術研究所 燃料・燃焼工学領域  松田 裕光  

  電気事業は,地域的偏在性が少なく賦存量の多い石炭を燃料とする石炭火力発電を,長期的に安定供給できる重要な電力と位置づけている。これにより,電気事業における石炭消費量は年々増大し,平成12年度は年間約6,000万t(日本の石炭利用量の約40%)となった。
  しかしながら,石炭には灰が通常10〜15%含まれているため,利用に伴い必ず発生する石炭灰の処理が不可欠となっているが,埋め立て処分地の不足,廃棄物としての処理費の増大,主要な有効利用先であるセメント産業における生産量の減少および利用普及に向けた環境安全性の確保など,課題が多い。主要な石炭利用産業の一つである電気事業では,石炭灰の処理・処分および利用技術の開発を鋭意実施しており,本報告では,電気事業における石炭灰の発生状況,利用技術およびこれらに関連する電力中央研究所の取り組みについて紹介する。                     
(本文81ページ)


第71回紙パルプ研究発表会の概要

紙パルプ技術協会  木材科学委員会  

  第71回紙パルプ研究発表会は,2004年(平成16年)6月16日(水)〜17日(木)の2日間,東京都北区「北とぴあ」で開催された。産官学各界からの発表件数は合計47件で,口頭発表が29件,ポスター発表が18件であった。参加者は約270名であった。発表内容の概要をまとめた。              
(本文95ページ)

2004TAPPI PAPER SUMMITに参加して

日本製紙株式会社 技術研究所 抄紙研究室  小野 裕司  

  2004年5月3日から5日までの3日間に米国のアトランタで開催された2004 TAPPI PAPER SUMMITに参加する機会を得たので概要を報告する。
  研究発表は,口頭発表が10のセッションで150件,ポスターが8件の合計158件が行われた。また,紙パルプ関連の179社による展示会も同時に開催された。
(本文120ページ)


連続クラフト蒸解における広葉樹材パルプの高収率化とその評価法(第2報)
  ―工場の蒸解釜による検証―
  筑波大学 大学院生命環境科学研究科 大井 洋,横山 朝哉  
  北越製紙株式会社 技術開発部 中俣 恵一
  筑波大学 先端学際領域センター客員研究員
  北越製紙株式会社 新潟工場 鈴見 竜一,佐藤 武志  
 
  分子状塩素を用いない漂白法(ECF漂白法)の導入により,漂白段における負荷低減のため,蒸解段での脱リグニンの促進と炭水化物分解の抑制がより重要な課題となってきている。全缶等温蒸解法(ITC法)は,これらを達成できる技術であるが,ポリサルファイド(PS)とアントラキノン(AQ)を併用する操業については,まだその最適反応条件が明らかでない。
  実験室レベルの研究成果に基づき,本報では,工場の実機で最適条件を検証することを目的とする。パルプ工場では,蒸解・漂白段と操業が連続的に行われているため,蒸解段におけるパルプ収率の測定が困難であった。連続蒸解におけるパルプの高収率化を評価するために,パルプのキシロースとグルコースの比(X/G比)からパルプ収率を評価する方法を実機に適用する。
  広葉樹混合材を用いる連続蒸解において,パルプ収率向上のためのITC法最適条件として,全アルカリの70%に相当するPS蒸解液,およびAQ(対木材0.02%)をチップ供給系の循環ラインに添加し,温度が130―145℃に到達している蒸解循環には,全アルカリの残りの30%に相当するクラフト蒸解液を添加した。カッパー価18―19でX/G比が0.235のパルプが得られた。このことは,PS―AQ ITC法は,実験室クラフト法と比べると約7%収率が高いことを意味する。また,PS―AQ ITC法は,クラフトITC法と比較し,少なくとも約1.4%の高収率化を達成できることが示された。
(本文134ページ)