2003年8月 紙パ技協誌

 

紙 パ 技 協 誌 2003年8月 

第57巻 第8号(通巻第629号) 和文概要


製紙機械のトータルオートメーション
安川シーメンスオートメーション・ドライブ株式会社 システム設計グループ 大島 賢治  

 近年,各種製造業界では,“オープンネツトワーク”,“マルチメディア”,“IT”といったキーワード下で,工場全体の集中管理化,自動化が推進されている。製紙業界に於いては,プロセス制御システム,ドライブ制御システム,品質管理システム,設備保全管理システム,といった種々のシステムが発展,確立しつつあるが,それらはほとんど個別メーカによる個別システムである。同一ネツトワークに接続し,計装や他の設備とドライブ装置間でデータを共有するケースもあるが,基本的には独立しており,その情報の共有化や活用といった意味では一部分である。また,通常メーカが異なると,PLCや周辺機器が異なり,ハードウェア,ソフトウェア,エンジニアリングツール,必要とされる知識など全てが異なる。それは時には,トラブル発生時の問題解決への道を複雑化したり,有効なシステム活用を阻害したり,保全,管理上の負担要因の一つとなるケースも有り得る。本稿では1種類のPLC, HMIにより前述の殆ど全てのシステムを実現しているドイツ・シーメンス社の実例を紹介する。
 また,制御装置の安定運転やトラブル発生時のダウンタイム短縮のために,近年,PCとネットワーク機器を活用したマルチメディア技術によるリモートメンテナンスやリモート診断が,製紙業界にも浸透しつつある。本稿では当社のリモートモニタリングシステムを併せて紹介する。
(本文1ページ)


新しいドラムパルピングコンセプト“TWINDRUMTM”―ツインドラムのDIPライン実操業レポート―
株式会社アイ・エイチ・アイ フォイト ペーパーテクノロジー エンジニアリング技術開発本部     
ベルンハルド ミューラー,江口 正和,三浦 淳一  

 SP NEWSPRINT社は,2000年に既設550BDT/Dの1ループ白水ラインからなる洗浄法DIPラインの改造をVoith Paperに依頼した。本設備の原料は新聞古紙80%/雑誌古紙20%で2001年9月に順調にスタートアップした。このプラントには高品質新聞用紙向けONP/OMG古紙離解設備として世界で初めて新しいコンセプトである“TWINDRUMTM”が採用された。
 古紙リサイクルプラントにおいてパルピングステージは重要な役割を担っており,繊維にダメージを与えることなく,紙を単繊維化すること,印刷インクやコート成分を繊維表面から剥離することが理想のパルピングである。もう一つの重要な要求は,夾雑物の効果的な除去は,微細化を防止して大きな形のままで除去することであり,これらの要求全てを満たすモジュールとしてSP NEWSPRINT社は新しいドラムパルパコンセプト“TWINDRUMTM”を採用した。
(本文6ページ)


OptiDwellシューニップカレンダーの応用
メッツォペーパーInc. マッティ・ラレス,ステファン・クニ,マルティ・トゥオミスト  
メッツォペーパー株式会社 山崎 秀彦                          

 メッツォペーパーは,既に従来のハードニップやソフトニップに代わるロングニップカレンダー(OptiDwellシューニップカレンダー)を開発している。これは,シュープレスの技術とソフトカレンダー技術を応用発展させたもので,長いニップ滞留時間と非常にソフトなベルトを用いて,紙・板紙の平滑度や光沢度といった表面性および印刷適性の向上を図り,同時に飛躍的に嵩をセーブすることを可能にした。実生産マシンとしては,1994年,スウェーデンのコルスネス(Korsnas)社のPM5で第1号機がスタートアップして以来,順調な生産を続けている。次いで,OptiDwellの第2号機は同社のPM4に導入された。PM5では塗工液体容器用板紙および塗工白ライナーを製造し,PM4では非塗工容器用板紙を製造し実績を上げている。メッツォペーパーは現在までにこの他にも,非塗工上質紙用に1台,液体容器用板紙用に1台のOptiDwellの納入実績を有している。
 また,弊社のヤルベンパー・テクノロジーセンターでは1997年に実機対応のOptiDwellパイロットマシンをスタートアップさせ数々の研究・開発を行ってきた。
本稿では,OptiDwellの最終仕上げ用ファイナルカレンダーとしての有効性に加えて,新たに塗工板紙のための塗工前プレカレンダーとしての有効性について述べる。
(本文14ページ)


環境負荷の軽減を目的とした非木材原料の新パルプ化法について
静岡大学 農学部 鈴木 恭治,星野香世子           
株式会社大善 井出 哲夫,井出 丈史,與田 清,日吉 勤  
富士テクノサポート 中田幸次郎                

 非木材パルプ原料として知られるワラのパルプ製造は古くから東南アジアを中心に小規模な生産が行われていたが,近年,工場排水の水質規制が厳しくなり,これを満足できず生産中止を余儀なくされている工場が数多く見られる。
 本研究では洗浄粗砕機と緩圧式ニーディング装置(ニュータイゼン)を使用することにより,環境汚染の少ない新しい非木材パルプ化法を検討した。
 まず洗浄粗砕機での前処理により原料ワラは十分洗浄され,パルプ化されやすい形状になった。排水のSSは分離可能なものが多かった。緩圧式ニーディング装置に投入された原料は,温度が90〜100℃に保たれる。稲ワラパルプ化は40〜50分で行うことが出来る。パルプ化処理時のNaOH添加率は高いほど良質なパルプが得られるが,排水への負荷を考慮すると8〜13%程度が適当と考えられる。NaOH添加率8%では一部に結束繊維が見られたが,叩解と漂白処理により改善できる。以上から洗浄粗砕機と緩圧式ニーディング装置の組み合わせは環境低負荷型パルプ化装置として期待が持てる。この方法は比較的小規模なスケールでのパルプ化に適合し得る装置である。
(本文22ページ)


「ニーディングパルパー」の開発
日本車輌製造株式会社 産業機械部 磯部 伸夫  

 古紙リサイクル率の向上に伴う原料品質の低化は処理プラントを複雑化し,エネルギー消費量を増化させるという新たな問題を引き起こしている。「環境にやさしいパルパーはどうあるべきか!」パルパーの本質に迫り,高濃度・連続式「ニーディングパルパー」を開発した。 
 繊維はできるだけ離解したい,異物はできるだけ離解しないで大きいまま排出したい。この相反する条件を高次元で満足させることを目標とした。具体的には,異物の微細化防止ではドラムパルパーを超え,繊維の離解度では高濃度パルパーを超える連続式パルパーを目標とした。
 「ニーディングパルパー」は,長円筒タブとその内部に設けられた多段のローターとステーターからなり,上部から投入された原料は高濃度で離解されながら下降し,下部でニーディングされた後,スクリューフィーダーから連続して排出される。
 連続式のためバッチ運転に比べ周辺機器を小型化できる。またラミネート古紙のように極端に異物の多い原料に対しては,異物がパルパー内で団子になることなく大きいまま原料と一緒に排出されるため,処理が容易である。電話帳なども背糊が微細化されることなくそのまま排出される。
 また,ニーディングパルパーの強力な離解力により,前段のニーダーを省略できるためフローが簡素化され,大幅な省エネルギー,省スペースを実現できる。
(本文26ページ)


プロセスアナライザーによるチャージ管理
メッツォオートメーション株式会社 フィールドシステムズ     
ユッカ・ノッケライネン,佐藤 武志  

 製紙プロセスのウェットエンド管理により,全濃度,灰分濃度,ペーパーマシンのショートサーキュレーションにおける基本的な化学特性等を安定化させることは非常に重要なことである。安定性は,直接ペーパーマシンの運転性,紙質へとつながり,内部反応,メカニズム,力学及びそれらに影響を及ぼすものを対象とする鍵となる測定(key measurement)を知ることのみで達成できる。プロセスにおけるチャージのレベルとその変動は,プロセス環境とペーパーマシンの運転性に大きな影響を及ぼす。理想的なチャージは,弱いマイナスの状態で安定していることであり,ここにチャージ制御の動機と目標がある。オンラインチャージ測定のみが,ペーパーマシンのウェットエンド化学に関する必要な動的情報を与え,オンラインチャージ分析計kajaaniCATiを用いた測定により,チャージ制御を行うことが可能となる。代表的なチャージ制御システムは,メインとサブのコントローラーを含み,凝結剤を変動要因検証の結果に基づいて決定された最適な箇所に添加する。メインの制御ループは,kajaaniCATiの測定結果に基づき白水のカチオン要求量を制御する。サブコントローラーは,コート損紙等のショートサーキュレーションへ伝達されるカチオン要求量の変動を調整して,メインコントローラーの補助を行う。チャージ制御により,プロセス情報,プロセスの安定性,ペーパーマシンの運転性の改善,化学薬品の経済的かつ有効な使用といった多くの利益がもたらされる。
(本文33ページ)


製紙用ルチル型酸化チタンスラリーの優位性
米国デュポン社 デュポンチタニウムテクノロジー 技術サービスコンサルタント     
ウェイン・ローガン  
デュポン株式会社 東京本社 伊与田秀一      

 製紙業界では高品質な紙・板紙製品の不透明性向上のために酸化チタンを使用している。(塩素法ルチル型酸化チタンの製造技術が確立されるまではアナターゼ型酸化チタンが主流で使用されていた。)北米でのルチル型酸化チタンスラリーは25年以上の実績があり,その品質は改善され続けてきた。その結果,北米の製紙用酸化チタンの95%以上はスラリーで供給されている。また,最近では欧州および日本でも高品質のルチル型酸化チタンスラリーが着実に増加している。
 多くの場合,酸化チタンメーカーのスラリー製品は製紙工場で分散されたものより10〜12%程度光散乱能力が高い事が確認されている。これは高シアー分散機により粒度分布が最適化されているからである。また,アナターゼ型酸化チタンはルチル型酸化チタンと比べ屈折率が低く,粒度分布が最適化されていないため,同等の不透明度を得るためには20%以上多く添加する必要がある。
 スラリー製品の取扱いと貯蔵方法は決して難しくない。適切な仕様の設備および手順により操業上のトラブルを抑制し,顔料の高品質を維持できる。
(本文41ページ)


表面塗工剤による紙の高機能化とそのメカニズム
ハリマ化成株式会社 製紙用薬品事業部 栗原 隆紀  

 製紙業界における技術開発の躍進は品質面の高度化,多様化を生み,中でも表面塗工による紙の機能制御は品質向上の重要な手段の一つとして挙げられる。表面サイズ剤の適用は,紙へのサイズ性付与効果を補うのみならず,相対的な紙力増強効果,内添サイズ減添に伴う薬品処方のトータル的なコストダウン効果を得ることが可能と考えられる。また,表面サイズ剤には印刷適性や耐水性,防滑性など様々な性能が要求され,中でも最近ではPPCにおけるインクジェット印刷適性(フェザリング,裏抜け等)の要求が高まっており,DIP増配系でのインクジェット適性の改善に対応しうる表面サイズ剤の開発が期待されている。
 本発表では,紙への表面塗工による高機能化の機構解明の一環として,表面及び内添のサイズ剤がPPC用紙のインクジェット印刷適性や新聞用紙のオフセット印刷時のネッパリ抑制に及ぼす効果を検証すると共に,塗工液の浸透特性の指標となる動的接触角及び浸透性との関連性を考察した結果を報告する。
(本文49ページ)


透気加速度による耐ブリスター性に関する研究(II)
JSR株式会社 高分子研究所 松田 信弘,山中 茂生,矢田 正明,座間 義明  

 塗工層の透気性について我々は,高温・高圧の条件下での透気性が測定可能な加熱加圧式透気度測定機を試作し,透気加速度なる耐ブリスター性を議論する上で有用なパラメーターを提案している。本研究ではオフセット輪転印刷機を用いて乾燥温度を変量することにより市販A2オフ輪塗工紙(104.7g/m2)10種類と(127.9g/m2)11種類の耐ブリスター性に関して検討を行った。その中で,市販A2オフ輪塗工紙の耐ブリスター性に対しては,「原紙の層間強度」と「原紙層から塗工層方向へと透過する透気加速度」が重要であることを明らかにした。これは,気体の透過性がその透気方向に大きく影響されるためであり,「疎の構造から密の構造」へ透過する方がより気体は通り易い傾向にあった。従って,ブリスター現象を考察するには,実際にブリスターが発生する時の透気方向を考慮し,その透気加速度にて議論することが重要であると結論づけられた。
(本文57ページ)


高不透明度・高白紙グロス炭酸カルシウムの開発―FMT―OPシリーズの紹介―
株式会社ファイマテック 大石 正幸  

 近年,紙コーティング顔料としての重質炭酸カルシウムは,白色度の向上とコスト低減への貢献から益々使用が増大してきた。
 重質炭酸カルシウムは,他のコーティング顔料に比較して,白紙グロスはやや低いが印刷グロスが高い点,バインダー要求量が低く表面強度向上またはバインダー低減が可能という点から使用されて来た。使用の増大につれ,より白紙グロスの得られる微粒子重質炭酸カルシウムへの関心が高まってきている。
 こうした中でファイマテックは,単に粉砕を進めた微粒子炭酸カルシウムだけでなく,粒度分布制御技術を駆使した種々のシリーズを開発してきた。
 本報では,この粒度分布制御重質炭酸カルシウムであるFMT―OPシリーズについて,その粒度特性とコート紙特性比較結果を紹介する。
 粒度分布制御重質炭酸カルシウムとしては,すでにスーパーコートシリーズ(SCシリーズ)を開発し,SC―95として国内4工場での生産体制を確立している。
 SC―95は,汎用タイプであるFMT―90と比較するとやや細かい平均粒子径を持ち,印刷グロス・強度が共に優れている点に特徴があるが,高白紙グロスの要求に対しては平均粒子径を更に細かくした微粒GCCによって得られる白紙グロスのレベルには及ばない。
 OPシリーズは,高白紙グロスが得られる微粒平均粒子径の領域もカバーする粒度分布制御重質炭酸カルシウムで,WVV%が高い値を示し,不透明度が高く隠蔽性に優れた結果を示した。また,白紙グロスが高いという特徴が得られた。
 FMT―OPシリーズは,白紙グロスと不透明度の向上を目的としたコート紙用に推奨できる重質炭酸カルシウムである。隠蔽性の高いことから,板紙下塗り処方や微塗工紙へ,また高グロスが要求されるグレードへの対応も期待できる。
 ・OPシリーズ:高白紙グロス・高不透明度
 ・SCシリーズ:高強度・高印刷グロス
 ・FMTシリーズ:汎用タイプ,粗粒〜微粒
(本文65ページ)


シート枚数カウンター装置及びレーザーマーキングシステム
株式会社丸石製作所 設計部 勝亦 光昭  

 当社は創業以来,自動機械の設計開発・製作・アフターサービスを一貫して行っている。
 一方,海外の機械メーカーとの交流を積極的に行っており,世界ナンバー1と評価の高い,数々の機械を,日本国内のユーザーに納入している。
 今回はこの中からパレットに積上げられた洋紙,板紙,段ボールなどの枚数を自動カウントするシート枚数カウンター装置と6軸ロボットを使用して指定枚数の位置にマーキングをする世界初のレーザーマーキングシステムMETROを紹介する。
 この,シートカウンター装置及びレーザーマーキングシステムMETROは1989年オランダのFunction Control Research B.V.により開発され装置である。このシートカウンター装置は全世界11ヶ国で60台以上稼動している世界的に認知された装置である。
 世界で初めてレーザーマーキングシステムをスキッド包装のラインに導入したユーザーではシートカッターの積取部に設置されていたテープマーカーを撤去し,カッター積取部でオペレーターが枚数管理を行う必要がなくなった。このラインにはバーコードリーダーが設置され,その情報によりスキッド毎に異なる指定枚数の位置にマーキングを行っている。全自動のラインでオペレーターは介在していない。また,テープマーカーによるキズ及びエンドユーザーでのマーカー混入のトラブルが解消された。
 このシステムを導入する事により,生産性や製品の品質向上はもとより,設備管理費用の削減も可能となり,今後も普及していくと考えられる。
(本文70ページ)


品質保証型の防虫管理
アース環境サービス株式会社 開発部 横尾 暢哉  

 防虫管理とは,単なる昆虫駆除作業ではなく,製品への異物混入防止活動である品質保証の重要な活動の1つであり,予防という考えから進めていかなければならない。

 工場で製品への昆虫の混入を効果的に防止するためには,ハード面,ソフト面,従業員の意識の面を含んだ総合的なシステムを確立しなくてはいけない。この総合的なシステムを実施することで製品への昆虫の混入の根本的な原因を解決することが可能になる。
 我々は,多種多様な業種の得意先工場への昆虫を含め異物混入に対する工場オリジナルの総合的な異物混入防止システムTHC(総合環境衛生管理)を導入している。THCの主の活動は,以下のようである。
 年間の計画(Plan)のもと,定期的な現場の目視点検,各種データのサンプリングとモニタリングなどを行い,現状の把握と問題の抽出を行う。それから,我々は,表面化もしくは潜在的な問題を解決する最良の改善対策の提案と計画を現場の方々と我々の中でディスカッションして決定していく。一旦計画が決定したら,実施責任者,実施予定日,実施ポイント,方法等を明確にし,確実に実行できるよう実施促進を行う。また,現場での作業が困難な場合は,我々が実際の作業を行う場合もある(Do)。対策実施の確認後,統計手法を利用した効果の確認を行う(Check)。もし対策実施の効果がなければ,改善対策の見直しや修正を行う。また,年2回は総括を行い,システムや活動の効果確認と今後の活動の修正,計画を行う(Action)。
 このように,我々のTHCは継続的改善を行うことで,年毎に異物混入防止管理を効果的にすることが可能になる。本報では,我々の詳細なシステムの概念と手法について説明する。
(本文75ページ)


次世代欠陥検査システム―スマート・ビューICN欠陥検査システム―
コグネックス株式会社 サーフェース インスペクションシステム営業部 鈴木 聡  

 コグネックス(COGNEX)社(本社:米国マサチューセッツ州)は次世代型欠陥検査システム「スマート・ビュー(SmartView)」を開発し,同システムはこれまで紙,不織布,金属(鉄鋼,アルミ,銅箔),フィルムなどさまざまな分野に導入されてきた。国内の製紙関係においても2000年に紹介されて以来,ライナー,塗工,ソーター,上質紙などの検査において実績を上げている。
 「スマート・ビュー」は高機能な検査を実現するためにさまざまな最新技術を搭載しているが,大きく次の3つの特長がある。1つめは最新のCCDセンサを搭載したデジタル・カメラを採用しているため,ノイズに強く,高解像度。しきい値も複数を同時並列で処理するためスポットとストリークを1つのカメラで同時検出できるなど,検出能力に優位性を持っている点である。2つめは,40種以上の欠陥の特徴量(大きさ・形状・濃淡・位置など)による欠陥の分類が可能,すなわち画像判定で欠陥を最適分類することができることである。無害欠陥もこの画像判定で消去し,検査(しきい値)レベルを下げることなく過検出を防ぐことができる。3つめは,マン・マシン・インターフェースのツールが豊富で,欠陥画像も容易に解析できること。カメラの視野全体の画像も取り込むことができるため,地合をモニターしたり,分析したりすることができる。
(本文80ページ)


広葉樹パルプからの紙の引張過程で生じるアコースティックエミッション―叩解および紙力増強剤添加の影響―
京都大学大学院 農学研究科 山内 龍男,畑中 高照  

 紙の引張変形・破壊のミクロなプロセスおよびメカニズムを研究する目的で,広葉樹クラフトパルプからの紙の引張過程で生じるミクロな破壊に由来するアコースティックエミッション(AE)に及ぼす叩解および紙力増強剤添加の影響を検討した。最大引張荷重に至るまでに生じるAEの最大振幅分布からミクロな破壊,すなわち繊維間結合破壊や繊維破断に及ぼすこれらの影響を明らかにすることができる。針葉樹パルプからの紙と同様,広葉樹パルプからの紙でも叩解に伴う繊維間結合の増加は繊維破断および比較的強い結合の破壊をもたらす。ただしほぼ同じ引張強度を有する針葉樹パルプからの紙と比較すると,繊維破断は少なくまた繊維間結合の破壊においてもそのエネルギーは小さい。紙力増強剤の添加により比較的強い結合の破壊および繊維破断が増大する。叩解により増加した引張強度とほぼ等しいそれを有する紙力増強剤を添加した紙を比較しても繊維間結合破壊および繊維破断の状況においてほとんど差異は認められないが,後者では引張変形半ばですでに繊維破断や強い結合の破壊が生じる。
(本文89ページ)


非木材パルプ及び古紙パルプを配合した上質紙のライフサイクル影響評価
科学技術振興事業団 中澤 克仁  
東京大学 工学系研究科 本田 智則  
三菱製紙株式会社 経営企画部 桂 徹  
東海大学 工学研究科 片山 恵一  
東京大学 国際・産学共同研究センター 山本 良一  
東京大学 生産技術研究所 安井 至  

 非木材パルプ(バガスパルプ・ケナフパルプ)及び古紙パルプ(DIP)を配合した上質紙におけるLCI(Life Cycle Inventory)分析結果を基にして,8種類のインパクト手法(EPS1992,EPS2000,Eco―Point1993,Eco―Point1997,Eco―Indicator95,Eco―Indicator99,パネル法,Distance to Target法)によるライフサイクル影響評価を検討した。その結果,バイオマス起源のCO2排出による影響を考慮した各種インパクト手法による上質紙の環境影響評価では,全ての手法においてDIP<木材パルプ<バガスパルプ<ケナフパルプの順で環境影響が大きくなる傾向が認められた。また,バイオマス起源のCO2排出による影響を除外して比較した場合は,Eco―Indicator99以外の7種類の手法においてDIPより木材パルプの環境影響が小さいとの結果が得られたが,その差は極めて小さかった。さらに,8種類のインパクト手法による各種上質紙の環境影響を相対的に分析した結果,インパクト手法間の差は比較的小さく,Eco―Indicator99以外の7種類のインパクト手法で,ケナフパルプ/DIP比が1.8以下であった。各種インパクト手法内での各環境影響因子の比率を分析した結果では,CO2排出による環境影響が極めて大きく,特にEco―Point1993とEco―Indicator99以外の6種類のインパクト手法で全環境影響因子内の約70%を占めていることが確認された。
(本文96ページ)