2003年3月 紙パ技協誌

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紙 パ 技 協 誌 2003年3月 

第57巻 第3号(通巻第624号) 和文概要


海外導入実績による計装設備最新情報
メッツォオートメーション株式会社 ペーパーオートメーション事業部 出倉 潔  

 近代化設備が普及した今日,計装分野においてもその変遷と進歩が日進月歩しているのは周知のとおりである。このような時代の変化に伴う設備そのものの考え方や技術も大いに変化している。こういった時代の流れの中で,今日の海外に於ける計装設備の実績と言ったものがいかなる状況にあるかを,ご紹介したいと考える。
 現在の海外実績に於ける計装設備においては,現在の日本国内の様相とはかなり性質を異にしている。また基本的な考え方が異なる点も多く見受けられる。これらの相違点を本報告を通してご紹介できるならば幸いである。今回実績例として,フィンランド・ドイツおよび中国を例にあげてみた。それぞれに特徴をもっているが,海外と言う点で共通した点も多々見られる。本報告を通してこれらの点を理解していただければ本位である。またこれらの実績例に基づいて,これからの計装設備のあり方について考えられる事が出てくると考える次第である。
 尚,本原稿作成にあたり,数多くの方々に多大なるご尽力を頂きたことに深く感謝する次第である。
(本文16ページ)


DCSを取り巻く新しい試み
王子製紙株式会社 富士工場施設部電装課 高山 丈和  

 王子製紙富士工場は白板紙抄紙機N―2M/Cを建設し,2001年10月より営業運転を開始した。
 プロセス監視にDCSが採用されるようになって四半世紀,それは幾たびかの変遷を遂げてきたとは言え,今なおプラントの運転監視システムの中核であることに変わりはない。しかしながら,今やDCSはメーカによる性能の差異を述べることは極めて困難で,個別の機能を比較してその優劣を論じることはもはや無意味である。
 一方では,中核をなすDCSに対し,周辺に位置するQCS,欠陥検出器等の特殊機器やPLCが統括するサブシステムもそれぞれに発展をとげ,それらが提供する情報は増える一方である。このことは,省力化とあいまって一人のオペレータが把握すべき情報量が飛躍的に増大することを意味している。
 このような認識のもと,我々は従来の殻を破る一歩進んだ計装システムとして,
 (1) DCSと種々のシステムをシームレスに結合,協調させ,システム全体としての付加価値を高めること
 (2) 多様かつ莫大な情報を,より効果的にストレスなくオペレータに提供すること
 (3) 操業実績情報,品質情報等を系内にとどめることなく,後工程である仕上げシステムや上位の管理系システムへ提供し,操業支援,生産管理に役立てること
をシステム・コンセプトとして具体的な検討に入った。
 本稿ではN―2M/C及び周辺設備の運転監視システム構築にあたってのコンセプトをはじめとして,IT関連技術の適用を中心にN―2M/C計装システムの全体像を紹介する。
(本文28ページ)


巻取搬送情報システムの構築
日本製紙株式会社 釧路工場計装課 重松 孝博  

 弊社では営業力・競争力の強化とキャッシュフローの改善を目的に,「マーケティング企業への転換」と「受注・生産・販売体制の再構築」をビジョンに掲げ,紙事業の業務改革を検討・推進している。改革を完遂し,効果を上げるためには各種情報のシステム化が不可欠であり,実施にあたっては特に,本社営業系システムと工場制御系システム間でのデータ連携が重要なポイントとなる。この方針の基に,釧路工場では既存の巻取搬送システムを全面的に更新した。
 当工場は,3台の抄紙機,4台のワインダー,2つの搬送ライン(5・6搬送,7・8搬送)が存在するが,生産品目が新聞用紙専抄ともいえる工場であり,今回の一連の改造によりシステム連携による効果が発揮されやすい環境にある。
 既存のシステム(横河電機製YEWMAC)は運用後既に12年を経過しているが,この間,巻取製品の出荷管理の自動化に多く貢献した。しかしながら,平成15年には部品供給が停止されること,更に,システムの制約上,本社営業系システムとの連携機能追加が不可能な状況にある為,老朽化したYEWMACを更新し,システムとしての機能を高めることとした。今後,本システムは本社営業系システムとの連携の中に組み込まれていくが,本稿では主に,再構築された巻取搬送システムの概要について報告する。(本文36ページ)


紙切れモニタの使用実績
北越製紙株式会社 新潟工場電気計装課 横田 貴治  

 近年の抄紙機の大型化・高速化に伴い,短時間の紙切れでも大きな損失が発生してしまう。紙切れが発生した場合,その原因を特定できず,同じ原因で紙切れを繰り返すこともしばしばであり,紙切れ原因の早期発見・対策が生産効率を上げるために,非常に重要となっている。
 今回のテーマである紙切れモニタとは,抄紙ライン上の各所に監視カメラを設置し,そのカメラからの映像を常時記録装置に保存する装置である。紙切れ発生後には,この記録装置に保存された映像を解析することで,紙切れ箇所や原因を特定するもので,紙切れの減少が期待できる設備である。映像を記録し,紙切れ時の映像を確認することで紙切れ原因を追及することは,一般的な紙切れモニタの共通した考え方であるが,保存方法・紙切れ時の映像の探し方,価格等に大きな違いがある。
 北越製紙(株)新潟工場では,3タイプの紙切れモニタを導入しているが,各タイプともそれぞれに長所・短所がある。低機能だが安くてたくさんのカメラを導入できるタイプ,高機能だが高価なタイプ,どちらを選定するかは導入規模・目的・予算により変わるが,各現場ともこれからの紙づくりには必要不可欠と考える重要な設備であり,各タイプの機能比較が非常に重要となる。
 そこで今回は,各タイプの機能比較を中心に,紙切れモニタの使用実績の報告を行う。
(本文43ページ)


原動・KP中央操作室のDCSによる統合化
大昭和製紙株式会社 岩沼工場工務部動力課 今野 明敏  

 岩沼工場では生産性向上とコストダウンを目的に,計装のDCS化により原動部門とパルプKP部門の分散している中操室を各々統合して省力化を実現した。
 パワープラントの汽力系と回収ボイラー設備のパルプ系による原動部門の統合は,中操室の集約により工場の負荷変動に対して蒸気・発電バランスの連携を密接にとることができる上,DCS化で集約する事で6名の省力化を実現した。
 また,パルプKP部門の統合では,分散していた中操室では電話連絡等による対処のため作業効率面で不十分な所もあったが,こちらも中操室の集約により作業効率の向上と,9名の省力化を実現した。また,自動制御ソフトの導入による操業と品質の安定に加え,サービスライフが切れそうなアナログ計器の保守不安を払拭し,費用の軽減も期待できる。これらの統合工事を限られた期間と予算の中で円滑に実施し,予定通り省力化を達成できたDCS導入による統合化について説明する。
(本文47ページ)


最新のストリーク・筋欠陥検出技術―NASP―マルチ500システムのアルゴリズム―
オムロン株式会社 ビジョンシステム事業部技術部 中田 雅博  

 マルチ500システムは,大規模かつフレキシブルなデバイスを採用し,その位置付けをソリューションBOXとして,将来にわたり,ご提案可能なアーキテクチャによるプラットフォーム思想をベースに商品化した。そのソリューションBOXには,各種検出アルゴリズムを搭載している。濃欠陥・淡欠陥・筋欠陥などを検出するためにデジタルフィルタ技術を活用したものである。また,ハードロジックが可変可能であるためバージョンアップにより,フィルタのバリエーションを追加する計画である。
 機能・性能向上をユーザにかかる負担の軽減にもなると考えている。
 ストリーク・筋欠陥検出においては,その特徴をとらえ,フィルタ技術とその組み合わせによるアルゴリズム開発している。つまり,欠陥の特徴にあったフィルタとそのアルゴリズムのマッチングにより検出性能は,左右されることになる。そのアルゴリズムにおいてストリークは,主に累積処理による効果・筋では,2次元デジタルフィルタ・ベクトル強調による効果を利用して欠陥検出性能を向上させている。
 さらに,ストリーク欠陥のマーカ・ブザーの2モード切替機能を搭載している。欠陥種の変化を捉えながら設定パターンにより2種の欠陥としてとらえるか,1種の優先順位の高い欠陥としてとらえるかということが可能である。オペレータ画面表示も連動することになる。
 本報においては,以上の内容を記述している。今後も紙パルプ業界との対話をしながらより良い商品づくりしていくことがメーカの役目と考え,取り組んでいく所存である。
(本文53ページ)


完全デジタル処理によるストリーク検出―スマート・ビューICN欠陥検査システム―
コグネックス株式会社 サーフェースインスペクションシステム営業部 鈴木 聡  

 コグネックス(COGNEX)社(本社:米国マサチューセッツ州)の最新のシート向け欠陥検査システム「スマート・ビューICN」は一昨年に国内に紹介して以来,不織布,金属(鉄鋼,アルミ,銅箔など),フィルムの検査に導入され,製紙においてもライナー,塗工,ソーター,上質紙などの検査においても実績を上げてきた。
 「スマート・ビューICN」は,旧アイシス・コントロール(Isys Control)社の鉄鋼・金属向け表面疵検査システム「iSシリーズ」を低価格で提供すべく開発された検査システムである。「iSシリーズ」はデジタル画像処理により,同じ検査面を異なる角度の2つのカメラで検査し,その2つの欠陥画像から得られた約80種の特徴パラメータにより欠陥を細かく分類でき,さらに金属表面の薄いスクラッチ(ひっかき疵)を検出するためのストリーク検出アルゴリズムも有している。
 「スマート・ビュー」はこれらの機能を継承し,完全デジタル処理による高精度検出と豊富な特徴量による欠陥の分類機能が特長である。
 本稿では,ストリーク検出機能に焦点をあて,「スマート・ビューICN」の機能を紹介する。
(本文60ページ)


最新のストリーク筋検出技術
東芝ITソリューション株式会社 画像処理応用機器部 藤田 稔  

 ストリーク・筋欠陥は,細長いといった形状的特徴を有するが,非常に低コントラストの欠陥である場合が多い。そこで,欠陥の空間周波数(幅,長さ)注目し,ストリーク・筋に最適化された複数の欠陥検出回路を具備した検査装置M9000を開発した。本検査装置によれば,最適な条件のもとで地合とのS/N比で0.25〜0.5程度の低コントラストの欠陥が検出可能となる。複数の検出回路をストリーク筋に割り当てることができるので,幅広い形状的特徴を持つ欠陥を検出することができる。
 これら複数の欠陥検出回路から出力される欠陥データを連結統合することができる。連結統合することにより,ストリーク筋欠陥の実体を表現するより正確な特徴量を抽出することが可能になる。この特徴量を用いて欠陥種類自動判別が実現される。
 検出精度が非常に高い検査では,画像入力,前処理および調整サポートツールに,特別な配慮が欠かせない。カメラごと,画素ごとの感度のばらつきを補正する機能,時間的な入力画像の明るさを一定に保つ機能など備えられている。また欠陥検出回路ごとにビジュアルに表現される,ピークトレンドグラフは検査装置が本来持つ性能を発揮するうえで非常に有用な機能である。
(本文64ページ)


最新のストリーク筋検出技術
株式会社ヒューテック 開発部 杉野 欣伸  

 今までもそうであったようにこれからも検査システムへの要求は多種多様であり,要求の数もますます増えていくと思われる。また,従来検査システムを必要としていなかった業界へも拡がりを見せており,気が付けば周辺のどの業界も最新の検査システムが林立しているという状態になりかねない。この状態は,日本の製造業が他と差別化をして生き残るためにさけては通れないものと判断する。この環境下,各業界においてお客様から検査システムに求められる要求内容としては,大きく下記の2点がクローズアップされている。一つは検査システムのデータの有効利用です。過去に遡ってみると,検査システムは検査機であり単なるセンサーに置き替わる物として,利用されていた。しかし,お客様の製品の品質が急速に高くなっていくという環境のなか,検出したデータをどのように利用すれば品質保証が十分になされ,かつ生産の効率が上がるか,さらには品質の向上に繋がるかが模索され始めている。ネットワークによるデータの加工・共用化がデータの有効利用の兆しである。また,もう一つクローズアップされているのは当然ながら検出性能であり,簡単にいえば従来の検査機で検出できなかったものも検出するということである。この検出性能が向上することは前述のデータの加工・共用化にも大きく影響がありバランスのとれた検査システムには不可欠である。今回はこの検出性能を向上させるための技術について述べる。
(本文70ページ)


三菱レイヨンの検査装置と欠陥検出技術
三菱レイヨン株式会社 情報材料事業部 原田 順一  

 最近は,生産工場の中国進出が当然のように進んできており,日本国内の生産工場は,より付加価値が高いものを生産していくことが余儀なくされている。現在,製紙業界においても,製品の品質向上の要求が高まっており,これに伴い,より高性能な検査装置が望まれている。弊社では,約20年前よりラインCCDカメラを用いた画像処理装置を社内工場で使用する検査装置として開発を始めた。そして社内の生産工場に導入を行い,操作性などを高めた検査システムを確立し,約10年前より販売を行っている。ここ数年は,主に光学フィルムや鉄・非鉄分野で多くの実績を伸ばしている。液晶に使用される光学フィルム業界との引き合いで,人間の目でようやく確認できるようなムラを検出する技術を確立してきた。また,金属業界との引き合いでは,細く薄いスジを検出する技術を蓄積してきた。これらの技術は製紙業界でも充分適用できると考えている。そこで,弊社の概要と,今回は特に,薄いストリークの検出技術をここに紹介する。
(本文76ページ)


圧力損失計算ソフト―2002
株式会社キッツ 営業技術部 齋藤 茂  

 2001年度ご案内した,配管の圧力損失計算ソフトを更に使い易くし,一新したソフトをあらためて紹介する。ここでは,従来のソフトと重複する箇所は省略し,新たになった箇所を中心に説明する。
 従来のソフトは,固定配管図の配管上に配管材(バルブ,エルボなど)を仮想設置してそこに流れる流体の圧力損失を求めたが,この方法だと実際の配管図とはイメージ的に大きな差があり,使い難い問題があった。
 この度のソフトはこの問題をクリアしてプログラミングした。配管の設置は配管材をメニューから選択し,配管仕様を指示するだけで,平面図及び側面図を自動的に描ける。計算する時は,その設置配管に流体の条件を設定するだけで,配管の圧力損失を計算して求めることができる。
 従って,配管図のパターンに制限はないので,ユーザーの指定数だけ配管パターンができることになる。また,配管図をプリントアウトできるようにしたので,配管の設置状態を確認できる。
(本文82ページ)


自動摩擦係数測定試験機(ISO15359対応)
有限会社佐川製作所 佐川 弘文  

 摩擦は紙及び板紙を取り扱う上で非常に重要な性質の一つで,身近ではコピー機の紙詰りや重走,オフセット印刷時の走行トラブルや紙の荷崩れなど摩擦が関与していることが多いという経緯から,1990年にマイコン制御の摩擦試験機(水平法,傾斜法)を開発した。生産の向上及び薬品の節約に貢献することができた。近年抄紙機械ならびに印刷機械の高速化は目覚しく,摩擦を把握することがさらに重要になっている。1999年にISO15359に極力人的誤差等のトラブルを防ぐ自動測定システムの試験法が提起された。この度,ISO15359規格に準拠した自動摩擦係数測定試験機を国産で初めて開発した。
(本文89ページ)


変貌する紙・フイルム外観検査―テクノス・ニューロ視覚センサ5000Kによる超高精度検査システムの構築―
株式会社テクノ・テクノス 山田 吉郎  

 紙業界は鉄鋼業界の冷間圧延と同様にワーク速度が極めて速いことが知られている。目視では見ることの出来ぬ速度でワークが流れるのでため比較的早くから自動検査化が進んできている。しかし従来のシステムは数十台のカメラをラインに設置せねばならずカメラ間の感度の差異や取り扱いなど多くの問題点を持っていた。
 テクノスは全く新しい原理で,たった1台のカメラで速度が毎分10,000m視野幅1,666mmの時に0.33mm角の欠陥を捉えるシステムを開発した。このシステムは既に日本を初め,アメリカ,ヨーロッパ(ドイツ,フランス,イギリス,スイス,オーストリア),韓国で国際特許化された技術で,『中小企業庁長官賞』,『新機械開発賞』をはじめ『優秀新技術新製品賞』を3度にわたって受賞したもので,日本のトップ企業38社のうち製造業には100%,製造業トップ50社の70%以上に納入実績をもち汎用性と世界一の高精度を誇るものである。
 このシステムは高速応答性に優れるばかりではなく,焦点深度が極めて深くラインのどこにでも,たった1台のカメラを簡単に設置でき,また欠陥の原因を追求する情報を容易にハンドリングできるアクティブ・ナビゲータ機能によって欠陥の原因そのものをなくすための情報を自動的に記録する機能を持っている。出来上がった製品の不良を発見するだけではなく,その原因をなくすことによって全ての原材料を無駄なく使い,エネルギの無駄遣いもなく,世界で初めての地球に優しい検査・情報提供システムである。原理は人間の目の機能を電子回路化することによって行われる。また同時に微細欠陥と全面に渡る色ムラまでを別々なレベルで確実に検出できるアーキテクチャは最近特許化された。
(本文91ページ)


HBSパルプ化(5)―HBSリグニンの化学構造と性質―
日本製紙ケミカルス株式会社 開発研究所 長岡 秀明  
北海道大学大学院農学研究科 佐野 嘉拓  

 HBSパルプ化プロセスの研究の一環として,HBSパルプ副産物であるリグニン(HL)の化学構造と性質を検討した。
 1) カバおよびトドマツのHBSパルプ廃液から木材リグニンの90〜130%に相当するHLが単離された。
 2) HLを工―テル不溶部(HL―IS)と可溶部(HL―S)に分別すると,カバとトドマツのHL―1〜3―ISの収率は大きな相違がなく,各々,14〜15%および17〜21%(対チップ)であった。HL―2―Sと3―Sはそれぞれ,HL―1―Sの約2倍量の収率で得られた。
 3) BL―1〜3の炭素含量は約66%,TL―1〜3では67%であり,相応するMWLの炭素含量よりもそれぞれ6%高った。
 4) HLのOCH3基含量はHL―ISが何れも純度の高いリグニンであり,HL―Sは糖由来の非リグニンが多く含むと考えられる。
 5) フェノール性水酸基含量は共に,材リグニンより多く,平均分子量は小きいことから,HL―ISは解重合の進んだリグニンであった。
 6) ニトロペンゼン酸化分解物の収率は低く,パルプ化により変質が進んだリグニンであった。
 7) しかし,HLは多くの汎用溶媒に可溶であり,熱溶融性を有した。HLの熱溶融性はHL―Sが可塑剤として機能することに起因した。
 8) HLはクリーンで環境に温和な高熱量の循環型燃料であり,その熱溶融性から種々の固形複合燃材にも利用できる。また,低分子量,易溶性およびフェノール性の高含量からHLは種々の機能性樹階原料に利用できると結論された。
(本文97ページ)


磁性パルプ紙の製造(第1報)―In situ合成反応法によるマグネタイト内腔充填パルプの調製―
愛媛県製紙試験場 藤原 勝壽,森川 政昭  

 in situ化学反応法によりパルプ内腔にマグネタイト(Fe3O4)を充填した磁性パルプを試作した。第一鉄塩水溶液にパルプを分散させ,アルカリを添加し,所定の化学反応条件で空気酸化させることにより,パルプ内腔にマグネタイトを生成する合成条件を明らかにした。反応条件の主要な因子は,第一鉄塩に対するアルカリ添加量(pH),反応温度等であった。
 マグネタイト生成領域は,第一鉄塩に対してアルカリ添加量が当量付近では反応温度が50〜90℃で磁性酸化鉄のマグネタイトが生成し,反応温度が90℃の場合はアルカリ添加量が0.6〜4.0当量の範囲で磁性酸化鉄のマグネタイトが生成することを明らかにした。
 パルプ内腔に生成した磁性粉体は走査型電子顕微鏡により観察された。内腔に生成した磁性粉体はX線回折分析法により,立方晶系のスピネル型結晶構造の〔311〕〔440〕〔220〕面の回折ピークがそれぞれ2θで35.4,62.6,30.1度に認められることからマグネタイトであることが確認された。このマグネタイトの粒度分布は0.2〜0.4μmであり,平均0.32μmであった。
 パルプ内腔のマグネタイト含有量は,乾燥磁性パルプをベースとして23〜33wt%であった。この磁性パルプの磁気特性は,マグネタイト含有量が30.4wt%の場合,飽和磁化16.3emu/g of magnetite―loaded pulp,残留磁化3.6emu/g of magnetite―loaded pulp,保磁力240Oeであった。
(本文106ページ)