2002年1月 紙パ技協誌

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紙 パ 技 協 誌 2002年1月 

第56巻 第1号(通巻第610号) 和文概要


画像処理による印刷・印字の評価技術と専用装置APQS
王子計測機器株式会社 画像処理グループ 加藤 弥,大原 啓嗣,丸喜 勝,酒井 清和,宮本 誠一

 1980年代の初めに印刷物の客観的な評価が盛んに研究され,旧神崎製紙株式会社(現王子製紙株式会社)は印刷物の数値評価に取組み,グラビア印刷のミスドット検査装置を開発した。その後,オフセット印刷,紙の地合,紙塵,パルプの脱墨等の検査装置を開発すると共にこれらの技術を集積して,印刷・印字評価専用機「APQS(Automated Print Quality Evaluation System)」の製品化に至っている。本装置には,従来の網点解析に加えて印刷状態の粒状性やプリンターの送り機構により発生するムラ等のマクロな解析評価のアルゴリズムが加わっている。また,A3程度の紙面を全面自動で検査するニーズが強いため,除振台の上に高精度な自動X―Yステージを載せ,数ミクロンの精度で検査することができるようになっている。本装置は主に印刷及びプリンター業界で活用されている。
本報では,APQSの開発に至るまでの経緯,APQSの概要・アルゴリズムについて紹介する。
(本文37ページ)


製紙ワインダのコア自動供給及び付属装置の開発経緯と製品化について
メイサン商事株式会社 営業技術部 井上 松男  

 ワインダマシンの付帯作業は人手に依存する比率が高く,巻取り毎に手作業で実施するコア供給・巻上げ巻端テープ貼り等の作業は,一卸のデューティタイム以内で作業を完了する事を要求されるため,人員の削減が難しく,作業者の負担も大きい。特にコア供給作業は従来,ワインダ担当者が取合寸法通りのコアを運搬・仕分け・整列・コアポケットへ挿入していた一連の作業を,所定のコアが収納されたコンテナ台車を必要台数用意しておけば,スリッタまたは生産管理の取り合い管理パターン情報に基づいた一卸分のコア自動選択・取出し・搬送・仕分け・挿入の各工程が全自動化される。また,スペーサの自動着脱装置が付加されると,ワインダ担当者の介在時間及びヒューマンエラーによるチョコ停が激減し,省人化,省力化による生産効率の向上が図られる。
(本文45ページ)


地震に対する紙パ工場の危機管理―鳥取県西部地震の経験―
王子製紙株式会社 米子工場 山北 篤史

 2001年10月,鳥取県西部に発生した地震により王子製紙米子工場は全停止となり,工場設備にも大きな被害が出た。仕上・選別室の天井パネルの落下,機械基礎の沈下,配管の破損や機器の芯狂い,液状化現象による倉庫やヤードの波うち,陥没などが発生した。幸いにも,人的被害や環境問題を発生させることはなく,比較的短時間のうちに繰業を再開することができた。
 地震直後からの対策本部やそれぞれの持ち場ごとの対応はかなり組織的に整然と行えたものと評価しているが,今回の地震が昼間の地震であったこと,中国電力の送電が継続されたこと,危険物,有害物の設備に被害が及ばなかったこと等,いくつかの幸運が重なったことも二次的災害を出さずに済んだことにつながっている。
 もっと条件の悪い場合を想定してみると,工場の危機管理体制に幾つかの不備があることが分かった。特に,保安用電力の確保,通信手段の確保,マニュアルの整備等,改善すべき点が多々見つかった。
 紙パ工場は多くの危険物,有害物を扱っており,対応に不備があると大きな二次的災害につながる可能性がある。今回の地震の教訓から,更にレベルの高い危機管理体制を構築する必要があることを痛感した。
(本文57ページ)


富士工場N―2マシンの概要
王子エンジニアリング株式会社 設計本部設計部 西 連

 王子製紙は富士工場に新設した世界最高速度の白板紙抄紙機を2001年10月立ち上げる予定である。新抄紙機はワイヤー幅4.7m,抄速800m/分,坪量150〜450g/m2の白板紙を抄造する。
 王子製紙グループは現在12台の白板紙抄紙機を保有している。これらの抄紙機は全て1973年以前に設置されており,生産性の面で競争力を失ってきており,その対策は急務であった。
 今回の新設は,王子製紙の板紙生産体制再構築の一環として,「増産無き新マシン設置」というコンセプトのもと,最新鋭の大型高速抄紙機を新設する一方,富士工場と関係会社の新富士製紙の一部抄紙機を廃棄することにした。
(本文61ページ)


オゾンECF漂白の操業経験
日本製紙株式会社 勇払工場 伊藤 等,橋場 峰夫  

 日本製紙勇払工場は,クラフトパルプの環境対策として,国内で初めてパルプ漂白に中濃度オゾン漂白設備を導入し,2001年1月から操業開始した。漂白シーケンスは,従来のC/D―E/OP―DからZD―E/OP―Dに変更して,塩素ガスの使用を完全に排除した。導入したオゾン発生装置は,1基での能力が120kg/h,濃度12wt%と世界最大規模である。このオゾンECFパルプを用いた紙製品の品質は問題なくユーザーで使用されている。勇払工場では自家発電比率が高く,電力コストが有利なため,オゾン漂白コストは二酸化塩素方式のECFに比べて有利である。オゾン漂白は,排水等に含まれるAOXやクロロホルムなどの発生量を大幅に削減できることからNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究にもなっており,現在期待通りにその成果を収めている。本報では,オゾン漂白設備の概要と操業経験,環境負荷の低減効果を中心に報告する。
(本文64ページ)


ECF漂白工程の操業経験
三菱製紙株式会社 八戸工場技術環境部 永尾 伸尚

 三菱製紙八戸工場のLBKP製造系列のうち,3BKP系列について既存設備を利用し,連続蒸解釜・洗浄及び酸素漂白工程等を全く改造することなく,漂白設備の最小限の改造によって,2000年10月にECFに移行した。漂白シーケンスには,現行の漂白塔をそのまま使用できるD0(E/O)PD1シーケンスを採用した。その結果,環境負荷量は計画通りAOX,クロロホルム排出量の大幅な低減を達成した。品質はパルプ,紙の諸物性及び紙の印刷適性には特に問題なかった。
 操業面では,ECF漂白は従来の塩素漂白と比較して酸素漂白後の白色度の影響をより顕著に受けやすく,また,酸素漂白後の同一カッパー価における白色度のばらつきが大きいことがわかった。このばらつきの要因の究明とそれに対する対策を行い,酸素漂白後の白色度を向上させることがECFの最適化にとって重要であると捉えている。また,カッパー価として検出されるヘキセンウロン酸についても生成の抑制及び分解除去等に関する解明が今後の課題となるであろう。
 スケール防止については,より効果を発揮するコントロール剤の選定と効率の良い使用方法の確立も必要となるが,白水循環やpH条件など漂白条件の見直しによる根本的な対策も検討していきたい。
 本報は,ECF導入後の約1年間にわたる操業経験及びヘキセンウロン酸に代表されるような今後の課題について述べたものである。
(本文72ページ)


2段酸素脱リグニン設備(DUALOXシステム)の操業経験
大昭和製紙株式会社 本社工場 鈴川事業所製造部 青木 功  

 大昭和製紙 本社工場 鈴川事業所は,3系列のKP設備と1系列のBKP設備を有し,年間500,000tの生産能力を持つ。鈴川第2連続蒸解釜を含むLUKP系(900ADt/d)は,相次ぐ増産による設備能力不足およびECF化への対策として,2段酸素脱リグニン設備(Dualoxシステム)を導入した。主要工事としては,1次MCミキサー,チューブ(1段目リアクター),2次MCポンプの導入である。
 Dualoxシステムは2次MCポンプの設置により,2段目リアクターの塔頂圧をあげる事が可能であると共に,チューブが大口径配管と同様な構造であるため設置面積が小さく,設備的にもシンプルである。操業は,スプリット・インバータ制御,デガスライン(チューブ頂部)を設置したことにより,操業者の負荷も軽く順調に推移している。平成12年11月の稼動以来,様々な操業条件変更等のトライアルを経て,現在ではUKP品質の向上,漂白薬品および排水負荷の低減,工程の安定化が達成でき,十分な効果が得られている。
 本報では,稼動から約1年が経過したDualoxシステムの設備概要,操業状況,導入前後の品質変化について紹介する。
(本文78ページ)


TWIN―HSMコーターの操業経験
日本加工製紙株式会社 茨城工場高萩 大橋 靖美  

 日本加工製紙活城工場高萩の2M/C・3M/Cは,合計約450トンのコート原紙を生産している。稼動開始は古いが,これ迄に種々の改造を重ね現在に至っている。
 2M/C,3M/C共,オントップ多筒式の抄紙機で幅広い製品に対応した原紙を抄造している。1998年に,国内初のBTG社(スウェーデン)製TWIN―HSMコーターを採用し,同機抄造の原紙によって,平滑度・インキ光沢の優れた塗工紙の生産を可能とした。
 TWIN―HSMコーターは,ゴム被覆のロール2本と,ワイヤーを巻いたロール2本とで構成され,クリア塗工・ピグメント塗工の両方が幅広い速度・米坪において可能である。
 本報では,TWIN―HSMコーターの概要と,2M/C・3M/Cでの操業経験について紹介する。
(本文86ページ)


バッキングロール自動サンディング装置の開発
日本製紙株式会社 岩国工場抄造部 國則 英史  

 コータではバッキングロールに付着する汚れが堆積し,塗工ムラ・メカ不良など製品品質に影響を与える。汚れを除去するためにはサンドペーパーで低速回転しているバッキングロールの表面を研磨せねばならないが,停機しなければならず,重労働である上に人数と時間がかかる作業であり,多大な生産ロスを生じていた。
 このようなバッキングロールの汚れを除去する装置としてバッキングロール自動サンディング装置を開発した。開発された装置は後付でコータに設置可能であり,油圧モータで回転する砥石を一定圧でバッキングロールに加圧する。サーボモータにより全幅を一定速度で研磨する機能がある。手作業でのサンディングと同じ水準の研磨が可能であり,メンテナンスも容易な構造となっている。潤滑水を使うためフロークリンドクターが装備されているコータならば,機械の設定と適切な砥石を選択すれば操業中でも自動サンディングが可能である。
 塗工中に自動サンディングを行っても製品には全く影響がなく,定期的に行うことによりロールの汚れによるトラブルを大幅に減少することができる。また,重労働であったサンディングが短時間・少人数で終わるため,大きな省力化効果とロスタイム削減が実現できた。このバッキングロール自動サンディング装置の開発における検討内容と完成後の検討と効果を報告する。
(本文91ページ)


N2M/C無人化への取り組み―リール〜ワインダー間の親巻・スプールの自動搬送―
日本製紙株式会社 八代工場施設部 中塚 利幸  

 平成10年2月より営業運転を開始したN2M/Cは,多くの自動化設備を導入しているが,その中の一つに親巻自動搬送設備がある。同設備は,リール〜ワインダー間の親巻と返還スプールの搬送を自動化したもので,親巻は下段レール上をリールからワインダーに,スプールは上段レール上をワインダーからリールに搬送される。
 また,平成12年に設置されたNo.2ワインダーとの間は,親巻搬送台車方式を導入した。同台車は,親巻を下段に,スプールを上段に積載して搬送する2段構造の台車である。
 さらに付帯設備として,ワインダー巻上げ後のスプールに残った紙を自動的にパルパに仕込む残紙処理装置,ワインダー自動枠替え装置用のテープ貼り仕立機,自動枠替装置を具備しており,これらによりリール〜ワインダー間の親巻とスプールの搬送無人化を実現することができた。本稿では,親巻自動搬送設備の設備概要と現在までの操業状況を紹介する。
(本文96ページ)


カッター連続断裁システムの操業経験
北越紙精選株式会社 業務部 津野 誠一  

 当社は,国内で唯一ヤーゲンベルク社製のスピードパイラーと呼ばれる,連続断裁システムを装備したカッターを3台有している。このシステムはシングルレーボーイで,減速することなく,また数カットのリジェクトをすることもなくパイルチェンジが可能である。
 チェンジテーブルを積層されたシート間に挿入保持して,その間にパイルの排出と,新パレットの供給を行う。一般にこのタイプのパイルチェンジ方式で懸念される,紙の傷や折れおよびシートズレ等のトラブルなく操業を行っている。減速しないでパイルチェンジできることにより,断裁効率のみならず寸法精度の向上も図れる。
 「小さなスペースに高効率のカッターを導入したい」とのニーズに答えるカッターの一つと言える。
(本文101ページ)


深絞り成型用原紙『ファインプレス』の開発
王子製紙株式会社 機能材開発研究所 浅山 良行,見門 秀幸,田平 久美  

 従来の紙では出来なかったトレー,カップ成型が,プラスチックのように「深く・強く・滑らかに」絞り加工することができる加工用原紙「ファインプレス」を開発した。
 プラスチックに比べ紙には,延展性がないため,紙を三次元の容器として使用する際には複数の紙の貼り合わせや各種工程を要するなど問題があった。このような現状を踏まえ,紙絞り成型において紙の破断伸び率を高くし,かつ圧縮性を高めると成型性が向上することを見出し,各種のパルプ配合と抄紙技術の最適化によって,容器深さを従来の約2倍,剛性は容器の側面耐過重値を2〜3倍まで向上させ,コーナー部の凹凸は従来品の1/5〜1/2程度まで低減させることに成功した。
 この原紙によって,深くて強く,かつ滑らかな成型が可能となり,紙皿用途だけでなくドンブリ容器やプラスチックでしかできなかった深い容器の製造が期待できる。
(本文105ページ)


トナーマーキング用微細多孔性コート紙の開発
王子製紙株式会社 情報用紙開発研究所 前田 秀一,中居 達,大庭 康裕,清水 政明,中村 陽,加藤 勝  富士ゼロックス株式会社 サプライビジネスカンパニー 細井 清,中西 亮介,古賀 千鶴

 現在,トナーマーキング印刷において高品位画質の要求が高まってきた。このため,高度な印刷システムや用途に合った用紙の開発は重要である。著者らはこの要求に答えるため,多孔性塗膜を持つ用紙を開発した。
 機械的撹拌法によって水系樹脂中に微細泡を安定して含有させた発泡塗料をシート上に塗工・乾燥し,多孔性塗膜を得た。この塗膜は,トナーの吸収性に関与する表層構造や光学特性によって特徴づけられる。著者らは,塗料中の泡の微細化・安定化に関わる因子について鋭意研究をおこない,塗料処方・発泡方法の最適な条件を見出した。
 電子写真用途の多孔性塗膜を得るためには,塗料中の微細泡のサイズおよびシート上の表面孔をトナー粒子(粒径7〜9μm)と同等なサイズとし,トナー粒子を多孔性塗膜表面に吸収して用紙表面での溶融トナーの広がりを抑制する。白紙部はマット調であり,印刷部との光沢差は普通紙や顔料塗工紙に比べて低くすることができ,かつ,印画部のモトルやラインの凹凸およびボヤケの少ない高印刷品位な画質を得ることができた。
(本文112ページ)


屋内チップヤードの操業経験
紀州製紙株式会社 紀州工場製造部 神部 忠佳  

 平成10年に紀州工場のチップ貯蔵量の増加を目的とした屋内チップヤードの設置と,老朽化したチップスクリーン設備の更新を行った。屋内チップヤードとは貯蔵量が約33,700m3の鉄骨構造型サイロで,従来のサイロとは比較にならないほどの大容量の貯蔵が可能である。払出装置にはチップの先入れ先出しが可能で,スクリューフィーダーに比べて払出面長が長くできる,低動力のチューブフィーダーを採用した。また,チップスクリーン設備は厚み選別装置とオーバーサイズのチップをクラッキング処理するコンディショナーを採用した。本報ではこれまでの操業上の問題点と設備導入によるメリットについて紹介する。
(本文116ページ)


排水処理設備“サターン”の操業経験
中越パルプ工業株式会社 二塚工場施設部 林 章造  

 中越パルプ工業鞄塚工場の主要生産設備は,ワイヤー巾3,800mm,7,300mmの2台のマシンで190,000t/年を生産。パルプ設備は,TMP250T/D,DIP360T/D,KPは能町工場からスラッシュあるいはカミールで運んでいる。一部輸入機械パルプも品種によっては配合している。動力設備は2式の発電ボイラー,蒸気タービンを有し,工場電力の85%を賄っている。環境保全設備は,後述の如く生産設備の変遷に従って増強を続け,二塚工場の活性汚泥設備も国内の環境問題が大きくなった昭和48年に旧CGPの高濃度BOD廃液処理用として,75kW表面曝気機3台で,BOD処理量6,400kg/Dのものが設置された。その後CGPに変わるTMPが設置され更にDIPが設置,増産されてゆくと共に,活性汚泥装置の操業が不安定となった。その対策として平成7年末,DIP排水処理用加圧浮上装置ポセイドンが設置処理水のSS削減に効果を発揮した。
 しかしながら,DIPの高品質化のために,添加される薬品の増加や排水量の増加等が活性汚泥装置の安定運転に悪影響を及ぼし,曝気槽内で泡の異常発生等,操業不安定の状態となり,調査を進め,曝気槽への供給空気量増と沈殿槽に変わる設備として加圧浮上槽が計画され相川鉄工のサターン及び三菱化工機のサンジェッターが導入された。ここでは特にそのサターンの運転状況について報告する。
(本文121ページ)紙 パ 技 協 誌 2002年1月 

第56巻 第1号(通巻第610号) 和文概要


画像処理による印刷・印字の評価技術と専用装置APQS
王子計測機器株式会社 画像処理グループ 加藤 弥,大原 啓嗣,丸喜 勝,酒井 清和,宮本 誠一

 1980年代の初めに印刷物の客観的な評価が盛んに研究され,旧神崎製紙株式会社(現王子製紙株式会社)は印刷物の数値評価に取組み,グラビア印刷のミスドット検査装置を開発した。その後,オフセット印刷,紙の地合,紙塵,パルプの脱墨等の検査装置を開発すると共にこれらの技術を集積して,印刷・印字評価専用機「APQS(Automated Print Quality Evaluation System)」の製品化に至っている。本装置には,従来の網点解析に加えて印刷状態の粒状性やプリンターの送り機構により発生するムラ等のマクロな解析評価のアルゴリズムが加わっている。また,A3程度の紙面を全面自動で検査するニーズが強いため,除振台の上に高精度な自動X―Yステージを載せ,数ミクロンの精度で検査することができるようになっている。本装置は主に印刷及びプリンター業界で活用されている。
本報では,APQSの開発に至るまでの経緯,APQSの概要・アルゴリズムについて紹介する。
(本文37ページ)


製紙ワインダのコア自動供給及び付属装置の開発経緯と製品化について
メイサン商事株式会社 営業技術部 井上 松男  

 ワインダマシンの付帯作業は人手に依存する比率が高く,巻取り毎に手作業で実施するコア供給・巻上げ巻端テープ貼り等の作業は,一卸のデューティタイム以内で作業を完了する事を要求されるため,人員の削減が難しく,作業者の負担も大きい。特にコア供給作業は従来,ワインダ担当者が取合寸法通りのコアを運搬・仕分け・整列・コアポケットへ挿入していた一連の作業を,所定のコアが収納されたコンテナ台車を必要台数用意しておけば,スリッタまたは生産管理の取り合い管理パターン情報に基づいた一卸分のコア自動選択・取出し・搬送・仕分け・挿入の各工程が全自動化される。また,スペーサの自動着脱装置が付加されると,ワインダ担当者の介在時間及びヒューマンエラーによるチョコ停が激減し,省人化,省力化による生産効率の向上が図られる。
(本文45ページ)


地震に対する紙パ工場の危機管理―鳥取県西部地震の経験―
王子製紙株式会社 米子工場 山北 篤史

 2001年10月,鳥取県西部に発生した地震により王子製紙米子工場は全停止となり,工場設備にも大きな被害が出た。仕上・選別室の天井パネルの落下,機械基礎の沈下,配管の破損や機器の芯狂い,液状化現象による倉庫やヤードの波うち,陥没などが発生した。幸いにも,人的被害や環境問題を発生させることはなく,比較的短時間のうちに繰業を再開することができた。
 地震直後からの対策本部やそれぞれの持ち場ごとの対応はかなり組織的に整然と行えたものと評価しているが,今回の地震が昼間の地震であったこと,中国電力の送電が継続されたこと,危険物,有害物の設備に被害が及ばなかったこと等,いくつかの幸運が重なったことも二次的災害を出さずに済んだことにつながっている。
 もっと条件の悪い場合を想定してみると,工場の危機管理体制に幾つかの不備があることが分かった。特に,保安用電力の確保,通信手段の確保,マニュアルの整備等,改善すべき点が多々見つかった。
 紙パ工場は多くの危険物,有害物を扱っており,対応に不備があると大きな二次的災害につながる可能性がある。今回の地震の教訓から,更にレベルの高い危機管理体制を構築する必要があることを痛感した。
(本文57ページ)


富士工場N―2マシンの概要
王子エンジニアリング株式会社 設計本部設計部 西 連

 王子製紙は富士工場に新設した世界最高速度の白板紙抄紙機を2001年10月立ち上げる予定である。新抄紙機はワイヤー幅4.7m,抄速800m/分,坪量150〜450g/m2の白板紙を抄造する。
 王子製紙グループは現在12台の白板紙抄紙機を保有している。これらの抄紙機は全て1973年以前に設置されており,生産性の面で競争力を失ってきており,その対策は急務であった。
 今回の新設は,王子製紙の板紙生産体制再構築の一環として,「増産無き新マシン設置」というコンセプトのもと,最新鋭の大型高速抄紙機を新設する一方,富士工場と関係会社の新富士製紙の一部抄紙機を廃棄することにした。
(本文61ページ)


オゾンECF漂白の操業経験
日本製紙株式会社 勇払工場 伊藤 等,橋場 峰夫  

 日本製紙勇払工場は,クラフトパルプの環境対策として,国内で初めてパルプ漂白に中濃度オゾン漂白設備を導入し,2001年1月から操業開始した。漂白シーケンスは,従来のC/D―E/OP―DからZD―E/OP―Dに変更して,塩素ガスの使用を完全に排除した。導入したオゾン発生装置は,1基での能力が120kg/h,濃度12wt%と世界最大規模である。このオゾンECFパルプを用いた紙製品の品質は問題なくユーザーで使用されている。勇払工場では自家発電比率が高く,電力コストが有利なため,オゾン漂白コストは二酸化塩素方式のECFに比べて有利である。オゾン漂白は,排水等に含まれるAOXやクロロホルムなどの発生量を大幅に削減できることからNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究にもなっており,現在期待通りにその成果を収めている。本報では,オゾン漂白設備の概要と操業経験,環境負荷の低減効果を中心に報告する。
(本文64ページ)


ECF漂白工程の操業経験
三菱製紙株式会社 八戸工場技術環境部 永尾 伸尚

 三菱製紙八戸工場のLBKP製造系列のうち,3BKP系列について既存設備を利用し,連続蒸解釜・洗浄及び酸素漂白工程等を全く改造することなく,漂白設備の最小限の改造によって,2000年10月にECFに移行した。漂白シーケンスには,現行の漂白塔をそのまま使用できるD0(E/O)PD1シーケンスを採用した。その結果,環境負荷量は計画通りAOX,クロロホルム排出量の大幅な低減を達成した。品質はパルプ,紙の諸物性及び紙の印刷適性には特に問題なかった。
 操業面では,ECF漂白は従来の塩素漂白と比較して酸素漂白後の白色度の影響をより顕著に受けやすく,また,酸素漂白後の同一カッパー価における白色度のばらつきが大きいことがわかった。このばらつきの要因の究明とそれに対する対策を行い,酸素漂白後の白色度を向上させることがECFの最適化にとって重要であると捉えている。また,カッパー価として検出されるヘキセンウロン酸についても生成の抑制及び分解除去等に関する解明が今後の課題となるであろう。
 スケール防止については,より効果を発揮するコントロール剤の選定と効率の良い使用方法の確立も必要となるが,白水循環やpH条件など漂白条件の見直しによる根本的な対策も検討していきたい。
 本報は,ECF導入後の約1年間にわたる操業経験及びヘキセンウロン酸に代表されるような今後の課題について述べたものである。
(本文72ページ)


2段酸素脱リグニン設備(DUALOXシステム)の操業経験
大昭和製紙株式会社 本社工場 鈴川事業所製造部 青木 功  

 大昭和製紙 本社工場 鈴川事業所は,3系列のKP設備と1系列のBKP設備を有し,年間500,000tの生産能力を持つ。鈴川第2連続蒸解釜を含むLUKP系(900ADt/d)は,相次ぐ増産による設備能力不足およびECF化への対策として,2段酸素脱リグニン設備(Dualoxシステム)を導入した。主要工事としては,1次MCミキサー,チューブ(1段目リアクター),2次MCポンプの導入である。
 Dualoxシステムは2次MCポンプの設置により,2段目リアクターの塔頂圧をあげる事が可能であると共に,チューブが大口径配管と同様な構造であるため設置面積が小さく,設備的にもシンプルである。操業は,スプリット・インバータ制御,デガスライン(チューブ頂部)を設置したことにより,操業者の負荷も軽く順調に推移している。平成12年11月の稼動以来,様々な操業条件変更等のトライアルを経て,現在ではUKP品質の向上,漂白薬品および排水負荷の低減,工程の安定化が達成でき,十分な効果が得られている。
 本報では,稼動から約1年が経過したDualoxシステムの設備概要,操業状況,導入前後の品質変化について紹介する。
(本文78ページ)


TWIN―HSMコーターの操業経験
日本加工製紙株式会社 茨城工場高萩 大橋 靖美  

 日本加工製紙活城工場高萩の2M/C・3M/Cは,合計約450トンのコート原紙を生産している。稼動開始は古いが,これ迄に種々の改造を重ね現在に至っている。
 2M/C,3M/C共,オントップ多筒式の抄紙機で幅広い製品に対応した原紙を抄造している。1998年に,国内初のBTG社(スウェーデン)製TWIN―HSMコーターを採用し,同機抄造の原紙によって,平滑度・インキ光沢の優れた塗工紙の生産を可能とした。
 TWIN―HSMコーターは,ゴム被覆のロール2本と,ワイヤーを巻いたロール2本とで構成され,クリア塗工・ピグメント塗工の両方が幅広い速度・米坪において可能である。
 本報では,TWIN―HSMコーターの概要と,2M/C・3M/Cでの操業経験について紹介する。
(本文86ページ)


バッキングロール自動サンディング装置の開発
日本製紙株式会社 岩国工場抄造部 國則 英史  

 コータではバッキングロールに付着する汚れが堆積し,塗工ムラ・メカ不良など製品品質に影響を与える。汚れを除去するためにはサンドペーパーで低速回転しているバッキングロールの表面を研磨せねばならないが,停機しなければならず,重労働である上に人数と時間がかかる作業であり,多大な生産ロスを生じていた。
 このようなバッキングロールの汚れを除去する装置としてバッキングロール自動サンディング装置を開発した。開発された装置は後付でコータに設置可能であり,油圧モータで回転する砥石を一定圧でバッキングロールに加圧する。サーボモータにより全幅を一定速度で研磨する機能がある。手作業でのサンディングと同じ水準の研磨が可能であり,メンテナンスも容易な構造となっている。潤滑水を使うためフロークリンドクターが装備されているコータならば,機械の設定と適切な砥石を選択すれば操業中でも自動サンディングが可能である。
 塗工中に自動サンディングを行っても製品には全く影響がなく,定期的に行うことによりロールの汚れによるトラブルを大幅に減少することができる。また,重労働であったサンディングが短時間・少人数で終わるため,大きな省力化効果とロスタイム削減が実現できた。このバッキングロール自動サンディング装置の開発における検討内容と完成後の検討と効果を報告する。
(本文91ページ)


N2M/C無人化への取り組み―リール〜ワインダー間の親巻・スプールの自動搬送―
日本製紙株式会社 八代工場施設部 中塚 利幸  

 平成10年2月より営業運転を開始したN2M/Cは,多くの自動化設備を導入しているが,その中の一つに親巻自動搬送設備がある。同設備は,リール〜ワインダー間の親巻と返還スプールの搬送を自動化したもので,親巻は下段レール上をリールからワインダーに,スプールは上段レール上をワインダーからリールに搬送される。
 また,平成12年に設置されたNo.2ワインダーとの間は,親巻搬送台車方式を導入した。同台車は,親巻を下段に,スプールを上段に積載して搬送する2段構造の台車である。
 さらに付帯設備として,ワインダー巻上げ後のスプールに残った紙を自動的にパルパに仕込む残紙処理装置,ワインダー自動枠替え装置用のテープ貼り仕立機,自動枠替装置を具備しており,これらによりリール〜ワインダー間の親巻とスプールの搬送無人化を実現することができた。本稿では,親巻自動搬送設備の設備概要と現在までの操業状況を紹介する。
(本文96ページ)


カッター連続断裁システムの操業経験
北越紙精選株式会社 業務部 津野 誠一  

 当社は,国内で唯一ヤーゲンベルク社製のスピードパイラーと呼ばれる,連続断裁システムを装備したカッターを3台有している。このシステムはシングルレーボーイで,減速することなく,また数カットのリジェクトをすることもなくパイルチェンジが可能である。
 チェンジテーブルを積層されたシート間に挿入保持して,その間にパイルの排出と,新パレットの供給を行う。一般にこのタイプのパイルチェンジ方式で懸念される,紙の傷や折れおよびシートズレ等のトラブルなく操業を行っている。減速しないでパイルチェンジできることにより,断裁効率のみならず寸法精度の向上も図れる。
 「小さなスペースに高効率のカッターを導入したい」とのニーズに答えるカッターの一つと言える。
(本文101ページ)


深絞り成型用原紙『ファインプレス』の開発
王子製紙株式会社 機能材開発研究所 浅山 良行,見門 秀幸,田平 久美  

 従来の紙では出来なかったトレー,カップ成型が,プラスチックのように「深く・強く・滑らかに」絞り加工することができる加工用原紙「ファインプレス」を開発した。
 プラスチックに比べ紙には,延展性がないため,紙を三次元の容器として使用する際には複数の紙の貼り合わせや各種工程を要するなど問題があった。このような現状を踏まえ,紙絞り成型において紙の破断伸び率を高くし,かつ圧縮性を高めると成型性が向上することを見出し,各種のパルプ配合と抄紙技術の最適化によって,容器深さを従来の約2倍,剛性は容器の側面耐過重値を2〜3倍まで向上させ,コーナー部の凹凸は従来品の1/5〜1/2程度まで低減させることに成功した。
 この原紙によって,深くて強く,かつ滑らかな成型が可能となり,紙皿用途だけでなくドンブリ容器やプラスチックでしかできなかった深い容器の製造が期待できる。
(本文105ページ)


トナーマーキング用微細多孔性コート紙の開発
王子製紙株式会社 情報用紙開発研究所 前田 秀一,中居 達,大庭 康裕,清水 政明,中村 陽,加藤 勝  富士ゼロックス株式会社 サプライビジネスカンパニー 細井 清,中西 亮介,古賀 千鶴

 現在,トナーマーキング印刷において高品位画質の要求が高まってきた。このため,高度な印刷システムや用途に合った用紙の開発は重要である。著者らはこの要求に答えるため,多孔性塗膜を持つ用紙を開発した。
 機械的撹拌法によって水系樹脂中に微細泡を安定して含有させた発泡塗料をシート上に塗工・乾燥し,多孔性塗膜を得た。この塗膜は,トナーの吸収性に関与する表層構造や光学特性によって特徴づけられる。著者らは,塗料中の泡の微細化・安定化に関わる因子について鋭意研究をおこない,塗料処方・発泡方法の最適な条件を見出した。
 電子写真用途の多孔性塗膜を得るためには,塗料中の微細泡のサイズおよびシート上の表面孔をトナー粒子(粒径7〜9μm)と同等なサイズとし,トナー粒子を多孔性塗膜表面に吸収して用紙表面での溶融トナーの広がりを抑制する。白紙部はマット調であり,印刷部との光沢差は普通紙や顔料塗工紙に比べて低くすることができ,かつ,印画部のモトルやラインの凹凸およびボヤケの少ない高印刷品位な画質を得ることができた。
(本文112ページ)


屋内チップヤードの操業経験
紀州製紙株式会社 紀州工場製造部 神部 忠佳  

 平成10年に紀州工場のチップ貯蔵量の増加を目的とした屋内チップヤードの設置と,老朽化したチップスクリーン設備の更新を行った。屋内チップヤードとは貯蔵量が約33,700m3の鉄骨構造型サイロで,従来のサイロとは比較にならないほどの大容量の貯蔵が可能である。払出装置にはチップの先入れ先出しが可能で,スクリューフィーダーに比べて払出面長が長くできる,低動力のチューブフィーダーを採用した。また,チップスクリーン設備は厚み選別装置とオーバーサイズのチップをクラッキング処理するコンディショナーを採用した。本報ではこれまでの操業上の問題点と設備導入によるメリットについて紹介する。
(本文116ページ)


排水処理設備“サターン”の操業経験
中越パルプ工業株式会社 二塚工場施設部 林 章造  

 中越パルプ工業鞄塚工場の主要生産設備は,ワイヤー巾3,800mm,7,300mmの2台のマシンで190,000t/年を生産。パルプ設備は,TMP250T/D,DIP360T/D,KPは能町工場からスラッシュあるいはカミールで運んでいる。一部輸入機械パルプも品種によっては配合している。動力設備は2式の発電ボイラー,蒸気タービンを有し,工場電力の85%を賄っている。環境保全設備は,後述の如く生産設備の変遷に従って増強を続け,二塚工場の活性汚泥設備も国内の環境問題が大きくなった昭和48年に旧CGPの高濃度BOD廃液処理用として,75kW表面曝気機3台で,BOD処理量6,400kg/Dのものが設置された。その後CGPに変わるTMPが設置され更にDIPが設置,増産されてゆくと共に,活性汚泥装置の操業が不安定となった。その対策として平成7年末,DIP排水処理用加圧浮上装置ポセイドンが設置処理水のSS削減に効果を発揮した。
 しかしながら,DIPの高品質化のために,添加される薬品の増加や排水量の増加等が活性汚泥装置の安定運転に悪影響を及ぼし,曝気槽内で泡の異常発生等,操業不安定の状態となり,調査を進め,曝気槽への供給空気量増と沈殿槽に変わる設備として加圧浮上槽が計画され相川鉄工のサターン及び三菱化工機のサンジェッターが導入された。ここでは特にそのサターンの運転状況について報告する。
(本文121ページ)