2000年1月 紙パ技協誌

 

紙 パ 技 協 誌 2000年1月

第54巻 第1号(通巻第586号) 和文概要


新しい揉み動作による効果的な古紙処理法 ―「タイゼン式濃縮洗浄機及び白水繊維回収機」とその関連技術―
株式会社 大善 松倉 英明

 平成11年度「佐々木賞」受賞の「タイゼン式濃縮洗浄機および白水繊維回収機」と,そのタイゼン式古紙処理技術は,近年の紙製品の需要の多様化や様々な印刷技術の開発,これらの流通によって起こる古紙リサイクルの難処理化を解決する手段である。
 濃縮洗浄機は,1ステージ上において断続的かつ連続的に,脱水,希釈を交互に行う置換洗浄式ドラムウオッシャー機である。本機は金網内張りを施したパンチングメタルの内側に原料を投入し,まず脱水を行う機械であるが,原料の特性上金網脱水するとマット化しようとするパルプスラリーを置換洗浄水でこのマットを崩し,金網接触回数すなわち洗浄機会を増やす装置である。
 これにより,大きな白色度向上はもとより,灰分除去にも大きく貢献でき,近年の填料率の高い古紙をリサイクルする際に最適である。加えて,高歩留り,省動力化,使用水源単位のセーブも同時に実現している。
 また,本機はきわめてシンプルな構造であり,メンテナンス上非常に負担がないとともに,このシンプル機構を利用して,白水からの繊維回収機などとしても幅広くご利用頂いている。さらに,弊社製機器に「ニュータイゼン」という,3軸構成のいわゆるニーディング装置があるが,これを前処理とし,揉むことによる付着インクの分散,灰分の取り外しが洗浄の効果を倍増させることから,タイゼン式古紙処理システムも同時に推奨する。
(本文31ページ)


JW−II型ロール包装機 ―高処理能力,多種類対応化―
川之江造機株式会社 営業技術室 小笠原 武

 従来は1台のペーパーマシンに対し,1台のワインダと1台の包装機が準備された。近年コンピュータによる製造データのコントロール化が進み,最終製品としての巻き取りロールの生産に関する詳細なデータがオンラインによって迅速に処理される環境になった。従って,工場全体での包装作業に於ける省人,省スペース,省エネのために,複数のペーパーマシンにて生産される巻き取り製品ロールを1台の包装機で処理できるように,自動化は当然ながら,高処理能力で且つ多種類包装処理を可能にした。
 この包装機は,バーコードリーダ,プリンタ,包装機,マーキング,ラベリング装置などより成り立っている。各装置については長年の実績と経験により,長時間連続運転に耐える信頼のおける装置とインターロックの完備,タッチパネルによるグラフィカルな画面構成と容易な入力設定・変更,モニタ,異常表示により,熟練した操業者でなくても短期間に包装機を運転できる。本包装機を使用すれば巻き取りロール最終製品としての完全な包装及び内容表示が行われる。参考までに本機処理可能製品ロール寸法は最大直径φ1,300(φ1,500),最大幅2,200(2,500mm),最大重量3トンにて,最大処理能力は160本/時となっている。また,胴巻き内装紙と外装紙のセット数は各6組まで,内当て紙と外当て紙のセット数は各8組まで対応可能となっている。
(本文39ページ)


森のリサクイル,王子製紙の海外植林
王子製紙株式会社 海外植林部 神田 憲二

 日本の製紙産業においては,古紙ならびに輸入チップ材の利用が近年高くなっている。さらに環境問題への対応,将来の資源の持続的安定確保のため,日本の製紙会社による海外での植林事業が始まっており,製紙業界では2010年までに内外で55万haの植林を進めることを目標に掲げた。王子製紙でも「王子製紙環境憲章」に則り,2010年までに20万ha(東京都の面積の約9割に相当)の植林を海外で実施することを目標にしており,1998年度末で約7万haの植林を実施済である。
 本稿では,製紙産業の原料確保の歴史を紹介し,その中で海外植林の状況,課題について説明する。王子製紙の海外植林の場合,地元と密着した事業運営並びに紙のユーザーを始めとした異業種による植林事業への参加が,大きな特徴である。さらに,1997年の地球温暖化防止京都会議(COP3)において,気候変動枠組条約上一定の条件を満たした植林によるCO2固定効果が認められることとなったが,日本の企業が,どのように海外植林からCO2排出権を獲得しようとしているかについて,簡単に説明する。
(本文45ページ)


当社が取り組んでいる古紙リサイクルの実際
北上製紙株式会社 大塚兼三郎

 オフィス古紙の有効活用に関しては,当社独自のやり方で数年前から取り組んできたが,受け入れ時の手間の割には数量も増加せず行き詰まり感を抱き始めていた。
 今回幸にも,平成11年度国庫補助事業(通商産業省)として,財団法人古紙再生促進センターから「古紙の分別収集・有効利用システムモデル事業」を委託されると同時に,岩手県一関市の「一関地域ごみゼロ・エミッション」推進事業等とあいまって正式にスタートがきられた。
 新聞古紙リサイクルシステム「NPR100」については,既に青森県黒石市を始め熱心に取り組んでおられる都市もあるが,当社としても,今年7月一関市全世帯の約70%に当る,1万5千世帯に,市より半分の助成を受けて「ストッカー」と「紙紐」を配布し,周辺地域から早期確立を目指している。
 一方,当社はアルミ箔付古紙・ビールラベル粕・葉書・紙管屑等の活用を実施しており,今後共地域密着型企業として,あらゆる古紙の再利用を使命と感じ挑戦して行くつもりである。まずは,前述の2つのプロジェクトは,やっと緒についたばかりであるが,行政及び地域団体各位の強力なバックアップのもと,是非成功させ広く普及されんことを願っている。
(本文49ページ)


高濃度ポリサルファイドの開発
日本製紙株式会社 岩国技術研究所  南里 泰徳,渡部啓吾,清水正裕
川崎化成株式会社 技術研究所  安達 達也
旭硝子株式会社 中央研究所  下平 哲司

 白液の電解酸化を原理とする高濃度ポリサルファイド(PS)製造技術を,川崎化成,旭硝子,日本製紙の3社で共同開発している。本電解PS法では,電解槽は陽極室,陰極室とそれらを区切る陽イオン交換膜で構成され,白液を陽極室に導入し陽極にPS蒸解液,陰極に苛性ソーダ液が製造される。つまり,ワンプロセスで白液中の硫黄分濃縮とPS蒸解液製造を行うことができる。また従来の空気酸化PS法の問題であった蒸解に無効なチオ硫酸ソーダの生成を抑え,通常白液から高濃度のPS蒸解液を効率良く得ることができる。高濃度PS蒸解液とSAQを併用して蒸解試験をした結果,大きな収率向上とカッパー価低減効果(または薬液削減効果)が見られた。また修正クラフト蒸解と組み合わせれば,さらに大きな蒸解効果を発揮できることがわかった。
 また,副生した苛性ソーダは,イオン交換膜を通過した純度の高い苛性ソーダ液であり,単に修正クラフト蒸解の後段添加に用いるのみならず,酸素脱リグニン工程や,ボイラーへの白水回収が可能な場合は後漂白工程にも使用可能である。従って,将来,TCF漂白と組み合わせることにより,パルププラントのクローズド化に発展する可能性が考えられる。
 日本製紙岩国工場にベンチ,パイロットプラントを設置し,白液電解の連続操業に適したより高効率で実用的な特殊電解槽の開発を重ね,長期運転技術の確立に目処を得た。
(本文52ページ)


新ファイバーラインの操業経験
北越製紙株式会社 新潟工場パルプ課 鈴見 竜一

 北越製紙新潟工場は2系列のパルププラント(C系,D系)を有していたが,オンコーターマシン(8号機)の稼動に先駆けてクヴァナITC蒸解釜,それに続くファイバーライン(E系)を順次新設し,1998年2月に1,200トンプラントとして運転を開始した。そして老朽化し,品質や効率の低いC系を予備ラインとした。
 新プラントは地域との共生,環境負荷の低減に最大視した結果,世界の主流となりつつあるECF(Elemental Chlorine Free)漂白を,大規模プラントとしては日本で初めて採用した。漂白シーケンスは未晒二段酸素漂白後D―Eo―DnDとし,各洗浄機の選定にあたっては操業性の他,省エネルギー及び節水,高い洗浄効率を追求したつもりである。
 E系は試運転以降,順調に稼動しておりその効果としては排水中のAOX(吸着性有機ハロゲン化合物)や大気へのクロロホルム放出量が激減した他,パルプ強度,夾雑物レベルなど品質面も大きく向上し,操業面でも大きな効果を得ている。
 本報告はE系ファイバーラインの連釜以降の設備概要,及び運転開始以来約1年の操業経験について述べた。
(本文58ページ)


新苛性化設備の操業経験
紀州製紙株式会社 紀州工場 堀口  誠

 当工場苛性化設備は,旧設備の老朽化及び省ロスを目的として,石灰焼成設備及び白液処理設備を更新した。従来の苛性化工程は,緑液処理設備1系列,白液処理は2系列,石灰焼成設備はメインにライムキルン,ライムキルンの処理能力不足を補うためにカルサイナー(石灰泥流動か焼設備)の間欠運転という変則的な工程となっていた。
 設備更新は,カルサイナー間欠運転によりロスの大きい石灰焼成設備及び老朽化の進んでいる白液クラリファイヤー(沈降分離型清澄槽)の更新をメインに実施した。白液処理には,白液品質向上(SS濃度の低減)と設置スペースの制約から,加圧ディスクフィルター(PDF)を採用した。PDFは,内圧150kPaで運転しており,6〜8時間毎にプレコート層更新のため,ノックオフ洗浄を実施している。白液中のSS濃度は8〜23mg/lとなっている。オーバーライミングによりろ過不良となるため,乳液苛性化率を適正範囲に維持する必要がある。
 石灰焼成設備は,ランニングコストの低いFLスミス社のフラッシュドライヤー付きライムキルンを採用した。このライムキルンの特長として,排ガス循環システムの採用,キルン供給側端部のシンプルな構造,熱回収効率の高いコンパックスクーラーが挙げられる。排ガス循環システムにより,ライムマッド供給部での流速を維持し,排ガス中の酸素濃度を最適にキープすることが可能である。フラッシュドライヤーで乾燥されたライムは,スモークチャンバー下部の傾斜を滑ってキルンに供給される。ライムを掻き上げるスコップ等を持っていないため,この部分でのライム堆積が懸念されたが,現在のところ堆積は見られない。焼成石灰は,残CaCO33%以下,燃料の消費は約140l/Tと良好な値を示している。
(本文64ページ)


N―1マシン・N―1コーターの操業経験
王子製紙株式会社 米子工場抄造部 富田 淳一

  1997年9月に営業生産を開始した米子工場N―1マシン・N―1コーターは,上質塗工紙の日産能力700トンを持つ大型高速設備である。N―1マシンは,ワイヤー幅8,000mm,リールトリム幅7,360mm,設計運転速度1,400m/分のマシンであり,マシン本体設備及び主要付帯機器は三菱重工業より供給され,ウェットエンドには,水平型ギャップフォーマー,“MHフォーマーH”や,コンシステンシープロファイリング付きヘッドボックス“コンセプトIV―MH”,プレスパートには二段シュープレスやトラスファーフェルトといった最新技術を採用し,高速運転と良好な品質を両立させている。
 N―1コーターは,最大塗工幅7,290mm,設計塗工速度1,600m/分の単段塗工式ブレードコーターであり,コーター本体設備は同じく三菱重工業製となっている。また,オンラインにVOITH社製の“ヤヌスカレンダー”を持ち,省力化を図りつつ従来のスーパーカレンダーと同等の高グロス・高平滑度の塗工紙の生産を可能としている。リールパートには,グロス仕上げした塗工紙を高速で巻き取るために,新型の“TNTリール”を採用した。本報では,N―1マシン・N―1コーターの設備概要と現在までの操業経験を紹介する。
(本文70ページ)


8PMシムフローDヘッドボックスの操業経験
大昭和製紙株式会社 白老工場製紙部 小澤  弘

 白老工場8号マシンは1968年に稼動し,ジアゾ感光原紙の主力マシンとして操業してきた。生産量は230t/dで,この他に情報用紙,上級印刷紙を抄造している。
 近年,市場で求められる品質は高度化が進み,特に塗工機,印刷加工機の多様化,高速化に対応していく必要性が高まってきた。そこで,1998年7月,幅方向の坪量,水分,厚さの均一化をはかることを目的とする改造工事を実施した。主要工事は,ヘッドボックス更新,3番プレス更新,カレンダー改造,坪量水分計更新,欠点検出器更新,計装制御システムの導入などである。
 さて,ヘッドボックスの幅方向BDプロファイル制御は,従来のスライスリップ調整方式から,白水濃度を希釈水で調整するデイリューション方式が主流となり,国内実績台数も増加している。8号マシンのヘッドボックス選定に際しても,ディリューション方式で制御ピッチが細かく,均一なプロファイルと繊維配向角が得られるシスフローDヘッドボックスを採用した。
 この改造の結果,幅方向の坪量プロファイル,繊維配向角は大幅に改善され,当初の目標を十分達成することができた。今回は,1年間にわたるシムフローDヘッドボックスの操業経験を紹介する。
(本文75ページ)


7号抄紙機の操業経験
三菱製紙株式会社 八戸工場 河原木 親

 三菱製紙八戸工場は,現在7台の抄紙機(2台のオンマシンコーターを含む)を有し,月産7万トンの生産能力を持つ。その中で7号抄紙機は平成9年に完成した三菱製紙の中では最新の抄紙機である。日産400トンの能力で主に上質紙とコート原紙を抄造している。
 次期の広幅のマシンに向けての技術習得と高効率,高品質を目指し,当時の最新抄紙技術を採用して設計した抄紙機である。
 この報告を述べる内容は,今回三菱製紙として最初に採用した設備の概要とその操業経験である。主な項目は,原料濃度で幅方向の坪量を制御する方式のモジュールジェットヘッドボックス,プレスでの紙シートの走行性を向上させるトランスファーフェルト,プレス最終出口水分を低くできるシュープレスENP―C,プレドライヤーをロープ無しで通紙可能とした通紙装置,比較的重い塗工が可能なシムサイザー,ソフトニップカレンダー,センタードライブ式のオプティリールである。
 今までになく順調にスタートアップが出来た。しかしまだ操業上の課題も多く,品質面についても高くなっていくユーザーの要求に答えるべく,日々改善に取り組んでいく考えである。
(本文83ページ)


N2マシンの操業経験
日本製紙株式会社 八代工場抄造部 門間 信也

 1998年2月に営業運転を開始した新聞専抄のN2マシンは,九州地区への新聞用紙の安定供給とユーザーの厳しい品質に答えるべく,新聞用紙A巻2丁取の旧2,3マシンのスクラップアンドビルドにより,高速・広幅マシンとして誕生した。
 マシンの高速・広幅化により,生産性・コスト競争力アップを図り,八代工場の国際競争力の強化を図った。
 N2マシンのワイヤー幅は,9,050mmで,常用最大抄速が1,600m/min,設計最大抄速1,700m/min,日産700トン/日の新聞用紙の生産能力がある。N2マシンは,徹底的な品質・操業の安定化と省力化を目指し,数々の最新鋭設備を導入した。例えば,国内の新聞用紙抄造マシンとして初めて,IHI―フォイト社のデュオ・CFDフォーマーを採用,また,プレスパートには,同じくIHI―フォイト社のトライニップの1P,3Pにシュープレスを世界に先駆けて採用した。また,ドライヤーパートは,オールシングルトップデッキ方式として,操業の安定化を図った。
 更に,省力化設備として,例えばリールからワインダー間の親巻自動搬送設備を世界で初めて設置し,ワインダーも自動枠替装置を採用し,徹底的な省力化を図った。この様に最新技術を駆使したN2マシンは,順調に立ち上がり,抄速・日産・諸効率も次第にアップして,品質・操業も安定し,各ユーザーから期待された品質要求にも十分答えつつ,順調な操業を継続している。
(本文89ページ)


新しい紙層形成コンセプトの板紙抄紙への適用
東海パルプ株式会社 製紙1部 石田 茂

 当社#9M/Cはクラフトライナー紙を抄造しており,1988年品質改善を目的にウェットエンドを4層抄きベルボンドフォーマに改造した。ベルボンドフォーマは,ウェットオンセミドライフォーミングコンセプトによる高い層間強度,シューフォーミングコンセプトによる優れた地合,高速運転性及びコンパクトな構造等のメリットがある。しかしながら,近年古紙利用率は増加する傾向にあり,ライナー紙表層付け量の減少が求められる一方,紙の表面性改善,紙強度の向上等の要求は益々高まってきている。これらのニーズに対応するため,当社#9M/Cはベルボンドフォーマは,そのCIVB部の一部の従来型ブレードをセレーテッドシューと呼ばれる新しい脱水ブレードと取り替えることにより,以下の効果を得た。
 (1) ライナー紙の最重要品質の一つである表層の地合が改善された。
 (2) 表層の付け量を改善前比較して10〜12%減じることが出来,当社#9M/Cライナー紙のコスト競争力が高まった。
 (3) 比較的高濃度でも表層の地合が取れるようになり,リップ開度を9mm程度まで絞ることが出来た。その結果,原料ジェットの表面が滑らかになり,白抜け等の不具合なく,抄速の大幅改善が可能となった。
 (4) 層間強度は高くなり,紙力剤添加量を減らすことが出来た。
(本文94ページ)


スーパーミラー/電子線硬化技術が創り出す超高平滑紙の世界
王子製紙株式会社 機能材開発研究所 三浦 喬晴

 EB硬化技術は,耐薬品性や耐水性,耐熱性に優れた塗膜が得られること,あるいはキャスティング技術により優れた表面平滑性が得られることといった,他の方式にはない特長を有している。
 しかしこの電子線硬化技術を紙加工に応用した場合,電子線がセルロース繊維を崩壊し,耐折度や引張り強度といった紙の強度を低下させる。強度低下を防止するには照射線量を小さくすることが必要だが,ドラムキャスト法では,加速電圧を適正に選ぶことも重要である。
 EB硬化樹脂を紙基材に塗工する場合,良好な塗工面を得るためには紙基材の表面にEB樹脂に対するバリア性を付与しておくことが必要である。バリア性がない上質紙のような基材は,塗工層やラミ層などによりバリア性を付与する方法が用いられる。
 紙基材に塗布されるEB樹脂には,低線量で硬化が可能なこと,適度な柔軟性を有すること,塗工可能な流動性を有すること,製造しようとする商品に適合した機能を有すること,リーズナブルな価格であることなどの品質が要求される。
 我々はこれらの技術的問題を解決する一方,一パスで二種類の塗料を二層に塗布し,それぞれを個別に硬化できる装置を考案して実用化した。この装置を利用してこれまでに,高級印刷用紙“スーパーミラーPN”や,ホワイトボード用紙“スーパーミラーWB”を製品化し,さらに,合成皮革用工程剥離紙や蒸着用基紙,高級写真印画紙用支持体などを開発した。
(本文99ページ)


No.1コーターの操業経験
中越パルプ工業株式会社 能町工場製造部 宮脇 茂実

 この報文は,平成10年4月に稼動した能町工場No.1コーター(ダブル塗工)の操業経験について述べたものである。当社にとっては初めてのオフコーターであり,塗工スタートは初めてのトラブルに苦慮したが,現在では操業改善により品質的にも市場の評価は高く,順調に操業を続けている。
 設備導入に当たっては国内外の調査に加え,安全面・生産性・操業性のあらゆる角度から検討を重ねた結果,満足のいく成果を上げている。また,塗工紙のスタートにて原紙マシンの品質向上,カッター及び仕上工程での検査レベルの向上等,関連パートの大幅な品質アップが図られている。現在,A1,A0の品質向上にも取り組んでおり,特に白紙面感向上として原紙改善及び,カラー処方改善等に積極的に対応している。1台のコーターにてA2,A1,A0の高範囲のグレードを実施しているため,抄替ロス,カラーの効率的切替,スーパーカレンダーロール替等あらゆる点で効率的な操業が要求されている。
 今後も,低コスト,高効率,生産性等常に高い目標を掲げ,高品質な紙を生産する技術を目指していきたい。
(本文104ページ)


高温高圧回収ボイラの操業経験
日本製紙株式会社 岩国工場動力部 大友 健治

 内需型産業といわれている紙パルプ産業においても国際競争力が問われている現代の社会的な情勢の中にあって,コスト競争力の強化のための設備投資が紙パルプ産業の各部門で行われているが,エネルギ部門においても重点的な投資が実施されてきた。
 日本製紙株式会社岩国工場では,平成9年に黒液固形分処理量2,700t/dの高温高圧回収ボイラの営業運転を開始した。このボイラは,主蒸気圧力10.3MPa,主蒸気温度505℃の高温高圧回収ボイラとしては世界最大級である。新回収ボイラでは,その設置計画において,設備の集約化と設備能力の増加および,それに伴うパルプ・洋紙の増産を図ると共に,省エネルギ・省力化のための最新技術を随所に導入している。
 営業運転開始後,約2年半が経過したが,ほぼ順調に運転されており,最大で1年間の連続操業の実績を上げ操業の安定化に大きく貢献している。当工場発電所における新回収ボイラのエネルギ構成比率は,蒸気・電力量共に約半分を担っており,薬品の回収という最大の機能と共に省エネルギおよびエネルギコストの削減に貢献するところ大である。この報告では,営業運転開始以来の操業経験および運転データを紹介する。
(本文109ページ)